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わんこ農園にようこそ! 〜スマホゲーム世界に転生した俺の愉快な日々〜  作者: 鳴神楓
第1章 わんこ農園にようこそ!

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21 【閑話】ゲーム世界の裏事情

閑話はこのゲーム世界とは別の世界、別キャラの話で、設定裏話的なやつです。

読まなくても支障はないので、苦手な方は飛ばしてください。



 朝起きて身支度を整えると、いつものように空中にウインドウを開いて、アイテムボックス内の「徴収済システム利用料」の欄を確認する。


「えーっと、『わんこ農園にようこそ!』は農作物も調味料も料理もいつも通りの量、と。

 よしよし、昨日もしっかり生産してくれたみたいだな」


 昨日徴収したアイテムの一覧をスクロールしながら確認し、ついでにその中から今日の朝食として、ミックスサンドイッチと温かいコーヒーを取り出す。



──そんな朝のルーティーンの説明よりも、まず僕自身のことを説明した方がいいだろう。


 僕はかつて日本でゲーム会社のプログラマーをしていたのだが、ある日神様的な存在にスカウトされ、剣と魔法のファンタジーRPGのようなこの異世界へと、チート能力付きで転生させてもらった。

 与えられたチート能力は、定番の「言語理解」と「アイテムボックス」。

 そして──僕にしか扱えない特殊スキル「ゲーム制作」だ。


 僕だけにしか見えないノートパソコンを操作して作ったゲームの世界の中に、日本で寿命や事故などにより亡くなる直前だった人をスカウトしてきて、ゲームのキャラクターとして転生させる。

 そして、そのゲーム内で転生者が手に入れたアイテムの1割を「システム利用料」として自動徴収できる、というのがこの能力の仕組みだった。


 詳しいメカニズムまでは神様も教えてくれなかったが、僕がこうして転生者をゲーム世界に受け入れて、その転生者がゲームシステムにしたがって行動することが、この世界のエネルギーバランスを保つために役立っているらしい。


 異世界に来た当初、僕は銃で敵を倒すFPSや、剣と魔法で冒険するファンタジーRPGを作っていた。

 転生者たちに激しい戦闘をこなしてもらい、僕のいる世界の金貨や銀貨を報酬に設定して稼がせて、それをそのまま徴収していたのだ。


 しかし、平和な現代日本で生きてきた人たちにとって、そういう殺伐とした世界で生き続けるのは精神的に厳しかったらしい。

 最初は刺激を楽しんでいた転生者たちも、そのうち疲れ果てて「もうゲームの世界で生きるのはやめたい」と言い出して、神様によって記憶を消されて地球世界の輪廻転生の輪に戻っていった。


 いくつかのゲームでそういうことを繰り返した後、僕は思考を切り替えることにした。

 地球でプレイヤーに人気のあったゲームではなく、転生者たちがストレスなく楽しんで生きていけそうなゲームということで、ほのぼのもふもふな世界観の農園ゲームを作ってみたところ、これが大成功だった。


 うまい具合に、コツコツとした単純作業やスローライフが大好きな転生者(ポチ)がゲーム世界に転生してくれたおかげで、毎日大量の新鮮なアイテムが「納税」されるようになったのだ。

 金貨を直接徴収していた時のように、直接僕の生活費を得られるわけではないが、地球世界のさまざまな農産物や料理は、それはそれで価値がある。

 特にこの異世界に転生してからというもの、ずっと食べたくて仕方がなかった米が毎日安定して手に入るようになったのは、本当にありがたいと思っている。


 僕は現在、その農園ゲームから徴収した美味しい料理を提供する気まぐれ料理店を営んでいる。

 小さな店ではあるが、この世界にはない珍しい料理が食べられるとあって、知る人ぞ知る隠れ家的な名店としてそれなりの数の常連客もついている。


 ちなみに、この街は内陸にあって新鮮な魚介類が手に入りにくい立地だったため、少し前に新しく「魚釣りゲーム」を制作してみた。

 すると今度は、生前に釣りが大好きだったというおじさんが転生してきてくれて、毎日大量の魚介類を納税してくれるようになり、こちらも大成功を収めている。


「うん、やっぱり日本の飯は美味いよな」


 そうして今朝もありがたくミックスサンドを食べながら、「わんこ農園にようこそ!」のプレイログをチェックする。

 すると、プレイヤーキャラクターである転生者(ポチ)が、ベッドの中で「魚が食べたい」と呟いているログが目に入った。


「うーん……魚は釣りゲームの方から十分すぎるくらい徴収できてるから、農園ゲームの方にわざわざ追加する必要はないんだけどなぁ。

 ……まあ、ユーザーの意見は取り入れた方が満足度も上がるか。

 ポチには毎日めちゃくちゃお世話になってるしな」


 サンドイッチを食べつつ、僕はさっそくノートパソコンを開き、わんこ農園の大型バージョンアップ版の作成に着手した。


 そうしてしばらく作業していると、部屋のドアが勢いよく開き、強面こわもての男が中に入ってきた。


「おい、ゲームを作るのは結構だが、先に今日店で出す料理と食材を出してくれ。

 仕込みが始められねぇだろ」

「あ、ごめんごめん!

 今すぐ出すよ。

 えーっと、今日の日替わりメニューはどれにしようかな……」


 僕は慌ててパソコンから手を離し、今日店で出すための料理と食材をアイテムボックスから取り出し始めた。





ちなみにゲームが農園ゲームなのは、この小説を考えたのがかなり前だからです。

今ならサンドボックスゲームで構想してたかも。

『ぽこ あ ポケモン』、ゲーム実況動画を見ましたが、めっちゃ楽しそう。


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