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彼女が世界を嫌うのか、世界が彼女を嫌うのか ー1ー

 ………………?

 そんなに似ているだろうか?

 思わず石像をもう一度まじまじと観察してしまった。

 私はてっきり、実はあの火の玉は生前女性で、人間だった頃の姿があんな感じだったのかと思ってたんだけど……。 

 いや、それもよく考えたらおかしいか?


(……うーん、確かに言われてみれば似ているような気がしなくもないけど、ミラの顔ってもう少し可愛かったような……)


 ちょっとここに鏡を持ってきてくれないかな。

 見比べられたらわかりやすいと思うんだけど。


「言うほど似てますか?!」

「似ているだろう!とぼけるんじゃない!」


 教師たちに問いかけてみるが、彼らは断言する。

 生身の人間と石像って、いくら似ていても雰囲気とか違いすぎてわからないと思うんだけど、こんな視界悪いところではっきりとそう言うんだから似ているのかもしれない。


 でもなぁ……やっぱり少し違う顔立ちに見えるんだよなぁ。

 ミラの姿になってから、美少女の気持ちが少しわかるようにはなった。学園では嫌われ者だから特にチヤホヤされるということはないのだが、街を歩いているとたまに人の目線を感じるときがあるから注目を集めるのってこんな感じなんだなって。ちなみに自意識過剰とかではない。


 鏡の前に立つときにも、思わず私(ミラ)って可愛いなって思ってしまうこともある。自意識過剰とかではない。

 ペーシュやマルリーが顔整い過ぎてかすんでしまうけれど、ミラも普通に美少女なんだよ。


 たがら、この顔を見続けた私から言わせてもらうとあの石像はミラより可愛くない。石像だから別人に見えるとかではなくて、顔のパーツや配置がちょっと違く見えるのだ。

 そのちょっとの違いが、私の中では妙な引っ掛かりを覚えている。しかしこれを彼らになんて説明したらいいものか……。


「私(ミラ)のほうがもっと可愛くありませんか?!」

「な、?!何をふざけた事を言っているんだ!!」


 しまった、言語化に悩んでいたからといって、突然こんな事を叫んだらそりゃあんな反応にもなる。

 しかしまずは彼らに「私は犯人ではない、勘違いだ」って伝えなくては。

 

「話を、」

「覚悟しろ!」


 今度は口を開いた途端、魔法が飛んできた。

 咄嗟に避けれたものの、当たっていたらそこそこのダメージが入っていただろう。


(………………)


 カチーンと頭にきた。

 ちょっと短絡過ぎやしませんかね?

 こんな状況下では相手も冷静ではいられないのかもしれないけど、生徒の一人が無実を訴えているんだから教師ならそれに耳を貸してくれたっていいのに。


 ……けれど、仕方ないって考えてしまう私もいる。

 正直言ってあの巨像がある時点で冷静に話し合いなんてできないだろうし、彼らからすれば何かしらの確信があって私を撃退しようとしているわけだし。

 もしそれがこじつけとかだったらブチ切れるけど。


 私も彼らに構っている暇なんてないしな。


 彼らも敵対的になってしまった以上、この場は逃げなくてはいけない。

 そしてあの石像をなんとかする方法を見つけなければ。


(ここでの問題は、どうこの場を切り抜けるか)


 屋上の出入り口は彼らの後ろ。

 とにかく攻撃してくる相手の隙を見て、ただ扉に向かって猛ダッシュをするだけでは駄目だ。

 相手の武器は弓と剣と杖……。遠距離武器の弓はともかく、剣は近付いたら斬られるし、近距離で赤魔法を発動されれば絶対に当たってしまう。


(それならッ……!)


 赤魔法を相手に向かって放つ。

 もちろん威力は弱めで、目の前に迫ってきてたら思わず避けてしまうような炎の魔法で。


「うわぁぁ」

「きゃ、」

「……ッ!」


 すると目論見通り、教師たちは私の攻撃を避けようと左右にパッと別れた。その隙を見て、私は自身に緑魔法の俊足を掛け、扉に一目散に向かって走り出した。


「待て!」


 待てと言われて、待つ者はいない。

 本当にその通りだな、と言われる側になって心の底から思ってしまった。

 

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