Ch.49 アブナイ秘境 その六
みんなが料理や設計をしている間、結城 克己は研究員たちと遺跡を調べていた。
やはり研究者というのは知識が並大抵ではなく、この石工文明が築かれた年代をすぐに特定してしまった。
この石工文明はおよそ二万一千年から三万年前に築かれた可能性が非常に高いと研究員たちは語る。
研究員たちが年代の特定に至った要因は、石碑に刻まれた文字だった。
「この文字はフェル文字という"最初の魔女ミアズマ"が降臨する前に使われていた古代の文字なんです」
研究員は石碑に刻まれた文字をスケッチする。
「フェル文字を使った文明の痕跡は建国戦争で失われていて、残っているものはとても貴重なんです」
研究員はワクワクしながら石碑に刻まれた文字を翻訳していく。
だが、研究者たちのワクワクはすぐに消え去った。
なんと、石碑に刻まれた文字はご近所さん同士でやるような雑談と料理のレシピだったとのこと。
「はぁ・・・やっと見つけた古代文明がこんな・・・」
研究員たちは石碑を見て落胆する。
「これ、インドとかそっちの方の料理っぽいな」
克己は翻訳されたレシピを見る。
「インドとは?」
研究員は克己に問う。
「ただの独り言だ。気にするな」
克己は誤魔化すようにそう答えた。
結城 克己たちは他の石碑を探して探索を続ける。
しかし、石碑は一つか二つ程度しかなく、どちらにも歴史を紐解くようなものは何もなかった。
「・・・」
焚火の前に戻った克己は翻訳されたレシピをボーっと見つめる。
(あれ・・・?)
そして、克己は一つの疑問にぶつかった。
「この文明って二万一千年から三万年前に築かれた可能性が非常に高いんだよな?」
克己は研究員たちを見る。
「えぇ・・・」
落胆していた研究員たちは克己の言葉にハッとする。
「こ、これッ!」
研究員はこけそうになりながら駆けだすと石碑に触れた。
「まさか・・・この下に・・・」
研究員は掴むように両手で地面に触れて目を輝かせる。
「もしかしたら、この下にあるのは古代の王国かもな」
克己は地面を見て笑む。
「なんだかとってもロマンチックなのです」
ブローニャは克己を見て笑む。
「掘りましょう!!今すぐ!!」
興奮した研究員たちは克己に駆け寄る。
「待つなのです。最低でも二万一千年、最悪の場合三万年積もった土や砂を掘らなきゃいけないなのです。それなりの人と道具が必要なのです」
ブローニャは研究員たちを見る。
「ふむ・・・確かに・・・」
研究員たちは落ち着きを取り戻して座った。
「掘り起こすのは無理だと思うぞ」
克己は焚火を突きながら一言放つ。
「無理?」
ブローニャたちは克己を見る。
「たとえ柔らかい土であろうと数万年という時間積もり続ければ岩のように固くなる。人の手で掘れるのは精々十メートルだろう」
「確かに・・・」
「うぅ・・・どうすれば・・・」
研究員たちは考えながら唸る。
「採掘機使うか?採掘現場で使われてる強い奴だ」
鍛冶師は克己たちを見る。
「いや、流石に無茶だ。ここまで運ぶ手段がないし、グラン・チェレパハがここでジッとしている保証もない」
冷静になった研究員は鍛冶師を見る。
「はぁ・・・古代文明・・・この下にはどんな歴史が・・・」
研究員は愛おしそうに地面に頬ずりをする。




