希望の光
「ぬおおおああ!」
ガンダの両手から放たれる魔力の塊の猛攻撃をキィが避け続けている
「どうした!天才の力を見せてみろ!」
「しゃーねぇーな!」
ガンダの攻撃を足で弾くとキィが両手に魔力を集中させる
魔力を加工し、風と火の魔術に変化させてガンダに放った
「魔術・火災風」
「ぐぅっ!」
放たれた火と風の合わせ技がガンダに直撃する
風で切り裂かれ、火による火傷を全身に浴びた
「はぁ、はぁ、くそぉ」
「さぁ、終わりだ」
キィがガンダの首に剣を立てた
ガンダも自身の死を悟って目を閉じた
(ごめんな〜リーシア。ここまでらしいわ)
―数年前―
ガンダは東の大陸の貧しい村の家で暮らしていた
「お兄ちゃん!でっかい山菜取れたよー」
「おお〜いいねぇ〜
今日は山菜で天ぷらでも作ろうかぁ〜」
「やったー♪」
ガンダとリーシアは歳の離れた兄妹であるが、両親は病気ですでに他界していた
彼にとってリーシアは目に入れても痛くないくらい可愛がっていた
そんなとある日の夜だった
「リーシアも大きくなったな」
隣で寝るリーシアを横目に妹の成長に感心していた時だった
「まだそんな遅い時間じゃないのに村がやけに静かだな」
貧しい村だったため、みな毎日夜遅くまで仕事の準備をすることが普通だった
ガンダは外の様子を確認した
「え…何だ…これ?」
そこには…何もなかった
「どうゆうことだ…」
「お、にい、ちゃん?」
「出てくるな!」
これはただ事でなはい
身の危険が迫ってきていることを直感した
「…!!」
ガンダはブワァっととてつもない殺気を感じた
「誰…だ?」
「お兄ちゃん!」
その声に死を覚悟して振り向いた
そこには確かに誰かがいた
わからない、誰なのか、何者なのか
"それ"は何も言わずに去っていった
「リーシア!大丈夫か?」
「うん、何ともないよ?」
「そうか…良かっ…!!」
声は聞こえなかったが確かに感じた
"我のために動け。大切なものを失いたくなければ"
その日からミッションのようにガンダには指示が送られた
いや、やる以外に選択肢がなかった
「お兄ちゃん」
「?」
「頑張ろうね!」
「ふっ、…ああ!」
―
「終わらせねぇ!」
「ん?」
諦めかけていた手に力が入る
全ては生きる希望の光のために
「俺が…どうなろうと…必ず!」
「!」
異変に気づいたキィが急いで刀を振り下ろす
途端に激しい爆発が起こった
キィは数メートル飛ばされた
「命を魔力にしたか!」
「ああああ!!」
空中でガンダが魔力の込める
命を代償にした魔力はとてつもない膨れ上がり方をしている
「これで終わりだ!!
"超大砲!!」
ガンダの特大の攻撃がキィに向かってくる
キィはゆっくり息を吐いた
目に模様が浮かんだ
「はあああ!」
真正面からぶつかっていった
ガンダの攻撃は全て相殺された
ガンダは斬られた傷口から大爆発を起こした
「ホムラの魔力は"爆発"、流した魔力に爆破の性質を起こさせられる。
あんたの攻撃はすごかったよ。
大きなもんを背負ってるように感じた。」
「あ…ああ…そう…か…」
瀕死で道の上で倒れたガンダにキィが話しかけている
「あの力、誰のものだ?」
ガンダから感じた膨大な魔力、明らかにおかしい点があった
「へっ…知らなくて良いんじゃない…」
「そうか…」
話す気はないらしい。ガンダが背負っているものに関係していると感じたキィはゆっくり歩き出した
「戦士には…気をつけ…な…」
「!!」
振り向いたらガンダは息を引き取っていた
最後の助言?に困惑しながらもキィはその場を後にした
―
「あ!
