Ch.50 アブナイ秘境 その七
全身ずぶ濡れのトリーナ率いる教会騎士団はぬかるんだ地面の上に座り込んでいた。
トリーナは羊の腸で作った防水袋から火打石を取り出して火を起こす。
「どうしちまったんだろうな・・・いつもは剣を使って簡単に火を起こすのに」
「こんなに動き回ったんだ。団長殿も疲れてるんだろ」
「それもそうか・・・」
教会騎士たちが火で体を乾かしている間、トリーナは周りを監視していた。
「水も食料も乏しい・・・ユウキ様に助けを求めるにしても到底巡り合えない・・・というか、方角がわからない」
トリーナは周りを見る。
「・・・あれ?」
振り返ったトリーナは驚き困惑する。
居たはずの教会騎士たちがいないのだ。
「・・・ど、どこに・・・」
トリーナは教会騎士たちが居たであろう方向に慌てて駆けだした。
その一方、教会騎士たちはのんびり干し肉を食べていた。
「団長遅くね?」
「大丈夫かな」
「まぁ、大丈夫だろ」
教会騎士たちは軽く談笑する。
「不味い・・・」
トリーナは夜の密林を走り回る。
しかし、どこへ行っても深い緑しかない。
「どうすれば・・・」
トリーナは汗を垂らしながら走り回る。
「はぁ・・・はぁ・・・」
足を止めたトリーナは息を荒げる。
眼前に広がる見たことがあるようなないような鬱蒼とした緑を見つめる。
この深い緑がトリーナをさらに焦らせる。
トリーナが死ぬ気で走り回っていたその時、木の枝につけられたピンク色の布が風で揺らいだ。
足を止めたトリーナはゆっくりとピンク色の布に向かって歩みを進める。
「・・・新しい」
トリーナは雨に濡れた色鮮やかな布を見つめる。
この布に希望を見出したトリーナはピンク色の道しるべを追って走り出す。
無我夢中で駆けまわっていると、暗かった空はいつの間にか明るくなっていた。
夜通し走り続けた移動の甲斐あってか、たくさんの人影が見えてきた。
「ん?」
ミシカの船乗りと同じ格好をした屈強な男たちがトリーナを見る。
屈強な男たちの腰には鉄塊のように分厚く大きなナタやハンマー、ピッケルなどがある。
「テメェ、王国の騎士だな!?」
「王国の人間め・・・食材を横取りする気だな!?」
マスケット銃を肩にかけた屈強な男たちがトリーナに詰め寄る。




