Ch.24 アブナイ二人旅 その八
二日後、ミノリ領の領主と王が町長の屋敷に到着した。
「進め」
ミノリ領軍の兵長は結城 克己たちを連行する。
結城 克己とキーリーと運転手は窓辺から小さな庭園が見える部屋に入れられた。
しばらくすると、ミノリ領の領主とミノリ領の官僚たちと王が結城 克己たちがいる部屋に来た。
「ユウキ・・・」
ミノリ領の官僚に囲まれた王は申し訳なさそうに呟く。
「王様・・・」
結城 克己は王に覚悟した表情を向ける。
「・・・・・・うむ」
王は結城 克己を真っすぐ見てうなずく。
「ではでは、国王陛下。少し妾たちの悩みを聞いてほしいのでございます」
ミノリ領の領主は王に微笑む。
「妾の領地は見ての通り海どころか川すらない領地!魚はどれだけ小さくても高価!みんな魚が食べたくて食べたくて仕方ないのでございます」
ミノリ領の領主は手をすり合わせる。
「ズバリ言いましょう!妾たちに海がある土地をくださいな」
ミノリ領の領主は王に近づく。
「沿岸部全部ほしいところですけど、ミシカとメムトの二つで手を打ちましょう!」
ミノリ領の領主は手を差し出した。
「・・・」
王は威圧感を放つミノリ領の官僚たちを見て冷や汗をかく。
「ね?若き天才を失うのは惜しいでしょう?妾たちだって人殺しがしたいわけではないんでございますよ」
ミノリ領の領主は魔法の杖を結城 克己に向けた。
(王様、王国の秩序と民の故郷を守れるんだぞ。何をためらってんだ!早く断れ!!)
結城 克己はためらうように黙る王を見つめる。
「さぁ!早く同意を!!」
ミノリ領の領主たちは王に迫る。
その時、血相を変えたミノリ領軍の兵長が来た。
「なんじゃ!まだ海は手に入っておらんぞ!」
ミノリ領の領主はミノリ領軍の兵長を見て怒鳴る。
「あ、あぁ・・・領主様・・・その・・・」
ミノリ領軍の兵長が酷く焦る。
「あらあら、そういうお話には我々も呼んでいただかなくては」
高貴な女性は襖の前に立つ。
「だ、大法務官様!!」
ミノリ領の領主は高貴な女性に慌てて首を垂れる。
「ミノリ領にミシカとメムトを与えるなんて随分と太っ腹ですわね。そんな腹があるならセルグニーナ・セーヴェルナヤの独立をさっさと認めてくださる?」
セルグニーナ王朝公爵、ゴゼワは豪華絢爛な扇子を広げた。
「うむ、そうだな・・・ミノリ領にミシカとメムトを与えるのだ。致し方・・・」
王の発言をミノリ領の領主が慌てて止める。
「勘弁してください!いや、もうミシカもメムトもいりませんから!」
ミノリ領の領主はゴゼワに土下座する。
「そうやって首を垂れる貴族を何人も見て来たわ。治安を乱したり、血税を使い込んでいたり、物を盗んだり、全て碌な奴ではなかったけれど・・・」
ゴゼワは執行剣を握り、振るってきた手でミノリ領の領主の顔を撫でる。
「・・・」
ミノリ領の領主はゴゼワを見て大粒の涙をこぼす。
「さ、行きましょ」
ゴゼワは結城 克己たちに笑む。




