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ようやく見えた希望の光を離したくない ー2ー (塩内視点)

今回の話も塩内ジーク・ギルシリ視点です。

 


 念のため扉に手をかけてみると、鍵はかかっていなかった。

 閉じ込められたわけではないなら、変なイタズラってことでもなさそうだ。そしたらもしここにルナを連れてくるのが無理だった場合、あの中の誰かが俺に教えてくれるだろう。それまでの間なら彼女達がルナの動向を見守っているだろうから……少しだけ休憩するか。


 流石にずっと立ち続けるのは疲れたからな。


 そこらへんにあった適当なものに座りながら、室内を見渡す。


(外から見たときは体育館かと思ったんだが、違うのか?)


 中に入ってみてわかったが、やたらと物が多い。

 大きな箱が崩れないように紐で括られて積まれていたり、すでに開封された箱の中身には、たくさんの小物が入っていたりとかなり圧迫感がある。けれど乱雑に置かれているわけではなく、いくつかの区画に分かれて綺麗に物が置かれているのだ。


 しばらくぼーっと室内を見まわしていると、外から声が聞こえてきた。多分、俺に協力をすると言っていた嬢ちゃんたちの声だ。

 やっと連れてきてくれたのかと思い扉を開けようとすると、何やら話し声がどんどんとヒートアップしていき、怒りを含む声色に変わっていく。

 何だ何だと思いつつ扉から離れると、突然ガタンッという大きな音とともに扉が開き、女の子が押し込まれるように中に入ってきた。それと同時に、扉は勢いよく閉められる。

 

 女の子は尻もちをついたまま悪態をついている。先ほど様子から、彼女が無理やりここに入れられたようだとわかったが突然の出来事に俺は混乱して何も言えなかった。


「ッいった〜……は?あいつらバカじゃないの?今から私をここに閉じ込めたって、まだここの倉庫利用する人いるんですけど。もっと遅くからやんないとすぐに別の人に助け出されちゃうってすぐに考えたらわかるでしょ?ほんとにバカな奴らだわ。だいたいさ、なんかおかしいんだよ今回。この時期までこんなに嫌われてることないのに!悪役令嬢が自分の役割きちんとこなさないから、」

「お、おい……」

「――ッ!!!!!!」


 ルナの態度に驚きつつもとりあえず話しかけなければと思い声をかけると、彼女はまさか人がいるかとは思っていなかったようで、すごい勢いでこちらの方を振り返り、俺と目が合うなり固まってしまった。

 すると外の方なら、女子生徒達の声が聞こえる。


「――――貴方にぴったりのお相手ですわ。その人の愛を受け止めてさしあげて?」

 

 そう言って女子生徒達はどこかへと行ってしまったようだ。彼女達の言葉は、ルナにもきちんと聞こえていたらしい。彼女は「は?」と言うと、すぐに扉をガンガンとたたき始め、「出して!」と大きく声を上げた。

 

 おいおいおい、待ってくれ。


「ふ、ふざけんな!やっていいことと悪いことがあるでしょ?!こんなことして、許されると思ってんの?!何でそんな奴らばっかりなのよ!」

「ちょ、ちょっと落ち着いてくれ!俺はそんなんじゃ」

「来ないで!」


 待ってくれ、待ってくれ。

 俺は今、あらぬ誤解をかけられている気がする。このままじゃ俺は犯罪者になってしまう。


「違う違う!話がしたいだけなんだ」

「触んないでって言ってるでしょ!?」


 ルナが何度も力強く扉を叩いているからやめさせようと思い腕を掴んだが、余計に彼女を混乱させてしまったようで俺の手は勢いよく振り払われた。

 

 ど、どうするこの状況。

 あの様子だと、どうやら扉を閉められてしまったようだ。このままルナが声を上げ続けていれば、外にいる誰かが気づいてここから出してくれるかもしれない。だか、この状況下では間違いなく俺は捕まるだろう。

 てか、あの嬢ちゃん達はこれが狙いだったのか――?


 くそ、と内心で舌打ちをしながらとにかく落ち着いてもらうために何度も声を掛けた。

 けれどもルナは俺の言葉に全く耳を貸してくれない。まるで彼女の中で、何か男性に対してトラウマでもあったかのように酷く取り乱している。


(突然のことで無理もないが、それにしたって少しくらいこっちの話を聞いてくれてもいいじゃねえか!)


 正直言ってかなりうるさいルナの叫び声にだんだんとイライラしてしまい、こんなことをしている場合ではないと焦りの気持ちが大きくなっていく。

 

 俺はあんたに聞きたいことがあるんだ、いい加減落ち着いてくれないだろうか。


「おい、ちょっとは落ち着いてくれ。あんたの気持ちもわかるが、」

「やめて!来ないでって!」


 パシッと手を叩かれる。

 その瞬間、頭がカッとなってしまった。

 

「〜〜ッだから話を聞いてくれって!」


 悲鳴をあげそうだったルナを口を手で覆う。

 彼女は目を大きく広げ俺の顔をじっと見た。その表情は恐怖に染まっていて、体はカタカタと震えていた。

 

 やばい、衝動のまま行動してしまった。


 その瞬間、がらりと扉の開く音が聞こえた。

 その音と同時に薄暗い室内に光が入ってくる。


「ここだったっけ……って何事?!」


塩内視点は次回まで続きます。

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