波乱の予感 ー3ー
ルナの奇怪な行動をアルノーが説明した日から、私達は何かと一緒に行動するようになった。ペーシュとマルリーと私は一学期にもそこそこ一緒にいたが、マルリーは同学年の付き合いもあったし、アルノーは予定が合えば一緒にいるくらいの感覚だった。それなのに今はどんな些細な時間でも4人一緒に行動するようになったのだ。
その理由は、どうやらルナは私を避けていると推察したみたいで、ルナをアルノーに近づけさせないためには私が彼の近くにいることが最善だとマルリーが言い出したからだ。
私としてはついでに青魔法について教えてもらえるから特に問題はないけれど、最近は4人でいることが多いせいで周りの生徒からの視線が気になってきた。
あのルナと同じく、私はこの学園の生徒たちからは良く思われていない。だから一緒にいたらなんて言われるかわからないけど、それでもいいかと聞いたら兄妹は全く問題ないと言った。
どうやらアルノーもルナの行動を少し厄介だと思っているらしく、彼女を遠ざけられるならそれでいいそうだ。
(一時期あんなに熱を上げていたのに……と思わなくもない)
私としては、それとは別に少し残念だと思っていることがある。なぜなら、ペーシュ達を誘って一緒に出かけるために、夏休みの間街を練り歩いて探検したのに、どうやらお出かけは当分お預けになりそうだからだ。
ルナの行動を受けて、マルリーの気が立ちっぱなしで「遊びに行こう」なんて言えたものではないからだ。そんなことを告げた日には、彼女の魔法でジワジワとか苦しめられることが目に見えてわかっている。
ルナは転生者だからあなた達のことをよく知っているんだよ、と教えてあげられたら彼らの警戒も解けるだろうか。
……そんなわけないよね。むしろ私とも距離を置くようになるだろう。それは勘弁。
「いっそのこと、そのペンダントそっくりなものを渡してみてはどうですか?」
「何言ってるの。まずそれを用意するのも大変だし、ああいった人には一度何かを許すとそこにつけ込んでくるのよ」
「偽物だと気が付かれたら、それはそれで別の問題が起きそうですね……」
「そもそも、彼女がこのペンダントを欲する理由がわからないんだ。これは母上からいただいたもので僕自身はすごく大切なものだけど、ペンダント自体に何か希少な価値があるとかないし、はっきり言ってしまえば、身内だからこそ価値があるって感じなんだけど……」
アルノーはペンダントを見つめながら、ルナの真意を考えているみたいだった。
確かにアルノーの持っているペンダントは、一目見て手の込んだ代物だとわかる上品なペンダントだ。しかし宝石とかが付いているわけではなく、華やかというよりもシンプルで年季を感じるといった感じだ。これが前世の世界だったらアンティーク品としていくらかの値段はつけられそうだけど、それが理由として“あのルナ“が欲しがるとは考えられない。
攻略対象の所有品として欲しがっているのなら、ゲーム関連で何かしらに使うアイテムだと考える方が妥当だ。しかし困ったことに、あのペンダントがゲームの中でどのように関わっていたのかを私が覚えていない。
結構やりこんでいたんだけどな。
私がここまで忘れているのなら、多分このアイテムは恋愛編――つまり学園編などで重要になったアイテムなのかもしれない。それならイベントをよくスキップしていたから、忘れているのも仕方がないというか……。
(それにしても……悪役令嬢とヒロインってこんなに接点ないもんだっけ?)
現実的に考えるなら、私もルナも互いに互いを遠ざけようとしているから接点がないのも当然である。……当然だけど、それではい終わりですと考えていいのだろうか。
(確かゲームでは……)
ゲームでミラが主人公に嫌がらせをするイベントは、大抵はランダムに発生するものとして扱われていた。でもそれだけだと彼女たちの因縁が描かれないから、いくつかの強制イベントももちろんあったのだ。
それって、どんなイベントだったっけ?




