Ch.39 アブナイ北の大地 その三
結城 克己たちは領主邸で休み始めた。
この領主邸は栄華を極めた時代からあるかつての王宮である。
かつて旧貴族が生活していた高貴な部屋に入った結城 克己は荷物を下ろした。
「はぁ・・・北の大地か。美味そうなものがたくさんありそうだな」
克己は高貴なベッドに寝転がって北の海の海産物を想像する。
「ユウキ様、入ってよろしいでしょうか?」
ドア越しにマリアの声が響く。
「どうぞー」
「あらあら、ユウキ様・・・」
マリアは豪華絢爛な扇子を閉じると克己に駆け寄った。
「・・・」
マリアは克己に覆いかぶさる。
「ナ、ナンデスカ・・・!?」
克己は目の前まで来たマリアを見て驚愕しながら情けない声を零す。
「お部屋に異性を迎える時は・・・起きていましょうね。勘違いされてしまいますわよ?」
マリアはそう注意すると克己から離れた。
(き、緊張しすぎて・・・息ができなかった・・・)
克己は心臓を高鳴らせながら息を荒くする。
「お暇なら町を観光がてらお食事しませんか?女皇陛下が案内したいそうですよ」
マリアは豪華絢爛な扇子を広げた。
「します・・・」
克己はスッと起き上がった。
領主邸から出た結城 克己は合流したブローニャにガイドされながらゴーラト・ディマホードフを観光し始めた。
「ゴーラト・ディマホードフに来たら絶対食べて欲しいのはカラリェーフスキー・クラープなのです」
ブローニャは克己を見て笑むと小さな旗で店を指した。
「へぇ~」
克己は簡素な店を見る。
ゴーラト・ディマホードフのソウルフードは真っ赤に茹で上げられたタラバガニ。
人の腕くらいの太さがある脚には旨味の塊がギュッと詰まっている。
一口かじれば中からカニの旨味が溢れ出し、口が旨味で支配される。
別売りのカニ味噌のソースを注文すれば美味いとしか言えない体になってしまう。
「美味い!美味いな~!」
克己はカニを口一杯幸せそうに頬張る。
「美味いなのです!」
ブローニャはカニを口一杯幸せそうに頬張る。
「ほら、女皇陛下。お口の周りが大変なことになっていますわよ」
マリアはブローニャの口を布巾で拭く。




