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波乱の予感? ー1ー

 

 ルナとの接触してから、私はますます彼女とは近づかないようにしようと決意を固めた。だってあのときのルナの様子はどう見てもおかしかったし、言っている言葉も意味不明だったから触れないほうが賢明だ。

 最初からそのつもりではあったけど、本人が関わってくるなと言うならばその通りにしよう。


 まぁ、ルナがただイケメンたちを手中に収めたいだけなら、マルリーのためにもアルノーだけは見逃してもらわなくちゃいけなくなるけど、そこは追々ってことで。

 


 

 

「今日は青魔法について勉強します。アルノー様、よろしくお願いします」

「あなたも飽きないわね。時間が空いたらいつも魔法の練習ばっかりじゃない」

「ミラ様はいろんな魔法を使えるので、それを使いこなそうとすると誰よりも魔法の勉強をする必要があるのかもしれませんね。とっても素晴らしいです!」

「そうは言っても……やりすぎじゃない?また倒れたらどうするの?」


 マルリーは呆れ顔でぺーシュと会話している。いつも彼女たちには私の魔法の練習に付き合ってもらっていて、その度にマルリーには「またやるの?」など言われていた。多分、私を心配してのことだと思うけど、いつも付き合ってもらってばかりなので、自分の時間を優先してくれと言うと必ずそっぽ向かれてしまう。


「とりあえず今日は、無理のない範囲で簡単な青魔法について教えるよ。この前僕がホワイトウルフと戦ったときに見せた通り、青魔法は防御を得意とする魔法だ。基本的な呪文は”イージオン”」


 魔導書で読んだ通りの名前だ。

 今更だけど、どんな属性魔法にも下級、中級、上級といったレベルがある。この学園の生徒のほとんどは、学園を卒業するときには上級レベルを扱えるようにはなる。反対に平民は下級レベルが使えるかどうかだ。これでは身分の差というものは、貧富以外にも出てくるだろうなと思ってしまう。

 でも貴族だからといって必ずしも多くの魔力量を有しているわけでもないし、逆も然りだ。

 

 その証拠に、主人公のルナは最上級魔法をやがて使えるようになる。最上級魔法は世界でも一握りの人しか使えない。


 …………いやでも、攻略対象たちも使えてたし、ゲームの設定だとしても特別な人間が身近に多すぎないか?


「そしてこの魔法で簡易的な呪文としては、“イージオン・ミノル“。自分の周りに結界を張るようなイメージをしながら、この呪文を唱えてみて」


 アルノーに言われた通りに呪文を唱えてみる。前にペーシュから、魔法を使うときはイメージが大切で、使う前に魔力に意識を向けてよく練ることが必要だと言われた。

 だから、目を閉じてよくイメージしてみた。


「すごいです……!ミラ様、できてますよ!」


 ペーシュの声が聞こえて、ゆっくりと目を開けてみる。私の身の回りには、薄い青色の膜のようなものが貼られている。嬉しくて気持ちが高まると、その魔法は綺麗に弾けて無くなってしまった。

 一瞬だけ見えた私の青魔法はアルノーの魔法よりもずっとずっと脆いものだった。

 低級くらいならこんなものなのだろうか。


「あ……私が声をかけてしまったせいで、ミラ様の意識を逸らしてしまいましたね」

「でも、言葉で軽く説明しただけでこんなにすぐできると思わなかったよ。みんな初めのうちは、理屈はわかっていても上手くイメージして発動させるなんてことができないから」


 まぁ、そこら辺は前世に何度もバリアとか結界とかで妄想してたからね。どんな魔法も通さない、鉄壁の壁に守られる私……とか。

 魔法はイメージって前世でも聞いたことがあったけど、本当にそうなんだなと思う。もしかして、今の私って結構なんでもできるんじゃない?


「確かにミラって魔法のセンスいいわよね。紫魔法のような弱体系の魔法って、結構イメージするのが難しいっていうけどあなたは難なく使えていたわ。やっぱり幼少の頃から魔法の練習はしていたの?」

「え……?いやぁ、まぁ……私としては……イメージトレーニングですかね?これをよくしてましたから」

「……ふぅん、そう」

「でも少し思ってたことがあるんですけど、イメージして呪文を唱えるだけでいいなら、属性魔法とか関係なく誰にでもいろんな魔法が使えるのではないですか?」


 私がそういうと、3人は苦笑いをして――マルリーは大きく溜息をついていたが――そんなことができるわけないと言った。


「それぞれの魔法を使うためには、その属性にあった魔力が必要になる。カラーペンで考えてみるとわかりやすいよ。青い文字を書きたいのに赤色のインクしか持っていなかったら、いくらペンを走らせたところで赤い文字しか書けない。僕たちは生まれつき持っているインクの色が決まっているんだ。多分ミラは、生まれたときから5つのインクを持っていたんだろうね。だからいろんな色の文字が書けるんだよ」


 アルノーは私の質問にこう返してくれた。でも、彼の説明に従うとするなら、私たちの何がインクの色に該当しているのだろうか。

 こういうのって、ファンタジーの世界では深く考えてはいけないことかな?


「私からしたらとっても羨ましいわ。全ての魔法を使うことができるなんて、どれだけの人が望んできたことかわからないくらい特別なことよ」

「それにミラ様の持つ魔力量は、とても多いとお聞きしました。将来ミラ様は、大魔導師になれると思います!」


 大魔導師……いい響きだな。

 ペーシュの一言に、大きなとんがり帽子を被って魔法を放つ自分の姿が思い浮かんだ。


 ニヤニヤしていると、マルリーからだらしがない顔だと叱咤される。ペーシュは笑っていたが、アルノーは私たちと全く違う方向を見て、小さくため息をついた。


「どうしました?アルノー様」


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