↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/14

吹雪の脱出

 地下道は下り坂で、山の上にあるジルの家から下山するように進んで行く。ジルは会話を挟まず、ただ二人が着いてきていることをたまに確認しながら、歩いていった。


「何も、聞かないんですか?」


 アメリアは不安そうに聞く。ジルは数歩歩いた後、ゆっくりと足を止めた。


「お前も……親父が殺されたんだ。まだ、辛いだろ。それなのにいざこざに巻き込まれて、いや、結婚が急げてラッキーか?」


「そんなことありません……! ただ、お父様が亡くなったことは、まだ公表していません。刺客は、恐らくメドリードから……」


「証拠は、無いのか?」


「ありません。でも、犯人は分かっています。フィルバートの弟、ガブリエルです。彼が刺客を放ったに違いありません……!」


 それで証拠はないのかとジルが振り返ると、セシルが彼にバッジを渡す。


「これは、捕らえた者が持っていたものです。メドリード王国の紋章と、ガブリエルの印です。ガブリエルの印は秘匿ですが、かつてフィルバート様より、ご教示いただいておりますので、間違いないかと」


「刺客がそんなもん持ってるかってんだ。誰から言われて殺しに来ましたって、わざわざ宣言するか?」


「でもこれが、宣戦布告だとしたら?」


 ジルは視線だけ背後の二人に送る。セシルは続けて説明しようとした時、地下道は行き止まりに到着した。


「上だ、登れるか?」


 壁を登り、天井にあるハンドルを握る。上へと押しやると、人が一人通れるほどの幅の出口が現れた。出ると、そこは小屋になっている。周囲の確認をして、2人を呼びつけた。


 小屋の外は相変わらず大雪だった。しかし、この地下道も直に見つかってしまう。


「もう少し行けるか? せめて村までは到着したいところだ」


「覚悟は出来ています」


 アメリアが黄金色の丸い瞳で答える。ジルはその眼を見てふっと笑う。胸の奥がじんわりと熱くなった。


 小屋を出てから山からはすぐに降りることができ、村まではあと一刻というところだった。


 雪で足が取られ、一歩を踏み出すのも苦難な道のりだが、二人は懸命に着いてきている。アメリアの方は文句の一つでも出てくるかと思ったが、それどころではなく必死のようだった。


「ほら、もうすぐだ」


 視線の先に、真っ白な雪の中でもオレンジ色の炎の灯りが見える。もうすぐ村に着くというところで、アメリアは雪に膝を着く。冷たい空気が肺を刺激し、呼吸も痛む状態だった。


「アメリア様、お手を失礼します」


 そんな状態に、セシルはすぐにアメリアの腕を取る。そして、彼女を背に担いだ。


「ごめん……、セシル……」


「我々は訓練を受けています。この程度はなんの問題もありません。さ、行きましょう」


「……、やるじゃねぇか」


 ジルは背中に担いだ巨大な剣を担ぎ直す。セシルもまた、アメリアを背負い、村まで歩いていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。