第八話・アスタルジアの大精霊たち(2)
「道のりも分かった事だし、そろそろ出発しないとな」
「時間もない事だしねぇ。この先の道のりを考えると、気が重いけど……」
レオンとリオンがそんな話をしていると『……ええーっ。もう行っちゃうのー?』と、ルルディはフィトにしがみつく。
『……ルルディ。そんな風に駄々をこねるとフィトが困ってしまいますよ』
『……だってぇー。ゼフィランサスも本当は寂しいくせにぃー』
『……寂しいのなんて、当然じゃないですか。ですがルルディみたいに我儘は言いませんよ』
「えへへ。私も寂しいよ。でも、すっとお別れってわけじゃないから、ね?」
そんな風に女性陣がやいのやいのしていると「でもその前に……少し気になってる事があるんだ」と、レオンは言う。
「気になってること……?」と、フィトはルルディに抱き着かれたまま首を傾げる。
「ああ。いま話して解決できる事じゃないかもしれないけど、情報は共有しておいた方がいいと思ってさ。……ダフネ様、もう少しだけ時間をもらってもいいか?」
『……構わないわよ~。気になってる事って、なにかしら~?』
にっこりと微笑むダフネに、レオンは頷いて話を切り出す。
「昨夜、リオンと話してたんだけどさ……この先、大精霊が複数狙われる事もあるんじゃないかって思ったんだよ」
『……なるほどね~。確かにそういう事態も考えた方がいいかもしれないわよねぇ~』
「ああ。情報が少ないから憶測でしか物は言えないけどな」
話しに耳を傾けるダフネに「ただ……」と、レオンは続ける。
「デスペナルティはいままで、なぜ大精霊を一気に封印しなかったのかって謎が浮かんだんだ。ちまちま期間を空けて行ってるのには、それなりの理由があるんじゃねーかと思ってさ」
『……言われてみれば、確かに妙かもしれないわねぇ~』
レオンの言い分に、ふむ、とダフネは頷く。
「ヒュドラの奴は、弓の使い手である自分が負傷する訳にはいかないって言ってた。……それを考えると、封印が出来る要員が他にいないって事になる。そうなると、デスペナルティは少数精鋭って事になるんじゃねーかと思うんだ」
「それと……ネメアの言ってた事を鵜呑みには出来ないけど、封印に失敗したダフネ様を放っておいて、他の大精霊を狙うってのもなんか引っ掛かるよねぇ」
レオンとリオンの話しを聞いて「確かに、ヘンかも……」と言うフィト。
「どうしてわざわざカリスト様、ダフネ様、アウラ様っていう、近しい土地の大精霊を狙うのかなぁ? 今まで狙われた大精霊様って、みんなグラスランドの大精霊様だよね?」
『……確かに可笑しな話ですね。邪魔される事が分かっているのであれば、もっと遠く離れた大精霊を狙いに行けばいいはずです』
フィトとゼフィランサスの言葉を聞いて「なぁ、アスタルジアには七人の大精霊がいるんだろ? それぞれどこを護ってるんだ?」と、再び地図を見てレオンは言った。




