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驚異的な実力を持つ、この世界の主人公 ー1ー

 あっという間に期末試験の日がやってきた。テストの出来はそこそこあると自負している。しかし、今回の関門はそれではない。


 魔法実技試験。

 その名のとおり、魔法の実力を測るテストである。


 学期末試験日は全体で5日間の日数が設けられている。始めの3日は筆記試験。残りの2日は魔法実技試験だ。最初に1、2年生の下級生が、次の日に3、4年生の上級生がテストを受けるといった流れになる。

 教師は総出で監督者を務めることになるので、この期間中一番忙しくなるのは、間違いなく彼らだろう。


 今日はテスト期間4日目、つまり私たちの魔法実技試験の日だ。アメシティーオーズ学園には、とても広い校庭があるので、下級生たちは試験はそこで行うのだ。


 生徒たちは、学年別、そして属性魔法別に指定された場所に集まるように指示されている。私は悩んだ結果、白魔法の試験を受けることにした。

 まぁ一番練習した期間が長いし、ペーシュがそばに居てくれると心強いなと考えた結果だ。それを受けると言ったとき、心なしかペーシュが喜んでくれたような気がするのだ。私の自意識過剰でなかったらだけど。


「緊張しますね……」

「そうね……」


 白魔法の試験を受けている他の生徒の様子を見て、ペーシュは不安そうな表情をしている。ペーシュなら全く問題はないと思うけど、緊張するのは誰でもそうだ。周りの生徒もソワソワとしている人が多い。

 順番を気にしながら、私は1年生の様子をうかがっている。ルナの様子も気になるし、たまに1年生達がワッと歓声を上げるときがあって気になってしまうのだ。


(ゲームの中では主人公の凄さを際立たせるためか、モブたちは全く取り上げられなかったけど……、こうしてみるとやっぱりこの学園に通う人たちって魔力が多い人だらけなんだ……)


 一際大きな歓声が上がった。どうやらマルリーが注目を集めているみたいだ。1年生の様子に、次第に我々2年生も様子が気になって、よそ見をするものが増えた。


「マルリー様、すごいですね……」


 簡単だと自負していただけある。マルリーの属性魔法を象徴する紫の光が大きく光って、遠くにいる私たちでもわかるくらいだ。


(あの光、近くで見たらすごい眩しそうだなぁ)




「次、ミラ・スカーレットレイク」


 いつの間にか私の番になっていたようだ。名が呼ばれた時、周囲から微かにクスクスと笑うような声が聞こえてきた。……最近はいろいろあったから忘れていたけど、この学園には私を馬鹿にする人が多いんだった。


 アメシティーオーズ学園は、他国から編入する人も大勢いるが世界に比べれば学校内など狭い。私が落ちこぼれだってことを楽しそうに話す人がそこかしこにいるため、今まで私と会ったことがない人であっても、ミラという学生は落ちこぼれだと認識している人たちがいる。

 そしてもっと厄介なことに、周りの人が見下している人は自分も見下していい人なのだと勝手に考える人たちがこの学園にも一定数いる。


 先ほどまでよそ見をしていた人たちは、いつの間にか私の方を見ている。好奇の目だ。


(本当にいい性格してんな……)


 嘆いていても仕方がない。とりあえず早く終わらせることが一番良い方法だろう。

 返事をして前に出る。


「どのレベルの魔法を使うか」

「低級のヒールを使います」


 私の返事に監督者は隣に置いていた人型のホムンクルスに小さな傷をつけた。これを治せということらしい。

 

 余談だが、昔はこの試験では教師が自ら傷をつけて生徒に治させるという形式にしていたようだ。しかし、人道的に問題があるのではという指摘があり、しまいにはそれで教師が倒れてしまったのでホムンクルスを使用することになったのだという。


 そりゃ傷付けて治してを繰り返していたら気分も悪くなるだろう。



 私としても、そちらの方が気は楽である。

 集中して目の前のホムンクルスに白魔法を発動する。傷ができた箇所が微かに白く光って、みるみると治っていく。

 光が収まる頃には、どこに傷があったのかわからないくらい綺麗さっぱり無くなっている。初めて魔法の練習をした頃より、だいぶ成長したのではないだろうか。


「ふむ、威力も練度も申し分なし。よくやった」


 よかった、褒められた。

 ペーシュのもとへ戻ると、彼女も「素晴らしかったです」と言ってくれた。

 周りの人たちはつまらなそうしていて、ザマァみろと内心思ってしまった。


『あら、意外と勉強なさっていたのね』

『そうね。()()のヒールを使えるなんて、ようやく2年生にして基礎が成ったというところかしら』


 わざとこちらに聞こえるように言ってくるあたり、こいつらが国を背負っていく立場になったらその国が終わるのではないかと心配にすらなる。

 好きなように言えば良い。今は大した魔法が使えなくとも、私のポテンシャルはとてつもなく高いんだ。いずれあの人たちも何も言えなくなるだろう。というかそこまで私が成長してやる。


(……そういえば、なんで緑魔法に頼らないといけないんだっけ?)


 栄養失調間近まで言われるこの細い体になった理由は?拒食症とかだったのだろうか。ならなんでそうなってしまったのか。

 ――――なんで私は、その理由がわからないんだろう。



 

 

『きゃあ!な、なに?!』

『ま、眩しい!何も見えない!!』




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