表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わんこ農園にようこそ! 〜スマホゲーム世界に転生した俺の愉快な日々〜  作者: 鳴神楓
第1章 わんこ農園にようこそ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
18/23

18 炭水化物とゴムボール

「じゃあ、俺も始めるか」


 まずスマホの画面で掲示板の依頼をいくつかこなしてから、畑で『電気の実』を作ることにする。

 現在の電気の残量を確認すると2日分だった。

 昨日、チビに3日分作ってもらっていたから、特に使い過ぎることもなく、標準的な使用量だったらしい。

 とりあえず、また残量が3日分になるように補充しておけば問題ないだろう。


 電気の実の作業が終わった後は、いつものように米作りへと移行する。

 しばらく米作りと掲示板の作業を続けていると、突然ファンファーレが鳴って空中に「レベルアップ!」の文字が浮かんだ。


「おっ、レベル上がった!

 新要素は来たかな……えーっと、追加されたのは……畑に『小麦』、そして生産施設に『パン屋』か」


 画面を確認した俺は、がっくりと肩を落とす。


「また炭水化物だった……」


 キャベツやトマトといった野菜が来るのを期待していただけに、さすがにがっかりしてしまう。

 けれど、よくよく考えてみれば、農園ゲームの定番における最初の作物といえば小麦だ。

 最初が米で、次が電気の実だったこのゲームの順序の方がむしろ珍しいと言える。

 この世界ゲームのことだから、ゲームバランスがおかしいのはもうあきらめるしかないだろう。


「まあ、新要素があっただけでもいいとするか」


 気を取り直して、新しく追加されたものを作ることにする。

 パン屋を買うだけのコインはあったのでさっそく買って、誰に建築作業を頼むか考える。

 在庫を確認したところ、塩むすびは十分な数があったから、ダックにおにぎり屋の作業をやめてもらって、パン屋の建築を頼めばいいだろう。

 パン屋が完成したら、そのままそこでパンを作って貰えばいい。


 おにぎり屋に行ってダックにパン屋の建築を頼み、俺自身は畑で新しく解放された小麦を作ることにする。

 これまでの米の在庫もしばらくは持ちそうだし、減ってくるまでは小麦の量産に集中してもいいだろう。


──────


「おーいポチ。パン屋が出来たぜ」


 小麦作りの合間にスマホで掲示板の作業をしていると、ダックが呼びに来た。


「おー、かわいい建物だな」


 パン屋は三角屋根の町の小さなパン屋さんという雰囲気の建物だった。

 中には大き目の作業台や業務用のオーブンがある。


「えーっと、作れるのは『ロールパン』か。

 材料は小麦×1、と」


 実際のロールパンなら、小麦粉の他に卵や牛乳やバターが必要だろうけど、そこはゲームの初期生産品ということで省略されているようだ。

 こちらとしても卵を使わなくてすむのは助かる。


「じゃあダック、そのままロールパンを作ってくれ。

 えーっと、塩むすびとロールパンの在庫を比べて10個以上の差が出たら少ない方に切り替える、っていうのはできるか?」

「ああ、できるぜ」

「じゃあ、それでお願い」

「おう、わかった」


 ダックが作業台に向かうのを確認して、俺も畑の作業に戻った。


──────


 そうやって農園で作業を続けていると、やがてスピーカーから「夕焼け小焼け」のメロディが流れてきた。

 体の自由がきくようになって畑の外に出て伸びをしていると、犬の姿に戻ったダックが、朝買ったばかりの赤いゴムボールをしっかりと口にくわえて、こちらに向かって猛ダッシュしてきた。

 その少し後ろからは、同じく犬の姿のチビも一生懸命に走ってくる。

 2人とも千切れんばかりに尻尾をブンブンと振っていて、見るからに嬉しそうだ。


 ダックが俺の足元まで来ると、ポロンとボールを置いて「ワン!」と元気に鳴いた。


「ん? これ、投げろってことか?」

「ワン、ワン!」


 ダックが肯定するように吠える。

 俺が赤いボールを拾い、原っぱの向こうへ向けて思い切り投げてやると、2人は大喜びでそれを追いかけていった。

 ダックがチビより一足早く転がったボールに追いつくと、誇らしげにくわえて俺のところまで持って帰ってくる。

 それを見たチビは、一歩遅れてちょっと悔しそうな顔をしていた。

 今度は自分が取るんだと言わんばかりに、早く投げてと「ワンワン!」と急かすように俺の周りを跳ね回る。


「よしよし、次はチビの番な。行くぞー」


 そうやって辺りがだんだんと薄暗くなってくるまで、俺たちはさんざん3人で遊んだ。

 ただボールを投げて追うだけのシンプルな遊びだったが、ものすごく楽しかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