そこへ向かうは ー2ー
セレナが私たちの話に興味を持ち、ペーシュは私たちが何か隠していると確信してからは、絶対に退かないという表情で見つめてくる。
百歩譲ってペーシュに話すのはいいけど…………いや、彼女に事情を話したら、おそらく自分もついていくと言うだろう。それは危ないから、セレナにだけ話したほうがいいだろうか。
「お二人とも、お話をお聞かせ下さい」
「まさか公爵家のご令嬢と一国の王女様が学園を抜け出そうとするなんて……これは先生の耳に入れておいたほうがいいかな?」
……すでに会話を2人に聞かれている時点で、どちらかには秘密にするというのは無理か。
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「まさか、お兄様も廃教会へ向かおうとしていただなんて……」
「それより、何だか人数が多いようだけど?」
あの後、私はアルノーから聞いた話を2人にも説明した。
マルリーは最後まで2人に話を聞かせるのには反対していたけれど、セレナに告げ口をすると脅されれば止めようにも止められず、後ろの方で腕を組みながら眉間に皺を寄せて黙っていた。
寮への脱出口はセレナが用意してくれた。
用意とは言っても、エントランスの鍵を開けてくれただけだけど、アルノーみたいに窓から出るといった危ない橋を渡らなくて済んだ。だからセレナがいてくれて良かったと少しだけ思った矢先、何故か塩内さんを連れてくるという謎の行動をしてくるのだ。
「何でここにし……、ジークさんがいらっしゃるのでしょうか」
「たがばしざーん!!ほんどうにずまなかっだ!!おれは、おればーー!」
「たがばし?」
「ちょ、ジークさん!取り敢えず泣き止んでください!」
アルノーとマルリーは、塩内さんに良い印象を持っていないようだ。多分それは、私のことを気遣ってくれているからなのだと思う。
でも、塩内さんには聞きたいことがあったからちょうどいい。どうしてルナと一緒に私を冤罪に追いやろうとしたのか、彼女から何を聞いたのか……それを知ることで間接的にルナのことも知れるかもしれない。
「いや〜、それにしても君たちって結構大胆に動くんだね。そんなに焦らなくても、こんな状況じゃあ学園も生徒の脱走防止策を練ることなんてできないのにさ」
マルリーがギロリとセレナのことを睨む。
「あの、ミラ様……」
「ん?どうしたのペーシュ?」
これまでのやりとりをポカーンと眺めていたペーシュが、声を潜めて私に話しかけてきた。
「何だかあの人、以前とだいぶ雰囲気が違いますが……」
ペーシュが指している人物はセレナだった。
そういえば、ペーシュには色々と私の悩み事を打ち明けていたけど、セレナの本性については話していなかったかもしれない。
「あれが彼の本当の姿なの。人を見下すような性格の悪い人だから、騙されちゃダメよ」
「え……、」
「それよりペーシュ、やっぱりあなたまで来る必要はない。だって危ないもの」
「それは皆さんにも言えることです!私だけ学園に残るだなんて、そんなことできません!」
彼女には、本当ならアルノーやマルリーにも危険な目に遭ってほしくない。けれど彼女たちがいてくれることに心強さを感じているのも事実だ。
「この際誰が来たっていいわ、いい加減行きましょう」
「……そうだね。魔物が出てくる以上、やっぱり人がいるほうが安心できるのも事実だ。……………………少しだけ不安な人達もいるけれど」
「俺は大丈夫だ!丈夫さだけが取り柄だからな!」
「僕のことも、まぁそんなに気にしないでよ」
アルノーは若干冷ややかな目でセレナと塩内さんを見ているが、これ以上何も言わなかった。
確かにここまで来てしまったのだから、もう何も気にしないほうがいいのかもしれない。ここでずっとこんなやりとりを続けていては、いつのまにか日が昇ってしまう。
装備はとても簡易的。
いくつかの回復アイテムや食料をかき集めてやってきた。
(…………やっぱり少しだけ不安かも)




