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5、召喚士はケンカ好き?(1)

『やっと出られたにゃん!』



あまりにも奥に進みすぎていたせいもあり、シューゴ達がジャングルを抜けたのは1時間も経ってしまったあとだった。これから旅を始めるというのにさいさきが悪いことこの上ない。

しかし得たものもあるのはシューゴ達にとって幸運なことだろう。



『まったく・・・だれのせいだよ、こんなに迷ったのは・・・』


『ふ~ん♪』



シューゴは恨めしそうにリアを睨んで見せるものの、当の本人は全く自覚がないようで鼻歌を歌いながら歩いていた。そんなリアは諦めて、シューゴは猛スピードで先行していたミズにゃんに話しかけた。



『ありがとな。あのままだったら来たくもないジャングルで遭難してたところだ。ミズにゃんのおかげだよ』


『そんなそんな・・・!マスターに感謝されるなんておこがましいにゃん・・・。でも、すっごく嬉しいのにゃん!どういたしまして、なのにゃん!えへへ///』



ミズにゃんは褒められることに慣れていないらしく、終始耳をぴくぴくと動かして嬉しそうに言った。



『それより、ここどこなの?迷って方向分からなくなっちゃったから地図見てもさっぱりなんだけど』


『たしか近くに町があったはずだにゃん。そこで聞けばわかると思う』



ミズにゃんはジャングルに住んでいたこともあり土地勘があるようだ。

確かに遠くの方に町があることを確認したシューゴ達は、足速に町を目指して歩いていった。


―――――――――――――――


町に着いたシューゴ達が適当な町民から町の名前を聞き出すと、「アルセナ」という町だということが判明した。

リアが地図を取り出して現在地を指差し確認する。シューゴとミズにゃんはそれを覗き込む。



『・・・あった、ここだね。ジャングルに入る前の町はここだからだいぶ東に来てる』


『俺達が目指してるのはどこなんだ?』



シューゴが問うと、リアは50cm四方の地図の上で指をススッと動かし・・・



『ここ』



と言うと同時に45cm動かしたところで止めた。



『地図の端と端じゃねえかっ!?』



そこは最初にいた町よりずっと西にあって、シューゴが思わずツッコミを入れてしまうほど遠かった。地図を改めてよく見ると前にリアが言った通り、山脈をいくつも横切るような地形だった。

『はあ・・・』と溜息をつくシューゴはこの世界に来てから落胆しっぱなしである。



『なによお。全国地図じゃないだけありがたいと思ってよ。この地図はシンフォック地方だけだからまだましなんだってば』


『地方とか言われても俺には規模がわからないからなあ。俺のいた世界でどのくらいかわかれば少しは・・・』


『あ、シューゴのいた世界なら何度かコンタクトとったことあるから距離感なら少しくらいわかるよ』


『ほんとか?!これってどのくらいの距離なんだ??』


『そうだなぁ・・・。日本の本州くらいの距離かな?』



シューゴは『はああ・・・』とさらに深い溜息をついた。ごく普通の高校生だったシューゴが、本州の端から端まで歩いて旅したことなど、もちろんあるはずがない。そんな未体験を今からやろうというのだから、シューゴが落ち込むのも無理はない。


―――――――――――――――


そろそろ日も暮れそうなので、シューゴ達はこの町で宿をとって一泊することにした。今からまた西に向かってもやる気がそがれるだけである。何と言ったってまたあのジャングルを通ることになるのだから。

所持金がそんなにないことを考えて安めの宿に泊まることにしたシューゴ達がそこに入ると、屈強な男達十数名が若い青年を脅している真っ最中だった。



『なんでわからないかねえ。こんなさびれた宿じゃあ客なんてこねえし土地の無駄なんだよ。さっさと立ち退いてくれや』


『そんな・・・。ここは父さんから受け継いだ大切な・・・』


『ガタガタ言ってんじゃねえよ!!』


『ひいっ!?』



シューゴは面倒なことに巻き込まれまいとその場を去ろうとしたが、リアが大声をあげたのでそれは不可能となった。



『おい!そこの!そんなに好きにしたいんだったらあたしを倒してからにしろ!』


『あぁん?だれだおめえ?!』



男達は少しばかり驚いたものの、小さな女の子相手に怯むことなど当然なく、むしろテンションが上がってしまったようだ。青年を脅していた男が仲間達を盛り上げ、士気を高めていく。

しかしリアはそれと同調するように高笑いを上げ、さらに男達を挑発していく。



『ひゃっほおう!!シューゴ、いっちょやるよ!!』


『(ああ、凶戦士が2人もいるよ・・・)』



シューゴは、ヌンチャクを召喚して狂ったように突撃する紅眼のリアとテンションに任せて暴れるミズにゃんに仕方なく続くのだった。

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