表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の神様  作者: 篠原司
6/8

ユメちゃんとの邂逅

……………………………………………


「あの...身分証明書、学生証しか持ってないけど大丈夫ですか...?」

「はい!大丈夫ですよ!」


……………………………………………


「あと...ユメちゃんと会えるって、ホントですか...?」

「もちろん!ちゃんと会えますよ!それも時間制限なしに!」


原田さんが徐ろにタブレットを取り出した。そこにはユメちゃんがいた。

私たちに手を振っている。

『あいちゃん、ゆうみちゃん、待ってるよ!』

「ユメちゃんがわたしの名前呼んでくれたぁあ!」

ゆうみは少し興奮気味になった。

私は、苦笑いすることしか出来なかった。

これから、何が起こるのか分からなかったからだ。


暫くして、研究所に着いた。

ちょっと寂れた感じの、薄暗い研究所。

「さ、中へどうぞ。」

原田さんが案内してくれている。

ゆうみと二人、手を繋いで研究所の無機質な廊下を歩く。

後ろに2人の男性。ずっと気になるな。護衛か何かなのか。


「やぁ。初めまして。私の名前は黒田海輔。ここの研究所の長をしているものだ。君達はユメちゃんに逢いに来た、違いないね?」


「はい!そうです!!!」

ゆうみが食い気味に応える。本当に合っているのか、これで...


「よし、じゃあ身分証を出してこの書面にサインしてくれるかな。そして印鑑を押してくれたらすぐにでもユメちゃんに逢えるよ。」

「わかりました!!」

またしてもゆうみが食い気味に答える。

書類を見たけれど、学校で習ってない漢字ばかりで読めなかった...。

「あいちゃん!早くサインしよー!」

ゆうみに押されるがまま、そのままサインして印鑑も押してしまった。


「サインと印鑑ありがとう。これからユメちゃんに逢う手続きを進めるよ。まずはそこのベッドに二人とも横になってくれるかな。」


言われるがまま横になった。すると、後ろで待機していた男性ふたりが素早く手足を縛りつけてきた。


「ちょっと待って!こんなの聞いてない!」

「書面に書いてあるじゃないか。大丈夫だよ。何も怖いことはないからね。」


そう言って、黒田さんは私達の腕に注射を打った。



気がついたら、いつものユメちゃんの部屋にいた。

ゆうみも隣にいる。

「ここまで...来ちゃったんだね。」

ユメちゃんは暗い顔で言う。

「何がどうなってるの?」

私は興奮気味のゆうみを抑えて聞いた。

「私からは詳しく言えないけど...もう、こうなると元の世界に戻れないんだ。」

「いいの!ゆうみ、あの家いやだ!もう殴られたくないの!」

「ふふふ、そっか。そこのキミは...?どうなの...?」

ユメちゃんがゆうみから私に目を向けた。

「えっと...まだ頭の整理がついてなくて...」

「そうだよね。私の部屋、自由にくつろいでいいから、落ち着いて整理できたらなって思うよ。」

「ありがとう、ございます...」

見覚えのあるソファに座って考えた。

私はよく分からない書面にサインして、印鑑を押して、それから...それから...?どうなったんだっけ...?

なんだか、頭がぼんやりとしてきた。

「大丈夫...?水、飲む?」

ユメちゃんが声を掛けてくれた。

憧れの人が目の前にいるのに全く感動できない自分がいる。

「すみません、大丈夫です。思い出そうとすると頭がぐらぐらして...」


「そうよね...でも安心して、ここは何も危険がない場所。永遠が認められる唯一の安全な場所なの。いわばシェルターね。だから、大丈夫だよ。」

そう言ってユメちゃんが抱きしめてくれた。

涙が出てきた。

もう、両親の罵声も、毎月3000円の生活もしなくていいんだ。制服が汚くて虐められることもないんだ。そう思うと心から安心できた。


「ねぇ、貴方たちの名前は?」

「なかむらゆうみです!」

「華川愛です。」

2人揃って名前を応えた。


「じゃあ、ユウミちゃんとアイちゃんね。よろしくね。」

「私、ずっとここで一人ぼっちだったの。だから、ふたりが来てくれてすっごくうれしい!これから、仲良くしてね!」

ユメちゃんはとびきりの笑顔で出迎えてくれた。

「ここではね、好きなお洋服も着れるし、好きな見た目になれるんだよ。ユメがここでの暮らしを案内してあげる。きっと、2人の部屋がどこかにあるはず。」

そう言って、ユメちゃんは歩いていった。私達もそれについて行った。


「あ!ここだね!新しく追加されてる!青と赤色の部屋!ここがアイちゃんとユウミちゃんのお部屋だね!相部屋なんだねぇ!」

ユウミと顔を見合せて、にやっとわらった。

私たちは、ずっといっしょだもの。

「この鏡。これでね、なりたい自分になれるようにイメージして目を閉じると...ほら!好きな服着れるし、髪型も変えられるんだ!」

鏡を見つめて、目を閉じてみた。私はずっとインナーカラーを入れてる女の子に憧れてた。それで、ゆうみとお揃いの赤いワンピースで...

『ポンッ』

音がした。目を開けると、ユウミとお揃いのワンピースを着たインナーカラーの私がいた。ユウミの頬には絆創膏が沢山貼ってあった。

「2人共できたね!おめでとう!あとは、いつも通り、この部屋で新しい生活を自由に過ごしていいんだよ。何してもいい。配信するも良し、見るもよし、寝るもよし、なんでもよし!じゃ、私は配信があるからお暇するね!」

そう言ってユメちゃんは爽快に去っていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