Ch.3 アブナイ姫様 その三
トリーナからひたすら謝罪を受けた結城 克己は食堂に連れて来られた。
「私は姫様の専属従者、トリーナです」
トリーナは凛と咲く青いスイレンの花のような声色の中に冷たさと力強さがある声で結城 克己に自己紹介をする。
「トリーナ?スイレン・・・?あ、結城 克己です」
結城 克己はトリーナの鎧に刻まれた紋章を見てそう呟くと自己紹介をした。
「あの、政略結婚って・・・」
結城 克己はトリーナに恐る恐る問う。
「ありませんよ。五百年も前に廃れました」
トリーナのあっさりとした回答に結城 克己は頭を抱えた。
「姫様はすぐに嘘をつきます。そして、その度に小綺麗な人を婚約者として連れてきます。それに加えて極度の勉強嫌いと風呂嫌い・・・今回はお風呂に入りたくなくて逃げたのです」
「それが姫と呼ばれる者の性格か?」
結城 克己は呆れたようにマデリンを見つめる。
「姫様、流石に入らないとダメです。もう一週間お風呂に入っていませんよ?」
トリーナはマデリンを蔑んだ目で見る。
「うわー!痒ッ!!聞いただけで体に痒みが!!」
結城 克己は体を掻きながら悶絶する。
「別に良いではないか。一週間どころか一ヶ月風呂に入らん者もおると聞くぞ」
マデリンはぶどうジュースを飲み干す。
「姫様は将来女王となる御身分なのです。民の手本となり、導いていかなければなりません。勉学に励み、身を清潔に保たなければなりません」
「あー・・・きーこーえーなーいー」
マデリンは耳を塞ぎながらそう言った。
「何かおもちゃとか用意してみたらどうですか?」
結城 克己はトリーナに提案する。
「おもちゃ・・・ですか?」
トリーナは首を傾げる。
「小さい頃、お風呂にアヒルを浮かべて遊んだり、釣りのおもちゃで遊んだって言う人、結構いましたよ?」
トリーナはそう話すをする結城 克己に近づく。
「その話、もっと詳しく!!」
トリーナは結城 克己の手を強く握る。
「イタタタ・・・」
結城 克己は蚊の鳴くような声で呟く。




