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Ch.16 アブナイ集落 その五

夜が深まった頃、気絶するように寝ていた結城 克己が目を覚ました。

「ダメだったかぁ・・・」

結城 克己は消え入りそうな声で呟いた。

(ヤバい・・・理性飛ぶ)

キーリーの寝顔を見た結城 克己は急いで部屋から出た。

「旅人様」

一階に下りた結城 克己の背後から声が聞こえる。

「どこへ行くおつもりで?」

燭台を持った集落の長は部屋から出て結城 克己を見る。

「もう、あのご飯出すのやめてもらえませんか?夜、大変なんですよね」

結城 克己はそう言うと振り向いた。

「まぁ、これはこれは・・・すごい生理現象ですね」

集落の長は結城 克己を見て笑んだ。

「避妊具ならありますので、どうぞ孫で発散してください」

集落の長は麻の小袋を差し出した。

「ばあちゃんの姿か?それが・・・」

結城 克己は集落の長を見る。

「え?」

集落の長は結城 克己を見て笑む。

「孫を大切にするのがばあちゃんじゃないのか?見ず知らずの放浪者に襲わせようとするなんて狂気の沙汰だ」

「集落を守るためなら狂気にでも堕ちますよ」

「・・・」

結城 克己は黙って拳を握った。

「集落がなくなればキーリーは迷うことになる。迷い、苦しみ、独り寂しく死ぬ未来が処女を捨てることで避けられるのなら・・・安いものでしょう」

「あんた、キーリーのことなんて端から考えてないんじゃないか?ただここで独り寂しく死ぬのが嫌なだけだったりして」

結城 克己は集落の長に問う。

「何を言う!」

集落の長は結城 克己に怒鳴った。

「そうじゃないなら・・・なぜこんなことをした?」

結城 克己は再び問うた。

「・・・」

集落の長は黙り込む。

「早朝、俺はここを出ます。お世話になりました」

結城 克己は家から出た。


結城 克己は畑の近くに座って空を見る。

「こんな星空を見たのは小学生以来だな」

結城 克己は満天の星空を見て笑む。

(あの旅人は本当にこの世界にいるんだろうか・・・時々そう思ってしまう)

(私たちとは全く違うような・・・本当に悩みを抱えている人は、あんな風になっちゃうのかな)

キーリーは窓から結城 克己を不安げに見る。


朝になると結城 克己は荷物を持って家から出た。

「お世話になりました」

結城 克己は集落の人たちに挨拶をする。

「こちらこそお世話になりました」

「どうかお元気で」

集落の人たちは結城 克己と握手していく。

「ユウキ様」

集落の長はキーリーの背を優しく押した。

「・・・」

荷物を持ったキーリーは結城 克己を見る。

「あなたと旅がしたいと・・・孫が」

集落の長は結城 克己に深々と頭を下げた。

結城 克己とキーリーは集落を出た。

「ねぇ、夜中おばあちゃんと話してたでしょ?」

キーリーは結城 克己を見て笑んだ。

「あぁ、うん。まぁね」

結城 克己はキーリーを見て笑む。

「もう、どんな話したの?おばあちゃんったらいきなりユウキのこと好きか聞いて来たんだよ?」

「まぁ、色々と」

結城 克己は誤魔化すように笑った。

「あんたの悩み、私が解消できるかな?」

キーリーの言葉に結城 克己は複雑な表情を浮かべた。

(そうよね・・・)

キーリーは結城 克己の背中に飛びついた。

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