式 ~こぼれ話~
一門の会合に出た捷が忘れ物をして戻ってきたため、早々に式封印のことがばれてしまったのだが、その忘れ物とはなんだったのだろうか。
「これです」
執務室に取りに行った忘れ物をスタッフルームにいた悠夜と仄に見せる。
それは高級そうなコニャック。ブランデーだ。
「要さんの好きな種類が手に入ったので、贈ろうと思っていたんですが、すっかり忘れていました」
言っていた忘れ物とは捷の従兄にあたる、神景要への贈り物だったのか。
仄は納得し、悠夜は軽く眉を寄せた。
「要さん、お酒好きですもんね~」
「……まさか会合の後、要さんと飲む気ですか?」
会合が終わるのはきっと深夜だ。だがこの二人なら十分にありえる。
「おや。よくわかりましたね。僕もこれ、飲んでみたかったので、要さんの所にお邪魔するつもりです」
やはりか。志織がいたらきっと怒る……。いや酒豪の彼女なら一緒にまざって飲むな。悠夜はため息をついた。
「ほどほどにしてくださいよ」
「大人の時間は楽しむものです。だからこそ面倒な会合にも顔を出すんです」
一門の会合を面倒と言ってしまった。ボスの本当の目的はその後なのだ。
「仄はもう帰りましょうね。悠夜はどうします? 飲むなら先に要さんの屋敷に行っていていいですよ」
未成年の仄を帰すのは当然だが、悠夜だって未成年だ。忘れられているのだろうか……。
悠夜は力なく首を横に振った。
「明日も仕事なんで……」
「そうですか。残念です。ではまた今度飲みましょう。要さんにも伝えておきます」
それでは行ってきます、と言って捷は笑顔で出て行ってしまった。
残された二人。
仄は心配そうに悠夜を見た。
「……悠夜さん。お二人と飲まれるなら、体、気をつけてくださいね」
「うん……」
悠夜は力なく頷いた。
きっと遠くない日に一席設けられる予感がひしひしとした。
☆お酒はハタチになってから☆




