↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/47

聖女、ご乱心

ああ、ようやくあの目障りな女がいなくなった

これであの人を迎えに行ける


壊した髪飾りを拾うとあたしは夢見草の方へ走り出した

途中にいたあの邪魔なモグラの着ぐるみは川へ突き落としておいた

こうすれば、あの人達のところへは行けないでしょ?

モグラの着ぐるみは泳げないみたいでジタバタしてた

ざまあ

私の邪魔をするからよ


だって、ここはゲームの世界でしょ?

パラメータ上げて、行く場所を決めて、プレゼント渡して好感度を上げる

そうすれば男達はすぐ靡いてくれる


神様にお願いしたの

ここに来る前……なんかよく分からないけど私は事故で死んだらしい……

でも、神様が出てきて言ったの


「君の望みを叶えよう」って


だから、私は乙女ゲームの世界に連れて行ってって願った

そしたら神様は


「乙女ゲームみたいな世界でいいのかい?」って


いいに決まってるじゃない!

ただし、悪役令嬢のいない世界にしてねってお願いするのも忘れなかったわ

最近、悪役令嬢が主人公になってヒロインがざまあされるものもあったから

それは避けないとね


それからは早かった


私を召喚した王族の王子はイケメンだし

乙女ゲームの要領で会話も選択肢が出てきたし

親密度だってステータスを見れば上がっていることが分かったから

本当に順調だったの

第2王子も宰相の息子も騎士団長の息子も天才魔導少年も

どのゲームでも見たことなかったけれど、

どのゲームにいてもおかしくないくらい声も容姿も魅力的だったし

それにね、私の言っていることを何でも肯定してくれるの

だから、私は乙女ゲームの定番通り、選択肢を選んで

プレゼントして会話して彼らと過ごした

勿論、彼等だけじゃなくパラメータにも気を配ったわ

そしたら孤児院の不正とか悪徳貴族の不正とかを正すことができた

国民からの支持もうなぎ登りで本当に順調だったの

でも、ある時

第2王子であるカインが悩んでいた

イベントキター!と思ったわ

話を聞いてみると王妃様が夢見草という

綺麗な奴隷といかがわしいことをする場所に通っているらしいことで悩んでいるみたいだった

そこで出た選択肢は


・そもそも奴隷なんておかしいよ

・でも……一概に……悪いっていうのも……


だった

なら、選ぶ選択肢は1つでしょ?

だから

・そもそも奴隷なんておかしいよ

を選んだ


選択肢を選べば今まで間違いなかったから

今回もいけると思ったのに

あの訳わかんないフードが出てきて全部台無し


それからは鼻眼鏡つけられるし取れないわ

カインや他の子達も魅了の力がどうのって皆離れていってしまった

せっかく上げてたパラメータも全部下がってしまっていた

何なの!?どうして!?


それからあのフードをつけていたらあのフードは女で

それもイケメンばかりに囲まれているじゃない!

私はこんなに苦労してるのにあの女はのうのうとしている

そんなの許せない!

あの女も転移者に違いないわ

だから、私の邪魔をしたのよ

神様ったら悪役令嬢のいない世界にしてねって言ったのに聞いてなかったのかしら?


その時、私は運命の人と出会ったの

あの人と目が会った時が未だに忘れられない

一目で恋に落ちるってこういう感じなのかしら

私だけじゃなく向こうも私に恋したってすぐに分かった

でも、あの人は奴隷だった

しかも、またあの女のよ

信じられない!

あの人は私と一緒にいたいのに

あの女は私の邪魔ばかりする

本当は私があの人と出かけるはずだったのに

あの女が無理やりあの人を連れ出した

そして、あの女ときたら無理やりあの人にお金を出させて食べ物を買ったり

髪飾りをおねだりしていたわ

信じられない!

あの人は優しいから断りきれなかったようだけど私には分かった

すごく困ってるって

あの髪飾りだって本当は私にはくれるはずだったのに無理やりあの女に奪われた

だから、あの女からあの人を自由にする為に

あの女を殺す予定だった

なのに、ナイフが刺さらないんだもの

何アレ?化け物?それともチートってやつなのかしら?

そうしたら、騎士が来てくれた

この人、確か前に怪我を治してあげたことのある人よね

なら、私に優位に働くはず

その目論見通り、あの女は騎士団詰所に連れて行かれた

あとは、私がこの髪飾りを持ってあの人に会いに行って

あの人を自由にするだけ

ああ、この鼻眼鏡も邪魔ね

無理やり引っ張ると血が出て来た……痛い……あり得ないくらい痛い

でも、構わないわ

だって、あの人に会うのにみっともない姿は見せられないもの



「あ、あの!」


「…………?」


「こっこれ落ちてました!」


そう言って髪飾りを差し出す


「女の人が捨ててたんです」


あの人、セレスさんと目が合う


「私、それを見てて……捨てるなんて酷い」


「…………それで?」


「え?」


「ご主人様は捨てたということは要らないということだろう?

