表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チートルーレット!~転生時に貰ったチートがとても酷いものだったので、田舎でのんびりスローライフを送ります~  作者: 宮本XP


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

770/789

第763話 三倍以上の価値


 ローデットさんにお願いして、鑑定結果を段階的に表示してもらえることとなった。段階的に、まずはレベルだけの表示である。

 その代わりローデットさんには、通常の三倍の鑑定代を支払うことになったが――まぁそれは些細(ささい)な問題だろう。むしろ問題ですらない。なんならありがたい。気持ちよくお支払いして、気持ちよく鑑定させていただこう。


「ではえぇと、確かここを、こうしてー」


「ふむふむ」


 さっそくローデットさんが作業を始めてくれた。どうやら鑑定の水晶ではなく、水晶が収められている箱をいじっているようだ。

 しかし、なかなかに苦戦しているようで……。


「すみません、なんだか妙なお願いをしてしまって」


「いえいえ、そういった使い方自体は、わりとあることらしいので」


「え、鑑定結果の一部表示ですか? あるんですか?」


「大きな町とかでは、そうして使っているところもあるらしいですー」


「へぇ? 実際にお願いしている僕が言うのもおかしな話ですが、なんでまたそんな使い方を?」


 わざわざ一部だけを表示することになんの意味があるのか。僕みたいに『一度にすべてを表示されたら処理しきれない。それだけで何百話も消費してしまう』と、そんな悩みを抱えた人が他にいるのだろうか?


「なんでも検問用らしいですー」


「検問用?」


「さすがに検問でそこまで詳細な鑑定は必要ないですし、その詳細な鑑定結果を他人に見せることを嫌がる人もいますから」


「はー、そうなんですね」


 検問か。なるほどなぁ、そういう使い方があったとは――


 ――って、ラフトの町だ。

 それ僕もやったわ。確かにそうだった。検問では簡易鑑定だった。


「思い出しました。確かにラフトの町の検問はそうでした。職業までしか表示されませんでした」


「ああ、人界の町ですね? じゃあ初めて町に入るときには、アレクさんも戸惑ったんじゃないですか?」


「そうですね、初めて町に入るときは……。ええまぁ、戸惑いましたね……」


 まぁそのときは町に入れなかったんだけどね……。簡易鑑定をして、詰め所に連行されて、それから追い返されたんだ。初めてのときはそうで、二回目でようやく入れたはずだ……。


「簡易的な鑑定用魔道具で、職業までしか表示されない限定仕様かと思っていたのですが、設定で限定しているだけなんですね」


「そうですー。なのでこの水晶でも、そういう設定ができるはずですー」


「なるほど、詳しい解説ありがとうございます」


 ……そういえばローデットさんって、解説キャラっぽい一面も持っていたな。

 最近は僕が鑑定していないこともあり、その一面を披露する場面が減ってしまい、そこは申し訳なく思う。


「ではそういうことでローデットさん、よろしくお願いします」


「任せてくださいー」


 そんなやり取りがあって、再びローデットさんは作業に戻った。

 ああでもないこうでもないと、水晶の箱をいじいじしている。


「んー、んー、えーと、あれー?」


「お手数おかけします」


 頑張ってるな。設定しようとローデットさんが頑張っている。

 ローデットさんがシスター業務を頑張るという、だいぶ貴重なシーンである。こちらとしても三倍の鑑定代を支払っているわけだが、この姿を見られただけでも、三倍以上の価値があったのではなかろうか。



 ◇



「はい、できましたー」


「おー、ありがとうございます」


「ずいぶんお待たせしました。すみませんアレクさん」


「いえいえ、お疲れ様でした」


 良かった良かった。悪戦苦闘していたローデットさんであったが、どうにか無事にセッティングを終えたらしい。

 うん、良かったよね。すごく良かった。無事に設定できたことも良かったし、ローデットさんが頑張る姿を見られたことも良かった。そして何より――それなりの時間を掛けてもらえたのが良かった。

 ……あれだけ『難しいですねー』と渋っていたのに一瞬で設定が完了してしまったら、こちらとしてもやるせない気分になってしまう。


「ではでは、早速鑑定してもよろしいでしょうか」


「どうぞー」


 よし、それじゃあ始めよう。久々の鑑定だ。今回はレベルだけとはいえ、久々の鑑定でわくわくする。

 元のレベルは45であった。あれから一年半、果たしてどこまで伸びたのだろう。期待を胸に抱きながら僕は水晶に手を置き、魔力を流す。すると水晶には――


 名前:アレクシス


「……うん?」


 ん? これは何? 名前? 僕の名前だけ?

 わけがわからなくて、しばらく水晶を眺める。じっと眺め続けるが、やはり水晶には――


 名前:アレクシス


 ……名前だけである。待てど暮らせど名前だけ。


「上手くいって良かったですー」


「え?」


「ちゃんと段階的に一部だけ表示させることができましたー」


「いや、あの……」


 えっと、これは……どうしてこうなった? 意思疎通が上手くいってなかった? でも僕はちゃんと伝えたよね。レベルだけ鑑定したいと伝えたはずだ。

 なんだっけ? 正確にはなんと言った? 確か僕はローデットさんに――


『段階的にまずはレベルだけとか、そういうのってできませんかね?』


 ――こう伝えたはずだ。

 え、これでダメだったの? なんでだ? ……もしかして、『レベルだけとか』の『とか』がダメだった? 『まずはレベルだけお願いします』と言い切らなければいけなかった?


「アレクさんの希望通り、これからは段階的に表示を増やしていきますねー」


「段階的に……」


 どうやら『段階的』という言葉に引っ張られたらしい。上から順々に、段階的に表示を増やしてほしいのだと考えたらしい。それでまずは、一番上の名前だけを……。

 いやでも、これはどうしたものかな。さすがにこれは……。


「上手くいきましたねー。良かったですねーアレクさん」


「……あ、はい」


 ……言い出せなかった。

 頑張って設定してくれて、上手くいったとホクホクしているローデットさんに対して、これは違うと伝えることができなかった。


「……ありがとうございましたローデットさん」


「いえいえ、とんでもないですー」


 確かにとんでもない結末を迎えたような気もする。


「じゃあ次は二週間後になりますかねー」


「二週間後……」


 隔週で教会に通っている僕だ。そうなると次の鑑定は二週間後。次の項目は……種族か。

 二週間後、僕はいつもの三倍の金を払って、自分がエルフということだけを改めて確認するらしい。





 next chapter:アレクシスと温泉旅行

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
守銭奴…!? ((( ;゜Д゜)))
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