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アルティメット エンド  作者: 齋音寺 里
第六章・大樹が護りし古の遺跡
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第八話・アスタルジアの大精霊たち(3)

 レオンの質問を受け、同じように地図に視線を戻すダフネ。

 え~とぉ……と、地図を指しながら、順繰(じゅんぐ)りに大精霊と精霊の管轄区域について説明を始めた。



 いまレオン達がいる西の大陸――グラスランドには、三人の大精霊。

 かつて炎の島と呼ばれた北の孤島――ジラソーレには、一人の大精霊。

 海を渡った東の大陸――ベリーフィールドには、三人の大精霊がいるという。


 土の大精霊カリストは、グラシナの周辺。

 樹の大精霊ダフネは、クレーヴェルの周辺。

 風の大精霊アウラは、アルカディアの周辺。

 火の大精霊カカは、ジラソーレの周辺。

 水の大精霊テティスは、プリムヴェールの周辺。

 闇の大精霊セレーネは、ラヴァンドの周辺。

 光の大精霊アポロンは、アルストロメリアの周辺。


 精霊の役割はマナの源である精霊石を護る事であり、精霊石と共にマナを作り出し、世界中にそのマナを送り届けている。

 そしてそれが管轄区域になっている土地を護り、そこに住まう人間たちに加護を与える事に直結するらしい。

 その為、アスタルジアに存在する七人の大精霊は、それぞれがバランスを保った場所に位置しているのだという。



 説明を終えると『……こんな感じでどうかしら~? ちゃ~んと伝わった~?』と、可愛く人差し指を立てながらダフネはにっこりとする。



「分かりやすい説明をありがとな。しっかし……確かにフィトの言う通り、左の大陸の大精霊ばっかり狙われてるように見えるな……」



 改めて地図に目を落とし、目を細めるレオン。


「確かに地図を見るとそう取れるけどさ、たまたまってだけかもしれないよ?」

「普通、理由がないのにたまたま同じ大陸を狙うかぁ?」

「理由って言ったって、今は何を話しても憶測にしかならないでしょ?」



 そんな風に、レオンとリオンが物議を(かも)していると。

「もしかして……なにか順番とかがあるのかなぁ?」と、フィトは思った事を口にする。



『……さっすがフィトっち! なんかそれらしい答えっぽいねー!』

『……ルルディ。話している文法が滅茶苦茶です。何を言っているのか良く分かりませんよ』

『……言葉はフンイキっしょ! 細かい事はいーのいーの!』



 相変わらずやいのやいのする、ルルディとゼフィランサス。

 そんな二人はさておき――、至って真面目な顔でレオンはフィトを見る。



「それ、あながち間違ってねーかもな」

「えっとえっと……でも、根拠がないよ……?」



 期待の眼差しとも取れる瞳でレオンに見つめられ、それ以上の答えを持たないフィトは、あわあわと声を出す。

 そんな風に慌てるフィトの肩をぽんと叩き『……根拠なら、あるかもしれないわ~』と、意見に乗っかるように、横からダフネが顔をのぞかせる。



「ダフネ様、それって本当?」

『……ええ~。ただ、期待しすぎないでね~? これも単なる憶測に過ぎないのだから~』



 身を乗り出すリオンに注意喚起をしてから、ダフネは続ける。



『……どんなものにも、()()()()()()というものがあると思うのよぉ~。例えば~、体内を循環する血の巡りだったり~、海でいうと海流だったり~。……それと同じで~、このアスタルジアの生命エネルギーや、魔法を使う精神エネルギーの源となっているマナにも~、決まった流れというものがあるの~』



 そう話すと、ダフネは地図と向き合い――。

 土の祭壇、樹の祭壇、風の祭壇、火の祭壇、水の祭壇、闇の祭壇、光の祭壇――の順に、すすす、と地図をなぞって見せた。



『……こうやって円を描くように~、マナが流れていくのよ~。そして、一番最後にここに辿り着くの~』



 ダフネは地図の中央にある、小さな孤島を指し――、



『……ここは全ての終着点であり、始まりの場所と呼ばれる島――エリュシオン。この世界の最初の神が誕生した、特別な場所と呼ばれているのよ~』



 そう、目を伏せて話した。



「私、その話し聞いた事あるよ! 楽園エリュシオン、だよね?」

『……そうよ~。人間たちの間では、そう呼ばれているみたいね~』



 当たり前のように、フィトとダフネはそう言って頷き合う。

 ところが、その地名も話も聞いたことがなかったレオンとリオン。

 ふたりは「「楽園エリュシオン……?」」と、首を捻っている。



「エリュシオンっていうのはね……、暴風もなく、大雨もなく、常に陽光が溢れてる特別な場所なの。花は永遠にしぼまないし、ありとあらゆる果実がいつも熟しているんだって。年に一度の冬の日も、エリュシオンだけは雪が降らないんだよ」

「ほぉー、そんな凄い場所があるんだな。何もしなくても食っちゃ寝放題出来そうな所だ」

「年に一度の冬の日は僕も知ってるよ! 師匠が力が出なくなるって卑屈こねて、こたつから抜け出せない日だからねぇ~」

「レオンとリオンのお師匠様って、おもしろいよね! ゼウス様とケンカしちゃったり、隠居暮らししたり、こたつにこもったり……ふふふ、会ってみたいなぁ」



 フィトは楽しそうに、くすくすと笑って話す。

 それから脱線した話を戻すように『……そんなわけだから~』と、切り出すダフネ。



『……デスペナルティは~、マナの流れを辿って封印活動をしていると~、そう、読み取れるかしらねぇ~?』

『……ダフネ様。そう考えると、やはり次に狙われるのもダフネ様なのではないですか?』



 大精霊の言葉に、すかさず意見するゼフィランサス。

 それを聞いた周りの面々は、ダフネを除いてそれぞれ頷き合った。



『……そしたらデスペナルティの~、オレンジ髪の子がしていった宣言はどうなるのかしら~?』

『……そ、それは……』



 言い(よど)むゼフィランサスから一本取るように『……ね~? その為の、ワープでしょう~?』と、にっこりしてダフネは言う。

 さらっと答えてみせたダフネに、全員が目をぱちくりさせる。



「まぁ、それもそうなんだよね」

「ああ。分かんねー事をうだうだ考えててもしゃーないしな。ダフネ様もアウラ様も、俺たちが護り抜いてみせる」



 レオンのセリフに『……ひゅう! たっのもしー!』と、ルルディは口笛と共に歓喜の声を上げる。

 しかし、ラッパは吹けるのに口笛は吹けないようで。彼女のそれは、高い声を出した口笛風なのであるが。

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