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第九十章 十五日――飛行は順調

「アキルズ?! よお! ふう、無事だったか?」驚きながらも嬉しそうに俺は言って、息子に近づいた。


「ああ、うん、大丈夫だよ。遅くなって、しかもみんなを心配させちゃって、ごめん」


ドアの向こうからラミが慎重に顔を覗かせて、俺を見た。


「気にすんな、帰ってきてくれりゃそれでいい。夜が明けても連絡がなかったら、こっちから探しに行くつもりだったんだぞ。でも……こいつは一体何だ、どこからこんなもん持ってきたんだ?」


狼娘が近づいてきて、挨拶をしてからこう言った。


「これは、まあ言うなら、エメラルドの女王様からご提供いただいたサービスってところかしら」


なるほどな。あいつは何を考えてるんだろう、この船はかなり高価なもんのはずだ。もし国境まで常にこいつを飛ばしてたら、ランキングも上がってただろうに。まあ、それが狙いなのかもしれないが。


「で、何でまた急に太っ腹になったんだ? まさか俺たちが試練で一位を取ったからか?」


アキルズが嬉しそうに叫んだ。


「やった、すごいよ父さん! やっぱり父さんがまた一番になるって信じてたんだ!」


「ああ、ありがとう。そんなに応援してくれてたなんて嬉しいな」


ラミは何か考え込んでいた。どうやら今の情報を以前の出来事と照らし合わせているようだったが、やがて自分の考えを振り払うように首を横に振った。


少女の指に光る金の指輪に気づいて、息子の手も見てみた。なるほど、ちゃんとできたってわけか。


「そういえば、おめでとう!」


「あ、ありがとうございます」ラミが照れながら言った。アキルズの方は誇らしげに微笑んでいる。まあ当然だよな、他の娘たちを全員出し抜いたんだから。


「で、結局船はどうなるんだ? 攻撃に参加するのか、それとも若い連中の送迎だけか?」


「残る」と、二人が何か答えるより早く、見知らぬ声が聞こえた。


若い男が俺たちに近づいてきた。顔は特別目立つわけじゃないが、装備は見事なものだった。緑の筋が走る重厚な黒い鎧、艶消しの黒い素材で作られ、不揃いな光を時折放つ鮮やかな緑の透明な挿入部を持つ、威圧的な長剣。腰には緑の短剣も下げていた。


赤いマントをひるがえし、見知らぬ男は軽く頭を下げて、真面目な表情を保ったまま大きな声で名乗った。


「皇子イソルトゥール、女王シアディンの長子だ。本日より、俺と支援艦『新たなる希望』は諸君の指揮下にある」


「おお、ありがとう。ニコ、死すべき者だ。下に案内する、泊まっていってくれ」


口の端を笑ませて、皇子は頭を横に振った。


「ありがたいが、辞退させてもらおう。だが、うちの客人たちは好きにしていい」


新婚夫婦は村に戻ることにしたようで、皇子は口笛で二人の乗組員を呼んだ。灰色のフード付きマントを着た二人の娘が俺たちの元へと急ぎ足でやってきて、皇子との別れが済むまで従順に待っていた。その後、彼女たちは俺たちを「揺り籠」の後部まで案内し、二人揃ってプラットフォームに魔法をかけ始めた。浮遊魔法を使ったエレベーターみたいなものか? とにかく、俺たちは滑らかにロートクの空きスペースへと降下し、集まった群衆の方へ歩いて行った。娘たちは呪文で上へと戻っていった。


状況を手短に説明して住民たちを落ち着かせた後、俺たちは寝ることにした。だってもう夜中の3時頃だったんだから……


◇◇◇


15日目、朝。


「襲撃の日。現在の統計:」


今のところ変化なし。他の大陸は表示されていない。知ることは知ったんだが、どうやら俺たちが気にかけるべきなのは自分の大陸だけらしい。


うーん、ヴァンパイアには捕虜が必要で、それがまだ増えるかどうかも分からないんだから、寿命から2年と捕虜2人を取っておこう。ついでにギルを呼び出して日々の餌を与え、自分の2年を取り戻した。


ボーナスは受け取った、訓練も終わった。さあ、いよいよ一番重要な時が来た!


