Ch.27 アブナイ姫様リターンズ その二
結城 克己とロレッタが氷の魔道具を夢中で改良していると、いつの間にか夏が来た。
そして、それと共にトリーナも来た。
「姫様が随分とお怒りです・・・」
トリーナの言葉に結城 克己は頭を抱えた。
ロレッタと別れ、馬車に乗って移動し始めるとトリーナが相談をしてきた。
「ユウキ様、少し相談があります」
トリーナは結城 克己を見る。
「相談?」
結城 克己はトリーナを見る。
「実は・・・」
トリーナの相談とは、夏の時期に都で流行る食わず病の解決方法についてだった。
食わず病は各地で転々と確認されていた病である。
その被害は少なく、奇病の域だった。
しかし、近年は都でも広まり、商売にも大きな打撃が出始めたとのこと。
この病、最高気温四十度を記録する超暑い日本で生活して来た結城 克己には心当たりがあり過ぎるほどあった。
「それ、夏バテってやつじゃないですか?」
結城 克己はトリーナを見る。
「ナツバテ?」
トリーナは結城 克己を見て首を傾げた。
「夏の暑さが原因で起きる症状です。夏は暑さでいつも以上に体力が消耗したり、体に負荷がかかったりするんで自分が思ってる以上に疲れちゃうんですよ」
「治す方法はあるのですか?」
「ん~瓜を食べて体を冷やしたり、冷たい麺を食べたり・・・」
「って、ここそういう麺ってあるのかな?」
結城 克己は考えながら呟いた。
「ウリ?」
「ん~っと・・・」
結城 克己は図鑑を開く。
「そう!グリーンキュリーとかレッドキュリー」
結城 克己は図鑑を見せた。
「なるほど・・・」
トリーナは図鑑を見る。
「しかし、冷たい麺というのは・・・」
トリーナは結城 克己を見る。
「やっぱり、そういう麺ってないですか?」
結城 克己はトリーナを見る。
「あるにはあります。しかし、この辺はパスタが主流なので・・・」
「まぁ・・・パスタも冷たく食べられますよ?」
結城 克己は図鑑のページをめくる。
「麺を長めに茹でて底が深い他の容器に移し、マブッチャのオイル、ペシルコの葉、プロトッシュ、レモナ、モルツレッラのチーズを入れて混ぜ合わせる。調理も簡単だし、結構美味しいですよ」
結城 克己は図鑑のページをめくっていく。
「ユウキ様!それを王に!!」
トリーナは結城 克己に迫る。
馬車で都に戻って来た結城 克己は王に再び謁見した。
「およそ一年ぶりではないか、ユウキ。また会えて嬉しいぞ」
王は結城 克己を見て嬉しそうに笑む。
「はい・・・」
結城 克己は王を見る。
「ユウキよ、食わず病の解消法を知っていると聞いた」
「はい」
結城 克己は返事をすると王に説明をした。
「よし、ユウキよ。早速作って参れ」
王は結城 克己を見て笑んだ。
結城 克己はキッチンに入った。
全て大理石で作られたキッチン、鍋などの調理道具は遠く東方の領地から来た超精巧な物ばかりである。
(どうしよう・・・これ素人がどうこうできることか!?)
結城 克己は沸騰するお湯を見る。
(ブチギレエンドか?主人公打ち首でこの話終わりか!?)
結城 克己は黙ってパスタを作っていく。
マデリン姫たちは結城 克己が作ったパスタを食べる。
「ん~中々美味いではないか!!」
王は結城 克己を見て笑んだ。
「フルーティーなマブッチャの香り、ペシルコの葉が放つ香りが食欲をそそり、レモナとプロトッシュのスモーキーな香りと強い塩気が口の中に広がる・・・そして、モルツレッラのチーズが口の中に残った塩気をまろやかにしてくれる」
トリーナはパスタを見て笑んだ。
「美味!美味だ!」
マデリンは結城 克己を見て笑んだ。
「プロトッシュは保存も効きます。増産して良いと思いますよ」
料理長はプロトッシュを見つめる。
「よし!今日から獲れた豚肉は全てプロトッシュにするように!!」
王は大臣たちを見る。
こうして、夏の時期に流行る奇病、食わず病は解消された。
結城 克己の名前は王都に轟き、結城 克己はプロトッシュ大臣と呼ばれるようになった。




