Ch.19 アブナイ二人旅 その三
馬車道沿いに進んでいると、キーリーが意を決したように話し始めた。
「ねぇ・・・ゴゼワ様ってヤバい人じゃなかった?」
キーリーは自信がなさそうにもにょもにょとそう話す。
「ヤバい人って?」
結城 克己は植物図鑑を見ながら問う。
「北の大領地に住む死神とかじゃなかった?」
「死神・・・死神!?」
結城 克己は驚きながら視線をキーリーに向ける。
「なんか、一年で四百人近い人の首を切ったとか・・・」
「いや、待て!マジの死神!?何かの比喩表現とかじゃなくて!?」
「比喩表現でも何でもないと思うよ・・・?王宮に出入りできるような貴族すら被害に遭ってるって話だし」
「私の話で盛り上がっているみたいね」
背後からあの女性の声が聞こえる。
「うわぁ!!」
結城 克己は飛び跳ねるほど驚く。
「あら。よくない噂でもしていたのかしら?」
豪華絢爛な扇子を持った高貴な女性は結城 克己を見つめる。
「あ、ははは・・・」
結城 克己は絞り出すように笑う。
「あ、あの・・・何か御用でしょうか・・・」
キーリーがそう訊ねると、高貴な女性が弁当を差し出した。
「お詫びよ。スヴェトチカの無礼を許してちょうだい」
高貴な女性は結城 克己を見つめる。
「頑固おやじみたいなことは言いたくないが・・・お詫びをするなら、悪いことをした本人に謝らせるべきだ」
結城 克己は弁当を受け取った。
「そうね、次からそうしましょう」
高貴な女性はジッと結城 克己を見つめる。
「・・・行こう」
結城 克己はキーリーの腕を掴んで一緒に去る。
「中身、確認しなくていいのかしら?」
高貴な女性の声に結城 克己は足を止めた。
(まさか・・・中にサイコホラー的なヤバいものが・・・)
結城 克己は恐る恐る弁当を開ける。
「おっ!!白飯と卵焼き!!」「何この白いの・・・」
結城 克己とキーリーはお互いに歓声と不満の声を上げる。
「・・・」
結城 克己は少しドキッとしながらパッと高貴な女性の方を向く。
「日持ちはしないから、今日中に食べなさいね」
高貴な女性は満足気に去っていった。
(あいつ・・・俺の何を調べてやがる・・・まさか・・・あいつが俺をこの異世界に・・・)
結城 克己が思考を巡らせていると、キーリーが声を上げた。
「美味しい!何これ!!」
キーリーは白米を食べる。
「おい!半分こだからな!?」
結城 克己は弁当を食べるキーリーに釘を刺す。