「警告! 連結ポータルが開くまで あと00:29:57」


「新しいロートクが各ポータルゾーンに追加されます。残り時間00:29:55」


ちくしょう、あと三十分しかねえ!


俺は急いで下へ駆け降り、全員に警告して叩き起こした。下では灰色のマントを羽織った女性魔術師が待っていた。攻撃開始までの時間を聞くと、彼女は礼を言い、テーブルに並べた魔法の道具に呪文を唱え始めた――「新たなる希望」へメッセージを送るためだ。


この十五日間で、みんなの準備は完璧に近い。だから十分後には、全員が完全武装でポータルゾーンへ向かっていた。


俺は特にウルカストのことが心配だったが、彼は何も言わず黙って全員についていった。いつの間にライフルを手に入れたんだ? ああ、そうか――彼もフレムテックのモデルを起動できる指輪を持ってるんだった。それなら不思議じゃない。


屋敷に戻って出発準備をほぼ終え、最終チェックをしていると、屋敷の地下からシューシューという音とカチカチという音が聞こえてきた。


慎重に近づいてみると、笑顔のマハがいた。彼女の背後には、醜悪さの度合いがまちまちな数体のクリーチャーがいた。昆虫、クモ、サソリ――他にも何だかわからない生き物の特徴が混ざり合っている。その牙だらけの連中は脚をガチャガチャ動かしていたが、襲ってはこなかった。


「おはよう、パパ。今はまだ少しだけだけど」


おお、これがもう改造済みの盗賊どもか? ちょっとゾッとする光景だな。


こいつらを一匹ずつ通過させながら、俺は繋がりに追加していった。+5。


まともな言葉が話せないにもかかわらず、昆虫人間どもは素直に最前線へと走っていった。俺の言っていることをちゃんと理解しているのは明らかだった。


「ありがとう、マハ」


「どういたしまして、また頼ってね!」少女はそうさえずると、羽をはためかせて俺に投げキッスを飛ばしてきた。


俺は不器用に手を振り返して、他の連中のところへと急いだ。


もちろん、戦士たちの強化のおかげで後方をかなりしっかりカバーできるようになったから、射手たち全員が明らかに自信を持っているようだった。


近くに艦船が浮いていた。音もなく動いていたが、もちろん目立たないわけではなかった。アルヴァーはこういうのをいくつ持っているんだろうな?


「ロートク設置完了!」


まだ兵士の姿をしている者たちが探索に飛び出し、俺たちは目を凝らしてポータルの出現地点を探し始めた。


だが、どこにもない。まさか攻撃を諦めたのか? だが初めての平穏な一日という希望は、船から魔法使いが駆け寄ってきた時に打ち砕かれた。


「死すべき者、ポータルはもっと北です。あなたたちの森の拠点とほぼ同じライン上に」


くそったれ! 素早く方向転換した兵士たちが目標地点へ走り出す。俺は装甲兵員輸送車を呼び出し、主力を乗せて前方へ突っ走った。何台も出せたが、突撃用にポイントは温存しておいた方がいいだろう。


船から二つの魔力の塊が飛び出した。高速で移動し、遠くの地面に叩きつけられる。爆発音が響いた。


船の方から大きな唸り声が上がり、さらにもう一発。今度は大きな青い塊だ。爆発は起きなかった。一体何が起きてるんだ、畜生!


現場に駆けつけると、バギーの残骸が炎を上げて燃えているのが見えた。あちこちに死体が転がっている。だがポータルからはもう誰も出てきていなかった。フェブリモールと何人かのソードマスターたちが盾でソフィアを守っている。一緒にもう少し近づくと、彼女はポータルの真正面に炎の壁を作り出した。


また誰もいなかった。


数分待っていると、轟音を立ててポータルからトレーラーを引いたトラクターが飛び出してきた。そこからすぐに貨物ヘリコプターが発進した。ドアは開いたままで、そこからロータリーガンが突き出ており、すでに射撃体勢に入ったテクガンの兵士が構えていた。銃身が回転する甲高い音が響いたが、その直前、静かなスナイパーライフルの発砲音が聞こえた。エンディスだ!


