「脳科学研究所」
情報収集しているうちに眠りについたのか、気づいたら朝になっていた。
時計を確認する。6時半だ。
ゆうみはまだ寝ている。
もう少し寝かせておいた方がいいかな...。
自室へ向かってクローゼットを開ける。
何着か、外行きの服があるから、ゆうみに合いそうなものと、私のもの、2着取り出した。
「あいちゃーん、なにしてるのぉ...」
寝室からゆうみの声がした
「ちょっとまっててね、朝ごはんの準備するからね」
「はぁーい....」
朝餉の支度をしよう。
冷蔵庫を開けるが、入っているのは味噌と豆腐と冷凍食品だけだ。
仕方ないから、パック米を取り出して冷凍食品を温めて、味噌汁を作ることにした。
15分ほどで出来上がった。ゆうみを呼ぶ。
「朝ごはんできたよ〜」
「いまいくね〜!」
椅子に腰をかけてテーブルで朝餉を眺める。
「「いただきます」」
意図せず被った声に二人で笑いあった。
この生活がこのまま続けばいいのに、とふと思った。
だけれど今日はそれを変える日だ。もっともっと幸せに、永遠に続く幸せをゆうみと共に。
「あいちゃん、どしたの〜?」
なんて考えていたらゆうみに声をかけられた。
「なんでもないよ。あら、もう食べ終わった?」
「うん!あいちゃんなんか今日ぼーっとしてる!だいじょうび?」
「大丈夫。私もすぐ食べるね。」
私は急いで朝餉を詰め込んだ。冷凍ハンバーグとパック米と味噌汁。久々に贅沢な朝餉を食べたなと思った。
「ご馳走様でした。」
「あいちゃん!朝ごはん作ってくれてありがと〜!ゆうみ、美味しくてすぐ食べ終わっちゃった、ふひひ。おごちそーさまでした!」
「ふふ。いいえ。そろそろ準備をしようか。」
震える手でゆうみに服を差し出した
水色のワンピースだ。
「これ、どう...?ゆうみ、サイズどうかな...」
「ん、ちょみと着てみるね!んん....どう!着れたよ!」
水色のワンピースを纏ったゆうみは凄く儚く、美しく見えた。青色のボブカットの髪が揺らめく度に、涙が出そうになるくらいに。
「凄く...似合ってるよ。どう?キツくない?」
「キツくない!ぴったしだよ〜!これかわいいね!あいちゃんのおようふく、かわいいのいっぱい!」
「それはゆうみが着るべきだよ、だから、あげる。」
直感で思った。つい言葉に出た。
「ありがとう...でもママになんて言われるかな...」
ゆうみの顔に影が差した。やってしまった。
「大丈夫。これからは誰にも何も言われないとこに行くの。大丈夫だよ。」
「ほんと!?やった!じゃあこのワンピース!ゆうみの宝物にする!ふひひ!」
そう言って彼女は無邪気に微笑んだ。
『ピンポーン』
チャイムが鳴り響いた。些細な日常の幸せの終わりの合図だ。
「はい、華川愛です。」
「お迎えに上がりました。脳科学研究所の原田です。」
「すみません、ちょっと待ってください、今出ますので」
来た。ついに来た。ゆうみを呼ばないと。
「ゆうみー!行くよー!」
「はぁーい!あいちゃーん!」
二人で玄関のドアを開けた。
目の前には原田さんと名乗る女性と、他2人男性が待ち伏せていた。
「あの...これからどこに行くんですか...?」
「54:6騶ラ$ナという所に行きます。研究所の拠点です。すぐ近くなので安心してくださいね。不安なことがあれば事前に私が聞きますよ。取り敢えず、車に乗って頂けるでしょうか。」
「はい...」
ゆうみと二人で真っ白くてやけに縦長い車に乗った。
ゆうみは少し怯えているようだった。




