14 おにぎり弁当
「じゃあ、3人になったからさっそく仕事の分担を……あ、そういえばダックは掲示板の依頼の作業をやってくれたりは……」
「いや、オレは無理だな。もっと頭がいいやつじゃないと」
「あー、そうかー」
まあ、まだ掲示板システムは始まったばかりだし、そんなにすぐにはオートモード(と言ってしまっていいかどうかは微妙だが)は使えないということだろう。
「じゃあ、同じ作業の繰り返しになる畑とニワトリ小屋を2人にやってもらうことにして……さっきチビにニワトリの世話をやってもらってたから、今度はチビは畑でダックがニワトリ小屋でいいか?」
「おう、いいぜ」
「はい、わかりました」
「じゃあ、また追加要素が出るまで頼むよ。
あ、例によって適当に休憩とってもらったり、飽きてきたら2人で作業変わってもらっていいからな」
俺の言葉にうなずいて、2人はそれぞれの作業に向かった。
「さて、俺は掲示板見てからおにぎり屋だな」
その場でスマホで掲示板の依頼作業を済ませて、掲示板からペリカンが飛び立つのを見送りつつ、おにぎり屋に向かう。
「うん、もう卵の数は充分増えたな。
そろそろ、この「おにぎり弁当」を作ってみるか」
「おにぎり弁当」は新しく追加されたレシピだったが、卵を節約したかったので、まだ作っていなかったのだ。
「えーっと、材料は米×1、卵×1だな」
おにぎり弁当のイラストを選んで実行すると、例によって自動的に体が動いてご飯炊いて俵型のおにぎりを作り、カセットコンロと玉子焼き器で玉子焼きを焼いて、薄い木のわっぱの弁当箱に詰めて出来上がりだった。
「お、うまそう。小さいけど海苔があるのもいいな」
海苔はもちろん生産物にないし、見渡す限り原っぱのこのマップでは今後海産物を取ったり作ったりできるかどうかも怪しいので、地味にうれしい。
「時間は10分かな。
経験値とか掲示板の依頼料考えると悪くはないけど、この後どんな卵レシピが来るかわからないからなー。
やっぱり売るのはやめた方がいいな。
今日夜に食べる分だけ作っとくか」
1人2個ずつ、合計6個のおにぎり弁当を作った俺は、あとはひたすら塩むすび作りに精を出した。
──────
結局その後は新要素が追加されることはなく、夕焼け小焼けのチャイムが鳴った。
自動的に塩むすびを作る動きが止まって体が自由に動くようになり、人間の姿に戻ったので、おにぎり屋から外に出ると、小さなチワワの姿に戻ったチビがお座りして尻尾を振っていた。
「あ、待っててくれたのか? ありがとう。
じゃあ家に帰るか。
えーっとダックは……」
顔を上げると、ちょうどダックがこっちに走ってくるところだった。
思った通り犬の姿はミニチュアダックスフンドで、短い足で走る様子がかわいい。
ダックはチビの隣まで来ると、俺に向かって「おつかれ!」と軽く声をかけるような調子でワンと鳴いた。
「おう、ダックもおつかれ」
俺の言葉にダックはニッと笑うと、今度はチビに前足でちょいちょいとちょっかいをかけだした。
どうやらチビと遊びたくて誘っているらしい。
チビも誘われると遊びたくなったようでソワソワしているが、俺のことを気にしてくれているのか、俺を見上げて迷っている様子を見せる。
「2人で遊びたいのか?
もう自由時間なんだから好きにしていいぞ。
あ、でも晩飯は3人で食べようぜ」
俺がそういうと、2人はワンと元気よく返事をして、それから2人でじゃれ合うようにして原っぱに駆け出していった。
仲の良さそうな2人を見送った後、俺は倉庫で晩飯用のおにぎり弁当を出してから、先に家に入った。(ちなみに2人が入って来れるようにドアは開けておいた)




