Ch.10 アブナイ魔女 その四
靴底にコルクが詰められた丈夫な革製の靴を履いて杖を握った結城 克己は馬車道から外れて何もない平原を歩く。
「何でついて来るんだよ」
結城 克己は図鑑と植物を交互に見つめる。
「え?なになに?植物が好きなの?」
ロレッタは結城 克己を見て笑む。
「答えろよ」
「そんなに気になる?」
「・・・」
ロレッタは何も答えず植物を採取する結城 克己を見つめる。
「好きだからだよ」
ロレッタは結城 克己を見て再び笑みを浮かべた。
「俺はお前のことが嫌いだ」
結城 克己は根菜を麻袋の中にしまう。
「私のどこが嫌いなの?」
ロレッタは結城 克己に問う。
「その性格だ。単純にヤバい奴だぞ?」
「女の子捕まえてヤバい奴だなんて・・・酷い・・・」
ロレッタはわざとらしく目を潤ませる。
「そうだ、俺は酷い男だ。だから、もうついて来るな」
結城 克己は立ち上がると、平原に立つ大樹に向かって歩き始めた。
「ユウキ、今日はあそこの木の近くで休むの?」
ロレッタは結城 克己についていく。
「ついてくるなよ・・・」
結城 克己は平原に立つ大樹を見つめる。
大樹まで移動した結城 克己は軽快に大樹を登っていく。
「すごいすごい!上手だね!」
ロレッタは嬉しそうに飛び跳ねる。
結城 克己は大樹が実らせた真っ赤な大きな果実に向かって進み続け、ついに手斧で茎の部分を叩いて真っ赤な大きな果実を落とした。
落下した真っ赤な大きな果実はドスンと軽く地面を揺らした。
大樹から降りた結城 克己は果実を確認する。
「マジでカボチャっぽいな・・・」
結城 克己は図鑑と果実を見つめる。
(というか、名前も似てる気がする・・・カポチャン・・・)
結城 克己は図鑑の説明を見つめる。
結城 克己は瓶と太陽光を利用して火を起こした。
「ついた・・・」
結城 克己は火種を見て笑みながら枯れ葉に火種を置いた。
「長いよ・・・魔法を使えば一瞬なのに・・・」
ロレッタは呆れたように結城 克己を見る。
「俺は魔法が使えないんだ」
結城 克己は素早く火に小枝を投入していく。
「珍しいね。って、私は魔法使えるんだけど!?もっと私を頼ってよ!!」
ロレッタは結城 克己に迫る。
「お前とは魔石鉱山までの付き合いだ。そこからは一人で旅をすることになる」
「・・・ユウキが求めるなら私、一緒にいるよ?」
「みんな魔法を使うんだ。魔石の需要も尽きないだろう。俺のような放浪者に付き纏っている暇はないんじゃないか?」
結城 克己はロレッタを見る。
「私が魔石を掘らなくたって誰かが掘る。誰が杖を編んでも同じだし、仕事とか私が居なくても成り立つことなんだよ」
ロレッタは結城 克己を見る。
「だから、求めてくれたら一緒にいるよ?」
ロレッタは結城 克己に微笑む。
「求めない」
結城 克己は即答した。
「どうして!?」
ロレッタは声を張り上げた。
「お前が語った仕事と同じように、お前が居なくても俺の生活は成り立つんだ」
結城 克己はロレッタを見つめる。
「・・・」
ロレッタは動揺しながらうつむいた。
「・・・酷いよ」
ロレッタは一言悔しそうに呟いた。
「その感情があるならお前はまだ変われる。求められるような存在になってみせろ」
結城 克己は切り分けたカポチャンを焼いていく。




