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Ch.30 アブナイ姫様リターンズ その五

一週間後、トリーナが集めた植物が結城 克己の部屋に並べられた。

結城 克己は真剣に植物を観察していく。

「これ、どういう花を咲かせますか?」

結城 克己はトリーナに問う。

「黄色の星のような花です」

トリーナはそう答える。

「これだ」

結城 克己は確信を持ったように小さな赤い実を収穫した。

「あの・・・それは大陸南部、ワイルド領から運び込まれた観葉植物ですが」

トリーナは結城 克己を見る。

「南部のワイルド領?じゃあ、間違いない。これがトマトだ」

結城 克己は赤い果実を見て笑むとすぐに食べた。

「トマト・・・」

トリーナは赤い果実を食べる結城 克己を見て少し引く。

「酸っぱい・・・こりゃ砂糖必須だな」

結城 克己は嬉しそうに赤い果実を収穫していく。

「この植物の実を桶一杯用意してください。あと、栽培するように頼んでおいてください!」

結城 克己は厨房に走った。


厨房に居る料理人たちは結城 克己が持ってきた赤い果実を不思議そうに見つめる。

結城 克己は赤い果実を適当に切って煮込み用の細長い陶器で水と一緒に煮込み始めた。

途中でマブッチャのオイルとペシルコの葉も入れて煮込み、トマトソースを作り出した。

「できた!!地下の冷暗所に運んでくれ」

トマトソースは料理人たちによって地下に運ばれた。


そして、夕食の時間がやってきた。

食堂には不安気な毒見役キーリーと不機嫌なマデリン姫だけが居る。

一方の厨房では結城 克己とシスタートリーナがプロトッシュとトマトとモルツレッラのチーズを使ってサンドウィッチを作っていた。

表面を焼いたパンにマブッチャのオイルをたっぷりかけてトマトソースを敷き、その上にモルツレッラのチーズとプロトッシュを乗せてサンドした。

その調理の工程を見ていた料理人たちが切り分けて陶器製の皿に乗せて運んだ。

「おぉ!今日のパンは豪華ではないか!」

マデリンはサンドウィッチを見て目を輝かせる。

「美味い!」

マデリンはサンドウィッチを食べて目を輝かせる。


その頃、結城 克己はバルコニーで椅子に座って考え事をしていた。

(血圧が・・・高い・・・このままだと早死にだな)

結城 克己は沈みゆく夕日を見つめる。

(またゆっくりと旅をしたいな。米とか海鮮が食べられる場所に行きたい・・・)

考え事をする結城 克己の膝の上にマデリンが乗る。

「あのパン、美味かった!お主が作ったものらしいな!」

マデリンは結城 克己を見て笑む。

「儂からも礼を言う。あのパンはこの王国の宝となるだろう」

王は結城 克己を見て笑む。

「俺が作ったわけじゃないですよ。何百年も前からある既存のレシピだ・・・」

王を見た結城 克己は夕日を見つめる。

「其方、色々な事情があり、心に大きな穴が空いておるのじゃろう」

王は結城 克己の傍でしゃがみ込んだ。

「しかし、今の言葉は多くの人間を傷つける」

王は結城 克己を見つめる。

「・・・」

結城 克己は王を見る。

「医者は食わず病に悩まされ、寝る時間を削ってまで解決方法を探していた。命を落とした医者もいると聞く」

「食材を売る商人たちも何を売って良いかわからず、暑い時期は貧困に苦しんでいた」

「料理人たちも料理が売れず、自身の誇りを失いかけていた」

「其方の知恵は誰かからの借り物かもしれないが、儂らにその知恵を伝えたのは間違いなく其方だ」

結城 克己に語った王は優しく結城 克己の手を握った。

「誇れ。其方はこの王国に必要な存在だ」

王の言葉に結城 克己は手を握り返した。

王が去るとマデリン姫が結城 克己を抱きしめた。

「お主と会った時は何とも思わなかった。むしろ、姫に対して生意気で気に喰わん奴だと思っていた」

マデリンは徐々に表れる星空を見る。

「しかし、今は本当に・・・心の底からお主を愛しておる」

マデリンは結城 克己を見て微笑んだ。

「なんだよ・・・みんな寄ってたかって・・・」

結城 克己はマデリンを見て恥ずかしそうに笑った。

「よし!今日は一緒に寝てやろう!」

マデリンは楽しそうに結城 克己を抱きしめた。

「トリーナ、スポンタートルを用意せよ。ルィイと臓物も!」

「御意に」

マデリンの言葉にトリーナは簡単に返事をした。

「キーリー!変な話しやがったな!?」

結城 克己が文句を言っている時、キーリーはプロトッシュを食べながら高いワインをがぶ飲みしているのだった。

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