兵士がヘリから転がり落ち、別の兵士が慌てて彼の場所に飛び込んだが、同じ運命を辿った。ヘリは急いで射線から逃れようとしたが、この先は予想外だった。ウルカストが火球をエンジンに投げつけ、ヘリはエンジンを咳き込ませながらぐるぐると回り、高度を急速に失い始め、どこかの森に墜落した。


大きな爆発音。煙の塊が空に舞い上がった。皇子の船が近づいてきて、燃え上がる炎の上に停止すると、撃墜された機体に水を放ち始めた。まあ、驚きではあるが、魔法使いのクルーだということを考えれば、こういうこともあるんだろう。たぶん。


多くの者が驚いた様子で新入りの兵士を見つめた。ライフルの代わりにいきなり魔法を使ったのだから。他にどんな秘密を隠し持っているんだ?


ウルカストは素早く俺に近づいてきて、確認した。


「ポータルの向こう側のクソ野郎どもを片付けちまえば、もう来ないよな?」


過激だな。


「いや、攻撃を仕掛けてきた基地だけで言えば、多分そうだろうな。ただ、ポータルが閉じちまったら、俺たちもそう簡単には戻れないんだが」


兵士は数秒何か考え込むと、突然前に飛び出して、誰の制止も聞かずポータルに飛び込んだ。一体何を考えてやがるんだ、くそったれ!?


まさか、早く自分の陣営に帰りたいからか? こっちを早く片付ければ、俺も早く手を貸せる。でも、たった一人で?


多くの者が唖然として成り行きを見守った。さらに数分間、緊張した空気の中で待ったが、もう誰もポータルから出てくることはなく、楕円はやがて閉じた。


自分の目が信じられなかった。これが、多くの者が悪夢のように恐れていた十五日目か。なのに俺たちは体力を消耗しただけで済んだ。誰も死ななかった。


兵士たちは歓声を上げ、互いに祝福し合った。俺はまだ立ち尽くしたまま、完全には実感が湧かなかった。確かに、船がなくても何とかなっただろうが、その場合は犠牲者が出ていたはずだ。それに今回の攻撃自体がやけに弱かった。ジョニーの言った通り、国境付近の基地は損害が大きくて、強力なところに吸収されたんだろう。そして、そういう連中は他勢力の領土に突っ込むより、今はまだ同じ陣営内で勢力拡大する方を選んでるってわけか。


もちろん、そういう統合されたギルドが俺たちのところに来る気になったらどうするか、後で考えなきゃならないが、当面は楽に過ごせそうだ。ふう。


戦士たちが新しいロッドを見つけて俺に手渡すと、全員揃って戻ることにした。フェブリモールが墜落現場に生存者がいないか確認に向かわせた数名を除いて。


船のクルーの魔法使いが俺のところに来て、皇子は特に用がなければこれで戻ると伝えてきた。女王の好意的な態度――どこから湧いて出たのかよく分からないが――にあまり甘えるのもまずいだろうと判断して、俺は感謝と賛辞を伝えてくれと頼み、今のところは自分たちで何とかすると言っておいた。


その後、俺は他の連中に追いついて、一緒に基地へ戻った。どうやら今日は祝いの日になりそうだ。ジョニーは今日こそ絶対に結婚するって言ってた。たぶん、落ち着かないのは俺だけなんだろう。ウルカストがあっちで何かやらかさないといいんだが。まあ、いざとなったら本人くらいは蘇生できるけど。


◇◇◇


「友達!」フェリが高い声で言った。アイリーンがロボットの固定具をいくつか調整している最中だった。


「そうそう、疑わなくていいのよ。友達!」少女は笑顔でそう言い、ロボットがランプを点滅させた。


フェリが突然ぴくりと動き、頭部を動かして首の近くの窪みから小さな円筒形のアンテナを出した。


「脅威を検知。アイリーンきんの敵!」ロボットが突然告げた。


少女は理解できないという様子でロボットを見つめ、それから操作コンソールのところへ向かった。


「ああ、やっぱり何か壊れちゃったみたいね。実験で雨の中に出すべきじゃなかったわ」


「いや、フェリは敵を見つけたんだ!」


ロボットが騒ぎ立てるのを見て、少女は不安になった。何しろこいつにはネメシスのスキャンシステムが搭載されているし、そもそも最初に戦闘プログラムを入れたのは自分なのだ。


「えっと、敵って誰? 距離は?」


カチリと音を立てて、ロボットがブーンと唸り、数秒後に答えを返してきた。


「敵は対スキャンシステムを使用。視覚探知に対する防御。データから判断すると、カメレオンスーツの可能性。正確な距離は不明、半径300メートル以内」


ネメシスには百科事典的なデータは何も入っていない。あるのは装備の一部とその機能に関する無味乾燥な情報だけで、当然ながらそれもフレムテックに関するものがほとんどだ。テクガンやシャドマーについての情報も少しはあったが、攻防戦の最中に集めたわずかなものだけ。とはいえ、アイリーンには大体話が見えてきた。ロボットが装備を認識したということは、敵対派閥のフレムテック所属者としか考えられない。しかも今、みんなまだポータルの近くにいるはずなのに!


