↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
37/61

Ch.37 アブナイ北の大地

結城 克己とトリーナとマデリンを乗せた都へ戻る馬車の中には少し不穏な空気が流れている。

「お主ら、随分楽しそうだったな」

マデリンは克己とトリーナに蔑むような目線を送る。

「え、えぇ・・・楽しかった・・・です・・・」

克己の答えを聞いたマデリンは克己の足を踏んだ。

「イッタァ!痛ッ・・・」

克己は足を押さえる。

「お主は妾の夫となる者!妾を差し置いてトリーナと楽しむなど許せん!!」

マデリンは西洋扇子を振り回す。

「姫様、落ち着いてください!」

トリーナはマデリンをなだめる。

「落ち着けよ!イタタタ!」

克己はビシバシと西洋扇子で叩かれる。


数日後、結城 克己たちは王宮へと帰還した。

帰還した結城 克己を待っていたのは、最低気温マイナス七十八度の極寒の地を治める若き領主とマリアだった。

「随分と変わりましたわね。結城 克己男爵閣下」

マリアは克己を見る。

「まぁ、色々あってな」

克己はマリアを見る。

「何かに手酷くやられたように見えますが」

マリアは克己を見て静かに笑う。

「ユウキ様はその身を賭してミシカを救った英雄です。笑うことは許しません」

トリーナはマリアにけん制する。

「止せ」

克己はトリーナを窘める。

「どうせ噂か何かを聞いたんだろ?」

克己はマリアを見ると椅子に座った。

「ミシカ沖に現れたツァーリ・キトフを制したという話は本当なのです!?」

ペンギンのような姿になるまで厚着した女の子はふわりと甘くて優しい声でそう話しながら克己に迫る。

「ツァーリ・キトフ・・・なのかはわからないけど、でかいクジラをみんなで倒したっていうのは本当だ。無傷というわけにはいかなかったがな」

克己はペンギンのような姿になるまで厚着した女の子を押し戻した。

「髭、生やしたのね」

マリアは克己の髭を見る。

「治療中に伸びただけだ。鬱陶しいと言えばそうだが、剃ると姫がうるさい」

克己は髭に触る。

「というか、この子誰?マリアさんの娘?」

克己はペンギンのような姿になるまで厚着した女の子を見る。

「失敬なのです!」

ペンギンのような姿になるまで厚着した女の子は克己を見て怒る。

「このお方は我らが祖国、セルグニーナ・セーヴェルナヤを治めるお方・・・ブロニスラヴァ・セルグニーナ様です」

マリアがそう紹介するとペンギンのような姿になるまで厚着した幼き北方大領主のブローニャがドヤっと胸を張った。

「この子が北の女皇か!それは失礼しました」

克己はブローニャに深々とお辞儀する。

「分かればいいなのです」

ブローニャは克己を見て笑む。

「爵位は子爵ですけれどね」

マリアの言葉に克己はこけそうになる。

「北の女皇って・・・先代か何かの愛称とかか?」

克己はブローニャを見る。

「いいえ、王国が渡した爵位が子爵というだけです。セルグニーナ・セーヴェルナヤの憲法、法律、政府・民の識(しき)では女皇です」

マリアは豪華絢爛な扇子を広げた。

「なるほど・・・」

克己はブローニャを見つめる。

「トリーナ殿、少し席を外していただけますか?これから友人同士の個人的な話し合いをしますので」

マリアはトリーナを見つめる。

「は、はい・・・」

トリーナは克己の反応を見ながら部屋を出た。

「で、どんな要件だ?」

「ユウキ様は魔法を誰でも使える技(・)術(・)に変えてしまったと聞いたなのです。しかも、伝説の大鯨ツァーリ・キトフを倒したと来たなのです。そんなユウキ様に協力してほしくてここまできたなのです」

ブローニャはそう伝えると、事情を簡単に話した。

「秘境を背負うカメ!?」

克己は驚きながら聞き返す。

「そうなのです。甲羅だけで七十五平方キロメートルもある凄いカメさんなのです」

ブローニャは暑そうに返事をする。

(流石は異世界・・・クジラとクラーケンもヤバいと思ったが、まさか島みたいなカメまで・・・)

克己は黙ってブローニャの話を聞く。

現存する唯一の古代種である秘境を背負うカメ、グラン・チェレパハ。

そんな巨大なカメが普段は決して見ることができない生き物を引き連れて接近しているのだという。

「グラン・チェレパハは一万年に一度しか姿を見せないなのです。どうかフェスティバルの指揮をお願いしたいなのです」

ブローニャは克己に頼む。

「現存する唯一の古代種か。なんだかロマンがあるな」

克己は文献を見てワクワクした笑みを浮かべる。

「そうなのです!ロマンがあるなのです!さぁ、すぐ行きましょう!早く行きましょう!」

ブローニャはもこもこの帽子をかぶると克己を引っ張る。

「待て待て。私用とは言え一声かけないと流石に心配される」

克己はブローニャを説得するとトリーナに私用で王宮を離れることを伝えて王宮から出た。

アブナイ北(きた)の大地(だいち)編

ブローニャ

北の大領地を治める若き大領主。

現地では女皇と呼ばれている。

本名はブロニスラヴァ・セルグニーナ


マリア

北の大領地で法務を遂行するお姉さま。

細かい法律違反は気にしないタイプ。

本名はマリア・ゴゼワ


鍛冶師(かじし)たち

フェスティバルを支える男たち。

酒と鍛冶がとにかく好き。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。