Ch.42 アブナイ北の大地 その六
拠点を一通り確認した結城 克己はブローニャと共に食事場に戻って食事を始めた。
「食事出せるか?」
克己はシェフを見る。
「はい、いつでも出せますよ」
シェフは克己を見て笑む。
克己とブローニャの所に運ばれて来たのは、こんがり焼かれたセルグニーナ・ブラガラードヌィエ・クリヴィェートキとじっくり長時間焼かれたジューシーな牛肉だった。
「マリアさんは?」
克己は巨大な赤エビを食べるブローニャを見る。
「自分の部隊の方で仕事をしているなのです」
ブローニャは巨大な赤エビを食べながら克己を見る。
「ウッマ!!」
克己は巨大な赤エビにかぶりついて驚愕する。
「このエビ、昔は貴族しか食べられなかったらしいな」
克己はブローニャに訊ねる。
「そうなのです。昔は女皇セルグニーナ、大公クリシナ、公爵ゴゼワの王朝不朽三家が管理していたなのです」
「儲かったのか?」
「なんか含みがある言い方なのです・・・」
ブローニャは克己を見て不服そうに眉を顰める。
「勘違いしているかもしれないから言っておくなのです。セルグニーナ・ブラガラードヌィエ・クリヴィェートキの権利を王朝不朽三家が握るようになったきっかけは、外国から流れてきた無法者が原因なのです」
ブローニャはハキハキと話し始めた。
「何か事件があったのか?」
「とっても昔、王朝不朽三家が権利を握る前のブラガラードヌィエ・クリヴィェートキの市場は無法者が支配していて真っ黒だったなのです」
ブローニャはお茶を飲む。
「組織を創って力を持った無法者たちの甘言に惑わされて手を組んだ民が、周りに与える影響を考えずに養殖場を広げたせいで、環境が崩れてトドのような大型動物が住処や餌を失って村や集落を襲う事態に至ったそうなのです」
ブローニャはトロトロになるまで焼かれた牛肉を食べる。
「王朝は事件を解決できたのか?」
克己はブローニャを見る。
「もちろんなのです」
ブローニャは克己を見て笑む。
「すごいな。王朝にはそんな軍事力があったのか」
「武力なんて必要なかったなのです」
「え?」
「セルグニーナ王朝は研究・保護の名目で繁殖させていた魚とペンギンを海に放流しただけなのです」
ブローニャはセルグニーナ・ブラガラードヌィエ・クリヴィェートキを食べる。
「それで解決できちゃったのか」
「そうなのです。この事件からブラガラードヌィエ・クリヴィェートキの養殖は王朝不朽三家によって厳格に制限され、自他ともに認める高級食材、セルグニーナ・ブラガラードヌィエ・クリヴィェートキへと変わったなのです」
「食材の歴史っていうのは面白いな」
克己はブローニャを見て微笑む。




