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初めての友人 ー1ー

 それからの私の学園生活は、図書室で本を読んだり、ペーシュに白魔法について手ほどきしてもらったりしながら悠々自適に過ごしていた。

 たまに中庭の人目につかないところで、実際に魔法を使って練習もしている。

 一ヶ月くらい経ってわかったことは、ペーシュが本当にいい子だってことと、魔法を使うことがすごく疲れるということだった。

 

 魔力量が少ない人は、一度に使える魔法の数が限られてくる。

 それは単純に魔力切れを起こすからなのだが、この魔力切れの意味が実際に起きるまではよくわからなかったのだ。

 精神的疲労……集中力が続かないなど、確かに一度にたくさんもの魔法を唱えることができない。どっと疲れる、頭と身体がずしーんと重くなるような感じだ。

 となりで息切れしている私をみたペーシュは、その次の練習からは甘いものを持ってきてくれるようになった。

 クッキーや飴などを食べると、少しだけ集中力が戻ってくる。どんな世界でも糖分は脳みその必需品なのだと改めて思った。


「魔力量をもっと増やすことはできないのかな……」

「うーん、そうですね……鍛錬を積んでたくさん魔法を使うと多少変化はあると聞きます。後は魔法具を使って魔力量を増やすこともできるみたいです」


 私の呟きにペーシュがそう答えた。

 鍛錬を積む……ようはレベルアップのことだろう。確かにレベル1より99のほうが使える魔法の威力も回数も多くなる。

 魔法具は装備のことになるのだろうか?それともアクセサリーとかそういうものか?確かにゲーム内でも魔力を高める指輪などが出てきたが、それはダンジョン攻略の報酬や宝箱の中からゲットできるものだ。

 市井にもいくつか出回っているが、効果はあまり見込めない。だって、高スペックの主人公たちが無いよりマシ程度で、もともとの魔力量が少ない私にとってはすずめの涙にもならないだろう。


 ――そういえば、ペーシュの魔力量はどのくらいあるのだろうか?

 ペーシュとは主に白魔法を一緒に練習しているが、彼女の魔法練度いつも驚いている。例えば、小さな擦り傷ひとつ治すのだって、私だと時間がかかるし少し赤みが残る。あとは自然治癒を待つしか無いのだか、ペーシュは擦り傷どころか切り傷や打撲により内出血した傷もすぐに治せて傷跡も残さない。

 多分だけど、Aランクくらいかそれ以上はあるのでは無いだろうか。


 ペーシュは私と同じ2年生である。

 この魔法学園は4年制だから、ここで学べることはまだまだある。これからもっと彼女が魔法について鍛錬をすれば、主人公ほどはいかずとも、メインパーティーメンバー並みの力を得るのでは無いだろうか。


「ペーシュ様は中級レベルの魔法ならほとんど使いこなしていますよね。図書室でのこともそうでしたし……これまでたくさん魔法の鍛錬をしてきたのですか?」

「……そんな、私なんてまだまだです。両親からの期待もあり多少励んできましたが、もともとの力としては、あまり成長できていません」


 驚いた……。あの今の彼女の実力と魔法練度は、3年生後期くらいでできるようになるものだ。それを2年生前期でできているのだから、相当努力しているだろう。

 ただ、もともとの力として成長できていないということは、やはり生まれた時からペーシュは魔力量が多かったのだろう。


「なら、魔法具などのことはご自身で調べたのですか?」

「それは私ではなくて……えぇっと……」

 

『あなた!こちらの話を聴いていますの?!』


 突然、女性の怒気を含んだ声が聞こえてきた。

 思わず、ペーシュと顔を見合わせた。


「喧嘩、でしょうか?」


 ペーシュは不安そうにしている。


「私が見てくるのでペーシュ様はここで待っていてください」

「いえ、それでミラ様に何かあってはいけません。……あら、あちらの方から声が聞こえてきます」


 息を潜めて進んでいく道は、私たちがいた場所より人目につかない場所だ。

 校舎横は大きな木がいくつか生えているから、陰ができて少し薄暗さを感じる。こんなところもあったんだ。

 物陰から顔を出して様子を見てみると、どうやら数人が1人を取り囲んで詰め寄っているようだ。壁に押し寄せられている生徒は、よく見えないが茶髪のショートヘアの女の子らしい。

 

「暗くてよく見えませんが……、あまり良くない雰囲気ですね」


 ぺーシュは先生を呼んだ方がいいかと悩んだみたいだが、それを行動に移す前に茶髪の女の子は自身を詰めよっている集団を意にも介さずどこかへ行ってしまった。

 怒りが収まっていない様子の女生徒たちは、その後ろ姿に向かって愚痴などをこぼしているみたいだったが、やがて校舎へと戻っていった。


「とんでもないものを見ちゃったわね」

「ええ、何事もないといいのですが……」

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