それが何なんだ」


「だから、だから、私、貴方を解放しに来たんです」


そう、あの女にまだ縛られているのね

従属魔法でも強力なものだと思考も奪うって勉強したもの

セレスさんもきっと奪われているに違いないわ


「待っていてくださいね

今、従属魔法を解除しますから」


「何を!?」


セレスさんに触れようとするけれど払われる

行動もあの女が縛っているなんて!

分かってる、本当は抱きしめたいのよね私のこと


聖女は職業だってキキルって奴は言った

それは合ってるそうだ

でも、聖女って呼ばれるからには回復魔法が得意な他に

従属魔法を解除する力がある事をあの男は知らなかったようだ


「愛してるんですセレスさん

自由になりましょう」


従属魔法を解除させる魔法陣が地面に浮かび上がる

ああ、これで本当の貴方に会えるわねセレスさん


「誰か!来てくれ!この女を止めてくれ!」


「なーに?セレスくんって聖女!?

ちょっと、何してんのさ」


オレンジ頭の筋肉マッチョが私の腕を掴む

そんなもの構うものか!もう少しでセレスさんを助けられるんだから!


従属魔法が解除された手応えを感じる

魔力が体から抜けていき思わず尻餅をついた


「ック、何なんだよコレ!」


「これで、セレスさんは自由です」


「え?セレスくん自由って??」


戸惑うセレスさんに語りかける


「セレスさんはもうあの女の奴隷じゃない自由なんです

もうあの女に縛られなくていいしあの女に媚びなくてもいいんです

私が守ります

だから、私と」


一緒に行きましょう


「何を言ってるんだ?

なんで、俺があんたなんかと

俺がご主人様の奴隷であることを望んだのに!!」


「違うわ!あの女は貴方の思考を操っていたのよ!」


「違う!!あの人はそんな面倒なことしない!!」


「あー、ハニーちゃんはそんな面倒なことしないだろうね」


どうして!?従属魔法は解除したのに

あの女の肩を持つの!?


「ああ……そうなのね」


誘拐された被害者が加害者を庇うようになることがあるという


「セレスさんは優しいから……

でも、大丈夫……これからは私が支えるから

……今は無理でも分かってくれる……ねえ、セレスさん」


「分かるかよ!何なんだアンタ!?」


「これってハニーちゃんの心配していたストーカーってやつだよね

って、そういえばハニーちゃんは?」


「ホーリーと出かけているはずですが……っ!まさかお前!?」


まだあの女の心配をするの

本当に優しい人

でも、もうあの女の心配はしなくていいのよ


「新しい従属魔法を結びましょうセレスさん

ご主人様が欲しいなら貴方の新しいご主人様になりますから」


「……話にならないな

行こう、アイザック」


もう!照れちゃってしようがない人

でも、大丈夫

私はそんなところもひっくるめて愛しているから


セレスさんの下に従属魔法を発動させる


「ふざけるな!っ!!」


動かれると困るので足をナイフで突き刺す


「セレスくん!?

ちょっと君、いい加減に!」


うるさい奴には劇薬をぶっかける

本当はあの女に使うはずだったんだけど仕方ないなぁ


「ウギャアああ!!」


「アイザック!?」


「さあ、邪魔者はいなくなったわ

これで私とあなただけよ」


これでやっと……


「……そうでもないかな?」


「ご主人様!?」


また邪魔なあの女がやって来た

周りには騎士もいる

ああ、あの女を捕まえに来てくれたのね


「聖女様……まさか聖女様が……嘘だろ?」


「聖女殿、貴方には殺人未遂の容疑がかけられている

我らに同行していただこう」


殺人未遂?何を言っているのかしら?


「私を殺そうとしたのはあの女よ」


オレンジ頭今は劇薬で溶けてドロドロの男を抱きかかえる女の指差す


「貴方に掛けられているのは彼への殺人未遂容疑です」


そこにはあの蹴落としたはずのモグラがぐったりとして立っていた


「何もしていないわ」


「彼を川へ蹴落とすところを目撃した者が何人もおります

ご同行を」


「嫌よ、嫌、嫌、私はセレスさんと幸せになるの!

こんなところで嫌!嫌!セレスさん助けて!」


セレスさんは私の方を見て微笑んだ

『大丈夫、助けに行く』って

そうね、なら大丈夫ね

行きましょう!


「あの女!殺してやる!」


「セレス、今は押さえるのだ!」


「アイザック大丈夫!?この劇薬が何なのか分からない!?

ミズチ、お金はいくらかかっても構わないからポーションを買って来て効果が1番あるやつ」


「はっはい」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。