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私の神様  作者: 篠原司
2/8

中村夕海と「ユメちゃん」

━━━━━━━━━チャイムがなる。



時計を見ると19時だった。

「ゆうみ!」

「あいちゃん〜!会いたかったよう〜」

「昨日ぶりじゃない」

「いひひ。だってだって、ゆうみさみしいんだもん。」

そう言ってゆうみは少し俯いた。

気を取り直しすために私は提案をした。

「ほら、ユメちゃんの配信。もうすぐ始まるよ。これ、待機画面になってるから。」

「ユメちゃん!ユメちゃん!」

ゆうみの声が明るくなった。

二人で画面をじーっと見つめる。


ゆうみは私の幼馴染だ。と言っても、小さい頃に公園で出会って、それからずっと夜中に家から抜け出して公園でお話する約束をしたりしてたような仲だ。

ゆうみの家庭事情を私はよく知らない。

ゆうみは家庭のことをあまり喋りたがらないからだ。

...ただ、毎日増え続けていくゆうみの身体の傷や痣は、それを物語っていた。


『こんばんは〜!みんな、見えてるかなあ?』


そんなことを考えていたらユメちゃんが待機画面から出てきた。

あぁ、いつだってかわいいなぁ。


『ユメね、ちょっと今日はみんなに伝えたいことがあって....』


「なんだろ?つたえたいことって」

「うーん?なんかの案件かな?」

「あんけんって?」

「おしごとのこと。」

「へー!ゆうみ、かしこくなった!ひひ。」


『みんな、現実世界はつらくない?』


なんだ。急に。ユメちゃんがこちらに語りかけてくる。そんなこと、今まで無かったのに。


『私のいる世界はバーチャルなんだけどね、現実がつらい、苦しいって思う人はさ、この配信終わったあとにリンク貼るから、そこを見てほしいんだ!』


『ちょっとはみんなの救いになれたらなって。えへへ!ユメの願い。みんなに届くといいな。』


なんだ。なんのリンクなんだ?福祉系とでも繋がったのだろうか?

でも、私たちのような子供にできることなんて知れてる...


『あ、そう、今日ね、ユメは本読んだよ!沢山!これからもいっぱい知識つけていきたいなーって思ってて。村上雪菜さんって小説家さん、みんなは知ってる?ユメすっごいハマっちゃって...オススメだよ!』


いつも通りの雑談が始まった。可愛い声で可愛い姿で可愛い身振り手振り。まさしく私達の憧れの女の子。ユメちゃんだ。


ふとゆうみが呟いた。

「本って読んだことないや」

少し悩んでから私は返事をした。

「私は読みたいけどお金ないから図書館とか行くかな」


「としょかん?で本読めるの?」


「そうだよ。でも、借りて、期限があるから、それまでに読んで返さないといけない。」


「うーん...ゆうみにはむずかしそう....」


そんなに難しいことかな...と思いつつ私は提案をしてみる。

「私で良かったら手伝うよ」


すると、ゆうみの表情がぱぁっと明るくなった。

「あいちゃーん!大好き!じゃあユメちゃんの言ってた本読みたい!」

「明日早速見に行ってみようね。」


明日も生き延びるための約束ができた。ありがとうユメちゃん。


『今日伝えたかったのはそれだけ。短くてごめんね!今日も明日もみんなの日常が健やかでありますように!...リンク、見てくれたら嬉しいな!じゃあね!ばいばい〜!』


ユメちゃんの配信は30分弱で終わってしまった。

リンク、気になるな....


「リンクってなぁに?」

「ちょっとまってね、今確認するから...」

そうやってゆうみを待たせながら、リンクを確認してみた。


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