「どうやって見つけたの?」


「アイリーンちゃんの敵が28秒間、防御を切った」ロボットは素早く報告すると、ランプを光らせて主人を見つめた。


「最後の位置を特定してみろ」


フェリは屋敷の出口に向かって歩き出し、少女は一瞬ためらった後、彼の後を追った。


◇◇◇


半透明の影のように、猫娘は艦船の斉射の数秒前にポータルから滑り出した。他の上級クローンたちから見下されているアルヴァーが、実はこんな戦力を持っていたのかと感心しながら、フレムテックの娘は素早く森の中に姿を消した。テクガンですら彼女をすぐに発見できなかったのだから、ここでも見つかることはまずないだろう。


自分のスーツと似たアクティブ迷彩システムを搭載した小型ドローンを起動させ、少女は展開される地形マップと素早く照合し始めた。そして満足そうに「にゃん」と鳴くと、村の方角へ走り出した。


見張り塔から見えない壁の区画を選ぶと、彼女は手袋で石積みに張り付き、素早く登って器用に中へと飛び込んだ。


主要な建物はそれほど多くないので、少女はまずセンターへと向かった。


中年の男がパイプに煙草を詰めながらドアから出てくるのを見ると、フレムテックの娘はドアが閉まる前に中へ滑り込んだ。


一分もかからずに各部屋を駆け回り、猫娘はすぐに探していた者たちを見つけた。アレックスの読み通り、この死すべき者は二人のキューを連れて行かなかった。軽量メカがそんなに多くあるはずもないし、攻撃の規模も小さすぎて彼女たちを投入する必要がそもそもないだろう。


会話を楽しむ少女たちにそっと忍び寄った猫娘は、スーツの口元を覆う布地をずらして操作ボタンを押した。それから迷彩を解除して、ヘルメットを完全に外すと、長い髪を揺らし、耳をぴこぴこ動かした。


キューの二人は、目の前に突然現れた美しい猫娘に固まった。彼女は体にぴったり張り付いた灰色のスーツを着ている。ポニーテールにまとめた長い髪、ぷっくりとした唇、そしてスーツのAIと同期したレンズのせいでほのかに光る瞳。長い尻尾がだらりと垂れ下がり、カメレオン布地に包まれている。


スーツには小さなポーチがいくつも付いていて、これらも迷彩で隠されていた。大型の拳銃以外に武器は見当たらない。


太腿から拳銃を外した少女は、武器をパイロットたちに向けて、一語一語を慎重に区切りながら言った。


「コード・オメガ:4 8 15 16 23 42。善良。故郷への帰還。独り」


少女たちの視線がガラス玉のように虚ろになり、猫娘の前で従順に立ち上がると、囁いた。


「制御権を移譲します」


微笑んだ猫娘は続けた。


「死すべき者、ニコを捕らえるか殺せ。お前たちを指定の座標で待っている。ナビゲーターに表示されている場所だ。成功に寄与する妨害工作は歓迎する」


指示を終えると、少女はキューたちに親指の骨ほどの大きさしかない小さな画面付きの機器を手渡した。


再び迷彩服に身を包むと、少女は偽装した尻尾を振り、急いでセンターを後にした。


通りに飛び出すと、彼女は素早くドローンから収集したデータに目を通した。


「フレムテックの拠点? ラッキーじゃない」


ヘルメットの下で微笑みながら、少女は村から脱出するため壁に向かって急いだ。だがその時、屋敷から大型ロボットが出てきて、真っ直ぐこちらに向かってきた。


◇◇◇


現在の残存寿命――49+(170)。能力発動用ボーナス年数:68(65)(係数0.4)(捕虜――4)

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