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新たな関係性 ー3ー

 もうすぐ一学期が終わる。

 学園内では学期末試験向けて、私と同じように魔法の練習をする人たちがちらほらと現れるようになった。

 もちろん私は、最初から試験のために魔法の練習をしていたわけではない。もう何度も心の中で叫んでいるが、私としてはただ強い魔法を使いこなせるようになりたいという気持ちだけ。今回の魔法実技試験は普通に手を抜くつもりだ。


 その理由は2つある。1つ目は緑魔法をまだ常時展開しているからである。前よりはレベルの低いものを発動させているが、やはり常時展開には多くの魔力量が必要になるため、他の魔法を使うとすぐに疲れてしまう。だから使いたくても使えないというのが正しい。それに無理して倒れたら、今度は問答無用で長期入院させられてしまうし……。


 2つ目は、仮に緑魔法を解いて全力で挑んでも、どのくらいの力量があるのかまだ把握できていないので、暴発してしまう可能性があるということだ。魔力暴走なんて試験中に大勢の前でやったらなんて言われるかわからない。公爵家の耳に入っても困る。


 個人的には、もちろん全力で魔法を使ってみたい。

 けれどそれをやるにはいろいろと準備が整っていない。

 もどかしい気持ちを抑えつつ、これも鍛錬だからといつも気持ちを抑え込んでいる。




「2年生の魔法実技って何をやるんだろう……」


 ポツリと呟く。

 そういえば、試験のことについてもよく知らなかった。


「確か、属性魔法それぞれの低級または中級魔法を発動して、その威力や効果を測定する、とお聞きしました」

「……それって今の私が受けても大丈夫かな?」

「教師や魔法道具などに向かって魔法を使うみたいなので、きっと大丈夫ですよ」


 私の事情について知っている人は限られているらしい。

どうやら学園長が手を回してくれたみたいだけど、それによって今私が発動させている緑魔法は、実技試験では評価に入れられなくなってしまった。


「あら、2年生の試験でも意外と簡単なのね」


 マルリーが鼻で笑いながら、いかにも余裕ですと顔で語った。確か、1年生が受ける魔法実技試験は、オーブのような形をした魔法道具に自分の魔力をできるだけ流し込んでみろというものだった。

 流し込むという行為をすることで、自分の魔力をどのくらい扱えるのか、そしてその力がどのくらい強いのかを測れるらしい。確かにこれならマルリーは余裕だろう。


 ゲーム内では、主人公ももちろんこの試験を受けた。

 はじめ、主人公は魔力を流し込むという行為がイマイチよくわかっていなくて上手くいかなかった。これは、平民は使える魔法があまりにも限られているので、そもそも魔法の使い方を教わることがないからだ。

 主人公は生まれながらに高い魔力を有していたが、両親はその扱い方を教えることができなかったので、暴走を抑えるためにもむやみやたらに使わないようにと言いつけられていたらしい。

 

 困惑する主人公に助け舟を出したのは試験監督者だった。監督者は、目の前のオーブを怪我人だと考え、その怪我を癒すというイメージを持って魔法を発動させてみなさいと助言し、主人公はその通りに魔力を流し込んだ。すると、あたり一面が眩い光で包まれ、試験を受けていた生徒が一斉に主人公の方を見る……といった流れだった。

 このアドバイスでよくコツを掴めたなとは思う。


 ちなみに、この魔法実技試験は1年生と2年生は同じ場所で受けることになっている。なのでこの現場を悪役令嬢のミラはしっかりと目撃していた。そして誰よりも注目されていた生徒がまさかの平民出身であったことを知り、それ以降目をつけ始めるのだ。


「ミラ様は5つの属性魔法を扱えるのですよね。試験ではどうなさるのですか?」

「自信があるもの1つだけ選んで実演すればいいそうです」

「でも、本当にすごいわね。全ての属性魔法が使えるなんて聞いたことないもの」


 本当にそうですよね!とキラキラとした表情で語るぺーシュに、苦笑いをする。


(……そりゃ”設定的“には私ってラスボスみたいだしね)


 2人は褒めてくれるけど、試験当日は私なんか目立ちもしないだろう。その日、誰よりも注目される主役はもうすでに決まっているのだから。

 

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