Ch.5 アブナイ姫様 その五
翌日、結城 克己は王に誘われて王の居室で食事をした。
「其方、実に奇天烈で面白いな」
王は結城 克己のグラスにワインを注ぐ。
「どうも・・・」
結城 克己は愛想笑いする。
「名は・・・結城 克己と言いましたかね?」
王妃は結城 克己に訊ねる。
「はい」
結城 克己はワイングラスから手を放して背筋を伸ばす。
「ミノリの民ですか?それとも、イズモ?」
(出雲・・・?)
結城 克己は王妃の言葉に驚きを隠せない。
「ど、どうかしましたか?」
王妃は結城 克己の反応を見て少し困惑する。
「い、いいえ・・・その・・・ハハハ」
結城 克己は少し動揺しながら話そうとするも、最後には笑って誤魔化した。
「少し、イズモについて話しましょうか?」
王妃は結城 克己に優しく訊ねる。
「・・・良いですか?」
結城 克己は恐る恐る訊ね返す。
「イズモというのは王国最東の大領地です。大政令府という独自政府を中心に魔法を使わない社会を形成しています」
「イオ・エヴル・オルテウス=タイムフラワー・エルドキニシアという魔女の長のような存在が六千年以上大領主として治めていて、驚くべき量の記録と技術と賢人を有しています」
王妃は丁寧に説明する。
「・・・そう・・・ですか・・・」
結城 克己は考えながらそう言葉を紡いだ。
結城 克己は自室に戻ってベッドに寝転がった。
(ここは異世界じゃないのか?ヨーロッパに転移しただけ?いや、でも・・・イズモってそこまで大きい土地じゃないよな・・・)
結城 克己は天井を見つめる。
結城 克己の提案から一週間とちょっと経った。
再び玉座の間にアヒルのおもちゃを持った職人たちが集った。
職人たちはアヒルのおもちゃが浮かぶ水桶を王の前に置いていく。
「どうだ?」
王は結城 克己に目線を送る。
「良いですね」
結城 克己はアヒルのおもちゃを見て懐かしそうに笑む。
「お風呂に浮かべてみましょうか」
結城 克己の提案に王は嬉しそうに首を縦に振った。
「って、なんで俺も風呂に??」
入浴着で身を包んだ結城 克己は入浴着で身を包んだマデリンとトリーナを見る。
「お主が提案したのだ。最後まで見届けよ」
マデリンは西洋扇子で結城 克己を指した。
体を軽く流した結城 克己は湯船につかる。
「はぁ~・・・風呂はマジで一日の終わりって感じがするわ~広い風呂って最高・・・」
結城 克己はのびのびと湯船に浸かる。
「おい」
マデリンは結城 克己に蔑んだ視線を送る。
「何?」
結城 克己はマデリンを見て笑みながら声をかける。
「なぜそんな遠くにいる?」
マデリンは対岸に居る結城 克己を不満げに見つめる。
「そんなに遠いか?」
「遠いわ!というか、遠すぎだ!声張るの疲れるわ!!」
「なんだ~?お主、こんな少女の体を見てけしからん感情を抱いてしまうのか~?」
マデリンは結城 克己をからかうように笑った。
「俺はペドじゃない。それから、変な心配しなくても明日には城から出ていくつもりだ。まぁ、色々とありがとうな」
結城 克己の言葉にマデリンから笑顔が消える。
(このままここに居たら絶対勉強教えてやってくれとか言われる!!俺も勉強は得意じゃないんだよ!マジで勘弁してくれ!)
結城 克己は滝のように冷や汗を垂らす。




