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アルティメット エンド  作者: 齋音寺 里
第六章・大樹が護りし古の遺跡
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第六話・これからのこと(2)

「それじゃあ……兄さんはいないけど、さっきヒュドラとネメアから掴んだ情報を整理しよっか。それで、これからの事も話していこう」

『……ちょいちょい。後ろで話は聞いてたけどさ、またいつデスペナルティがここに戻って来るのかも分かんないよね? 月の曜日に襲撃に来るって言ったって、嘘かもしれないじゃん?』

『……確かにそうですね。それに、次は風の大精霊様を封印するという話しがフェイクという可能性もあり得ます』



 ルルディとゼフィランサスの言葉に対し「いや~? それはどうかなぁ?」と、リオン。



「馬鹿正直なネメアの事だから、こっちを撹乱(かくらん)させるつもりで言ったってのはないに等しいと思うよ。調子に乗って挑発したつもりが実は口を滑らせてました~っていう、ただの頭の悪いオチだろうから。……まぁ、こっちとしては情報提供ご苦労様のごちそうさまって感じだけど」

『……なるほどねーっ。仲間の事はお見通しーって訳だね!』

「精霊さんたちには負けるけど、一応あいつらとは長い付き合いだからねぇ。……今となっては、()()()って言った方が正しいのかもしれないけどさ」



 そう言って苦笑いするリオンは、現実を受け入れるために自分で言った言葉を己に懸命に言い聞かせているようだ。

 自ら聞くに忍びない言葉を口にするリオンに対し、静まり返る面々。

 特に――ルルディはまた自分が余計な事を口走ってしまったと、気まずそうに縮こまってしまっている。

 そんな仲間を見て、ゼフィランサスは仕方なく重い空気を払おうと話を続けた。



『……思うのですが、こちらに吐露(とろ)してしまった作戦をそのまま遂行(すいこう)してくるでしょうか? それに、同じ日に二つの場所を襲撃する事も考えられます。そうなってはダフネ様も、風の大精霊――アウラ様も、どちらも危険という事になります』

「相手は馬鹿のネメアだけじゃないからなぁ。確かに、策の練り直しや変更もあるって考えないとダメかもねぇ」



 リオンは大きくため息をつくと「……それに。デスペナルティには他の仲間がいるってさっきヒュドラが言ってたし、陣営を固めるには明らかにこっちが不利すぎるよねぇ。どんな奴が何人いるのかも分からないし」と、手を上に上げる。



「なんてゆーか、詰んでる感が否めないなぁ~。離れた場所にいるのを同時に護衛するなんて不可能だしねぇ~……。せめてワープできたりなんてチート魔法でもないと……」

『……ありますよ~?』



 今まで黙って話を聞いていたダフネは、にっこりとリオンの冗談に言葉を返す。もったいぶる様子もなく、あっさりと口をついて出てきた返答。

 それを耳にした全員が「「『『……えっ!?』』」」と、口をあんぐりさせる。


 リオンとフィトはともかく、樹の精霊たちも知らなかった奥の手のようで――。ルルディとゼフィランサスは目をぱちくりさせ、この上なく驚いていた。

 それはまるで――、あんぱんの形状をしたパン生地の中に、カレーが入っていたくらいのびっくり状況だと説明しておこう。


 全く中身の見えない話に「それ本当ですか!?」「大精霊様って、そんな事もできちゃうの!?」『……ダフネ様、そんな話は初耳ですよ!?』『……まじぽん!?』――と、どよめく面々。

 ダフネはそんな様子にひとつも動じる事なく、おっとりと目を伏せて話す。



『……リオン、フィト。土の精霊たちから、口封じの魔法――というのは聞いたかしら~?』



 聞き慣れない言葉に「口封じの魔法?」と、首を傾げるリオン。

 それに対し――「リオン、ごめんね。あの時、その話はふたりにしてなかったよね」と、フィトは言う。



「私ね、カリスト様から口封じの魔法についてちょっと話を聞いてたんだ。あの時は関係のない話しかもって思って言ってなかったんだけど……」

「つまり……ダフネ様がいまそれを口にするって事は、何か色々と繋がりがあるかもしれないって事だね?」



 リオンがそう言葉を繋ぐと――、ダフネは笑みを浮かべて話しの続きを口にする。



『……良い機会だから、話せそうな所までお話しするわねぇ~。口封じの魔法っていうのは、()()()()()()()()()()()、私たち精霊にかけた呪術魔法なのよ~。これは大精霊だけじゃなく、全ての精霊にかけられているものなの~。それは世代交代をした精霊にも受け継がれてしまう嬉しくない呪いの贈り物でねぇ。……そのせいで私たち精霊は、真実を語る事を出来ずにいるのよ~』



 前のめり気味に「一体、誰が何の為にそんな事を?」と、思わずリオンは口走るも――、口封じの魔法という言葉を思い出してはっとする。それを言えないから、口封じの魔法なのだ。

 歯がゆくも伝えることのできない事柄を飲み込み、ダフネはふるふると首を横に振る。

 桃色の瞳に宿した真紅の花文様(はなもんよう)がうっすらと濃くなっているのは、きっと悔しさが溢れ出ている証拠だろう。普段感情の起伏を表に出さないダフネだが、募らせる怒りがいかほどのものかというのを、その目が物語っていた。

 すると――カリストからも話しを聞いていたフィトは、



「誰かに話されたら都合の悪い事……なんだと思う」



 そう自身のしていた考察をリオンに話した。

 なるほど確かに、これはただ事じゃないニオイがするわけなのだが――。

 全ての精霊に呪術魔法をかけられる力を持ち、そんなご都合主義を突き通すことが出来る存在なんてそうそういるものではない。

 それと――、リオンはとある事に気付いたのだ。精霊たちが真実というものを話せないのであれば、自分たちがその答えを導き出して答え合わせをすればいいのではないか――と。

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