おーい!お兄ちゃーん!」
「リナ!そっちも終わったか」
戦士たちとキィが合流した
「随分と苦戦したようだな」
「ああ、強かった」
ルキアはキィの疲れを感じていた
この辺りは長年の友と言ったとこだろう
「扉はどうした?」
「私が全て閉じましたよ」
「流石シルビアだな」
「ところでキィ、北の方に…」
「あっちは大丈夫だ」
「そう」
シルビアとキィの会話に一同?マークが浮かんだ
この2人しか気づいていないことがあるらしい
―その日の夜―
「うんまぁ〜」
「こりゃヤベェな!」
新宿の回らない寿司屋でみんなで食事をしている
静かにうまい。なのに、記憶に残る赤身がキィたちの心を満たす
「あっちの世界にも寿司はあるがここまでレベルが高いとはね」
「食べとかなきゃ損ですよユキ」
「いいのよ!私は魚嫌いなの!」
まさかのこんな機会を逃すユキ
羨ましくないけどどこか悔しい…
始まってもないのにあがりを飲んだ
「ところでお兄ちゃん、今回の件のことだけど」
「ああ…明らかに裏があるな」
「やっぱりそう…、お兄ちゃんと戦っていた奴の魔力量、とんでもなかった」
「あいつとは別の魔力を感じた。表現できないほどドス黒い力…」
やっぱり気になっていた
こんなことを起こせる人物はだれなのか、まだこれで終わらないであろうことを。
「その事なら少し心当たりがありますよ」
「え?」
シルビアが2人の会話に入り込んだ
「どうゆう事だ?」
「ちょっと前に西の大陸に行くことがあったんだけど、西には冥界の門を開けられる人間がいたと噂になっていた。
おそらくは召喚の魔力だろうが、無差別に死者を蘇らせられるとしたら、莫大な魔力を個人に持たせることはできるだろう」
「そうか…分かった。ハーレンに伝えたくよ」
その後一行は店を後にし、国の迎え人の元へ向かった
その途中でキィは月の近くの光をみた
「おっ、行ったな…」
「おーいキィ!何してんだ〜!帰るぞ!」
「おう!」
こうして戦士たちは東京から自分たちの世界へ戻った
帰還後キィたちは今回の件をしっかりと国王に話した
「ん、なるほどな、ひとまずはご苦労だった。
冥界の者について少し心当たりがある。
キィには引き続き調査の仕事を依頼する。
その他のメンバーも各自情報を集めながら休息を取ってくれ」
「お言葉ですが国王陛下、調査とはおそらく冥界の者の話でしょう。団長のみで調査するのは危険ではないでしょうか?」
シルビアが言葉を挟んだ
確かに考えてみれば過去の死者には現在の生物が対抗できないような人物がいる
「大丈夫だ。キィにしか頼めない」
「…ですが!」
「大丈夫だって。あんがとな…シルビア」
キィの言葉にシルビアも何も言えなくなった
「とにかくキィ以外のメンバーは解散してくれ。
本当にご苦労だった。
「ハッ!」
こうしてキィとハーレンは2人になった
「はぁ〜、全くお前の仲間ときたら」
「仲間想いだろ?」
「全くだ。お前のためには危険を顧みない。また守るものが増えたな」
「ああ…嬉しい重りだ。
ところでハーレン…俺に何か隠してるんじゃないか?」
東京で感じた違和感についてハーレンを問い詰めてみた
「ハッハッハッ!いずれ分かるさ」
「あっそ、どうせ聞いても教えてくれねぇわな」
昔からハーレンはキィに何かと隠し事をしていた
キィもそれに気づいては問い詰めてを繰り返していた
「さてっ、話は戻るが心当たりがあるって言ったな、どうゆうことだ」
「そうだな、まず冥界の死者を呼び出す魔力を持つものがあるのは事実だ。そしてそいつは今、東の大陸にいる」
「っ!!マジかよ!どっちにも驚いたわ!
でも死者を蘇らせれるって…なんか複雑だな」
「シルビアの情報によると生命として蘇るというよりは戦闘人形として呼び寄せるらしい」
「なるほど…コミュニケーションができるとかではなくあくまで術者の操り人形ってわけか」
いずれにしてもとんでもない魔力だ
国王がキィだけに依頼したのは、バケモノ級の死者が現れた時にも迅速な対応ができるからだろう
「まぁとにかくその人物と接触してほしい」
「つってもどこいるのかわかんねぇじゃん」
「だから言ったであろう?心当たりがあると」
「え?」
「はぁー、ここより南に数10キロ離れたところに廃村となった村、"怪廻村"がある」
「怪廻村?なんだそれ?」
「旧大陸時代の遺産だ。元々は別の呼び名があったそうだが、近年その村で怪物が徘徊しているとの噂が跡を絶えない」
「ほぉ、怪異が廻る村で怪廻村。なんかガキがつけたみたいなネーミングだな」
子供用のお伽話のようなネーミングセンスにキィも少しバカにしたような顔をした
「んで?まさか心当たりがそんな噂話じゃないだろうな?」
流石にハーレンを疑った。こんな馬鹿馬鹿しい依頼のために何でわざわざ遠くまで行かなくちゃいけないのか疑問でしかなかったからだ
「ああ、そのまさかだ」
「うぉーい!嘘だろ!!」
「嘘ではない。ただ一つだけ確かなことがある?」
「へーなんでしょうかぁ?」
「その怪異を私は知っている…」
「は?何だよそれ」
唐突のカミングアウトにキィも少し戸惑った
「あの戦い…私は奴にやられた」
「…どんな奴だった?」
「んー、黒い…ひたすらに黒い霧のような…、フォルムすらも分からなかった」
「それ、生き物としておかしいだろ?」
「だからこそ怪異なのだろう。冥界から呼び寄せたんだ、それくらいの縛りは起きていてもおかしくない」
ハーレンは少し嫌な思い出を思い出しなか語った
謎の生物は誰かが冥界から呼び寄せたんだものだとふんだ
「とにかく分かった。俺はそこへ向かおう」
「すまない。気をつけてな」
「わかった。何か分かったら報告するさ」
こうしてキィは怪廻村へ向かった




