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ごちゃ混ぜの世界 ー4ー

「……何だか先ほどより、周囲が暗くなっていません?」


 探索を開始した私たちは、また洞窟のような空間を歩いていく。また魔物と遭遇するかもしれない、という緊張感が私たちをより慎重にさせる。


 庭園にあった扉から洞窟空間に戻れば、マルリーが開口一番にそう言った。


「さっきまで明るい場所にいたから、そう見えるだけじゃねぇのか?」


 確かにマルリーの言うとおり、洞窟全体が暗くも見える。燭台で灯る蝋燭の火は、先ほどと同じく煌々と光っているのにどうしてか暗く見える。

 でもそれは塩内さんの言うとおり、明るさに慣れてしまった私達の目がそうさせているだけなのかもしれない。


 どちらにしても、ちょっとの違和感は見逃さないようにしなきゃ……。


「きゃ、」


 ペーシュが小さな悲鳴をあげた。

 皆がそれに過敏に反応し、彼女の周囲を見渡す。


「ペーシュ?!大丈夫?!」

「え、あ、いや……ちょっと風が耳に当たった気がして……」

「全くもう!驚かせないでちょうだい!」


 風か……良かった……。

 ペーシュが魔物に襲われたんじゃないかと思って、心臓が凍りついたけど、風なら大丈夫だ……。


「いや、もう少し周りをよく見たほうがいいんじゃない?そこに魔物がいるよ」

「え?!」


 セレナはスラリと長い指を伸ばして虚空を指差す。

 ……え、いや何もいないけど……………?


「…………ん?!」


 いや、いる!

 はっきりとは見えないけど、セレナが指差した場所が少しだけユラユラと揺れているような気がする!


 待って、暗い洞窟に姿がよく見えない魔物って……。


「あれは……カゲボロだ!」


 アルノーがその魔物の名を口にした途端、カゲボロは姿を現した。ボロボロの布切れが口元に不気味な笑みを浮かべ、私達のことを嘲笑うかのように空中を飛び回っている。


 あ、あれも幻なんだよね?

 私たちが勝手に見せられている幻想、幻覚……。


「いやでも無理じゃないですか?!攻撃せずにはいられないんですけど!」

「カゲボロに物理攻撃は通じないよ」


 じゃあ魔法攻撃しかダメってこと?それだとこのメンバーの中だったら、私しか対抗できないじゃないか!

 これ、私が無視するべきなの?

 私が無視したら、幻覚として消えてくれる?

 幻覚って、そういうもの?


「ミラ様!上です!」


 ペーシュの声に合わせて、咄嗟に赤魔法を放った。

 カゲボロは私の乱雑な攻撃を意図も簡単に避けると、愉快そうにケラケラと笑った。


(本当に物理攻撃は通じないの?あんなにボロ雑巾見たいな布っ切れなんだから、剣で切ったほうがよっぽど効果的なんじゃ……!)


 ゲーム、ゲームではどうだった……?

 物理攻撃が効かないなんてことなかったと思うんだけど……。


「ハァッ!」


 アルノーは魔物に向かって剣を振り下ろした。

 カゲボロはその瞬間にパッと姿を消し、そして少し離れたところでその姿を現した。


(……物理攻撃は透明状態だと当たらないんだ。それだと魔法も当たらなそうだけど、魔法はなぜか効くのね。どんな仕組み……?!)


 でも、もの姿を見て思い出した。カゲボロとの戦闘はゲームだと、物理攻撃は命中率が極端に低かった。多分さっきみたいに、透明になって避けられてしまうからミスが多かったんだ。


「チッ……やっぱり僕の剣だと遅くて、彼らを仕留めることはできない……!」

「ちょっとそこのあなた!あなたも戦いなさいよ!」


 悔しそうに呟く兄を見て、マルリーは傍観者のように事態を眺めているセレナを叱咤する。


「だってあれも幻なんでしょ?じゃあみんなで無視すればいいんじゃない?」

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