ごちゃ混ぜの世界 ー1ー
今回のお話には、虫の描写があります。
苦手な方はご注意ください。
セレナの一言で、我に帰る。
そっか、そしたらここの洞窟にあったアイテムとかも全部幻なんだ……、じゃあ意味ないじゃんね……。
「どうしたの?何だか元気がなくなったみたいだけど」
「いえ……、楽しみが楽しみじゃなくなったなと……」
「?」
さて、ここが残響の洞と同じ……かはわからないけど内部の作りが似ているなら、私にとって好都合。
アイテムが手に入らないのは残念だけど。
一応最深部の行き方もわかるし、もし違うところがあってもここまで同じなら何とかなりそう。
アイテムが手に入らないのは残念だけども。
「ねえ、随分足早に進んでいるけど、本当に大丈夫なの?」
「ルートは覚えているので問題ないです」
「……何でそんなに自信満々なのよ」
「さっきも言ったけど、どうして君そんなに詳しいの?まるで何度もこの洞窟に入ったことがあるみたいだね」
「洞窟マニアなんで」
「…………聞いたことない言葉だね」
セレナは若干呆れたような顔をした。
ここまでいったら開き直りである。
「…………ん?なんだ?何か降ってきたような……」
塩内さんが頭の上を払いながら、頭上を見る。
水でも落ちてきたんじゃないかと思ったのだが、私の頭の上にもパラパラと何かが降りかかるような感触がした。
「砂?」
——この洞窟って、砂が降ってくるような洞窟だったっけ?
天井を凝視する。
さっきまで歩いていたところより、何だか表面が乾いているような気がする。
……あれ、なんかあそこ土が盛り上がってる。
あんなのあったっけな?
「…………ねぇ、何だかすごく嫌な予感がするんだけど」
マルリーは天井を凝視している。口を引き攣らせ、眉を顰めている顔は彼女の心中をとてもよく表している。
そうこうしているうちに、土の盛り上がりは一つ二つとまた増える。それを見てまずいと感じだした私たちは、その場を一斉に離れる。
最後尾にいた塩内さんが走りだしたその瞬間、ボコッボコッという音と共に何かが下に降ってきた。
それは地面に落ちた後、体をグネグネと動かした後にその“顔”を私たちに向けて威嚇してくる。
「き、き……気持ち悪い!」
マルリーは悲鳴を上げた。
彼女の気持ちはすごくわかる。私も一部始終をこの目で見て、鳥肌が立ってしまった。
「あの生き物、サンドワームの幼虫じゃない?こんな場所に出てくるなんて……」
「な、何でもいいから早く倒しましょう?!ミラ、も、燃やして!燃やして!」
マルリーは顔面蒼白で、涙目になりながら私の腕にしがみついてきた。どうやら彼女は虫が大の苦手のようだ。もしかしたら、虫の魔物が嫌い?
いやでも、あれは誰でも気持ち悪いって言うな。
サンドワームの幼虫たちは、その気持ち悪い口をウゴウゴと動かしている。その小さな標準に向かって、私は赤魔法を練り上げる。
一匹は近くにいた塩内さんに飛びかかった。
襲い掛かられた塩内さんは、うわぁと叫び声をあげて咄嗟に腕で顔を覆っていた。防御反応としては当たり前の行動。でも、そこは剣を持って応戦してくれなきゃ困る。
私は火の玉を繰り出し、塩内さんに襲いかかる幼虫に命中させた。幼虫は空中で黒焦げになり、そのまま地面に落ちる。
……よかった、魔物に当たってくれて。
アルノーとセレナは、自分の持っていた武器で冷静に幼虫を斬り倒していた。剣で斬られた幼虫は、体をウネウネ動かして、やがてゆっくりと動かなくなる。
死に際も気持ち悪い……。
「ふぅー、ちょっとびっくりしたけど、子どもでよかったね。大人だったら逃げ場がなかったかも、」
「安心するのはまだ早いんじゃない?子どもがいたってことはその親が、」
ゴォォォォォォォォォ!!!!
安心したように息を吐くアルノーに油断するなとセレナが声を掛けた途端、凄まじい地響きが起こった。天井からは、先ほどとは比べようにもないくらい砂が降ってくる。
「じ、地面が……?!」
地面がひび割れ、そしてそこからその正体が這い上がってくる。大きな穴が空いたと思った“それ”は口であった。そして次に鱗のような体がユルリと地面から這い出てくる。
それが地面から完全に出てくると、私たちがきた後ろの通路はすっぽりと隠れてしまった。そのくらい大きい。
「サ、サンドワームの成体が……どうしてこんな場所に……」
「は、走って!流石にこんな場所では相手にできない!」




