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幻葬記  作者: ことは
第2話:巻き戻し時計
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巻き戻し時計 ~こぼれ話~

 仕事を終えた悠夜と仄は、悠夜の運転で本部に戻っていた。

 普段訪れない場所ということもあり、助手席の仄は窓から見える景色を楽しんでいた。


「この辺って、小さなお店がいくつもあって、いいですね。夜なんで閉まってるのが残念ですけど」

「開発地区だから、整備も整っているね」

 幅が広く、綺麗な道路は走りやすい。実感しながらハンドルを握る悠夜が補足する。

「じゃあこれからもっとお店が増えるんですね」

「そうだろうね」

「新しいお店の開拓がしたかったので、楽しみです!」

「ちょっと遠いけどね」

「そうなんですよねー。気軽に来られないのがネックです」

 そう言って口を尖らせる仄に悠夜は苦笑した。

 丁度、赤信号につかまり、ブレーキを踏みシフトをニュートラルに入れる。

 悠夜の運転は丁寧だ。もちろん仄が乗っているので安全運転を心掛けてはいるが、余計な振動や音を出さない。

 ほどなく信号が青に変わり、シフトをニュートラルからロウに入れ、半クラ発進をする。

 エンジンをふかしすぎることもなく、スムーズにシフトチェンジをしてギアをトップまで入れる。

 静かなエンジン音の振動が心地よく、眠くなってくる。

「……でも最初は、アンティーク・ショップに行きたいです」

「ああ、そうだったね」

「悠夜さん。連れて行ってくれるって……」

「うん。約束したからね」

「……約束、です」

「……仄?」

 悠夜が前に注意しながら助手席に視線を送る。

 仄は小さな寝息を立てていた。

 力を使って疲れたのだろう。

 あっという間に寝てしまった。


 悠夜は小さく笑うと、また安全運転につとめることにした。

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