Ch.61 アブナイ新天地
北の大地の刺激的な経験から約半年、克己がこの世界にやってきて二年半が過ぎた。
この日、克己は王宮を旅立った。
かつて宇宙を旅した魔女が治めた王国東部の大領地、イズモを治める領主貴族になったのだ。
「毎週手紙を出すからな!ちゃんと返事を書けよ!」
馬車に揺られる克己はマデリンの顔を思い出して呆れた笑みを浮かべる。
「お元気で・・・そして、私のことを時々思い出してくれると嬉しいです」
今度はトリーナの言葉を思い出す。
「楽しそうね。寂しくないの?」
優しい女性の声が克己に問いかける。
「そりゃな・・・ん?」
克己はそう答えると前を向いた。
克己の向かいに座っていたのは、ミアズマだった。
「いつの間に!?っていうか、なんでいるの!?」
克己はミアズマを見て驚く。
「イズモに行きたくなったから乗せてもらっちゃった」
ミアズマは克己に微笑む。
「い、いやいや・・・」
克己は言葉を絞り出す。
「あなた、付き人とか使用人っていないの?」
ミアズマは克己に問う。
「他の馬車に居るよ。一緒に乗りたくないだけ」
克己は戸惑いながらも答えた。
「ねぇ、私とお友達になってくれない?」
ミアズマは克己に笑む。
「と、友達?」
克己は困惑する。
「私、この世に友達がいないの。あなたとなら友達になれるんじゃないかって思ったの」
「他にも魔女が居るだろ?そいつらと友達じゃないのか?ロレッタっていう魔女に俺も出会ったことあるぞ?」
「あの子たちとはきっと仲良くできない・・・生きている世界が違いすぎるのよ」
ミアズマは少し切ない笑みを浮かべる。
「・・・」
克己は黙った。
「友達になってくれる?」
ミアズマは克己に笑む。
「あんた、何か訳アリなのか?」
克己はミアズマに訊ねる。
「どうしてそう思ったの?」
ミアズマは克己に訊ね返す。
「最初の魔女っていう肩書を持ってるのに年取ってないし」
克己はそう答えた。
「あら。若いって褒めてくれてる?」
ミアズマは克己に笑いかける。
(やりづら・・・)
克己はミアズマに愛想笑いをする。
「それに、家に帰る方法を探してるとか言ってただろ?それで生み出した魔法が異世界から人を転移させる魔法って、この世界で使われてる魔法の域を明らかに越えてる」
克己はミアズマに理由を話す。
「そうねー・・・お友達になってくれたら教えてあげる」
ミアズマは克己に微笑んだ。
「・・・わかったよ」
克己は観念したようにそう答えた。
「やった!じゃあ、今からお友達ね」
「友達になったんだ。俺の問いに答えてくれよ」
克己がミアズマに問うた時、ミアズマが声を上げながら窓から顔を出した。
「ウグイスよ!ウグイス!」
ミアズマの言葉に克己は馬車の扉を開けて外を覗いた。
「は、伯爵閣下!?走行中にドアを開けられては危険です!」
運転手は慌てて馬車の速度を落とした。
「ホーホケキョ♪」
満開の桜を見つめる克己は今にも停車しそうな馬車から降りて立ち尽くす。
「桜だ・・・」
克己は嬉しそうに言葉を零す。
アブナイ新天地編
山勝 直忠
計算に優れたすごい人。
光宮 清和
法律学が好きなすごい人。
名雲 光忠
イズモの文化学が好きな人。
八条 幸光
経済学に詳しいすごい人。
源宮 白雪
外交が上手なすごい人。
南川 道家
イズモの陸軍と海軍をまとめるすごい人。




