第七十九章 古い『お仲間』との再会と第3ラウンド
「一言も言うな! 一言もだ、くそったれ!」女王は復活後、憎々しげにそう言い放った。
マルコは俺と目を合わせて肩をすくめると、俺たちは引き返した。
ダンジョンに戻った俺たちは休憩が宣言されるのを待ってから、もう見知った小部屋へと向かった。ただし今回は、前よりずっと雰囲気が悪かった。
セバスティアンはなぜかエクゾスケルトンを着たままだった。具体的な仕様は知らない――俺自身まだ召喚したことがないからな――が、脱着は自由にできるはずだ。だが奴は何か上手くいかなかったらしく、部屋の奥にインテリア用の鎧の現代版みたいなものが立っていた。
ヴィンセントは何かのサラダを慌ただしくかき込んでいた。思い出してみれば、基地で食料調達らしき建物は『シンセテート』とかいうやつくらいしかなかったから、こういう料理なんて食べられなかったのかもしれない。死すべき者の館ではいつもセフィーナが何か軽いものを作ってくれるが、キューたちもワイもそこまで食い意地が張っているようには見えなかった。
シアディンは暖炉の方へ向かったが、そこには既に深い肘掛け椅子にアグネスが座っているのが見えた。追加の腕がない分、彼女はかなり目立たなくなっていた。「あら」と小さく声を上げた女王は、手を温めに来ただけという風を装うと、急いでテーブルへ向かった。そこでは俺とマルコが既に、赤毛の男から離れた席を確保していた。
「一つ分からないんだが」ヴィンセントがネクタイからパンくずを払いながら切り出した。「お前、どうやってアグネスをぶっ倒したんだ?」
「だから、それは俺じゃなくてシアディンだ」
苦笑しながら、赤毛の男は肉料理を少し取り分けた。
「ああ、今日の話じゃないよ。俺も議論でかなり腕を上げたけど、やっぱり気になるんだ。それって君らアルヴァー派閥の魔法か何かなのか?」
「本気で派閥の秘密を教えろって言ってるわけ?」シアディンが腕を組んで鼻を鳴らした。「特に、あんたたちがテクガンと一緒にうちに乗り込んできた後でさ」
知ってたのか? 他に何を知ってる? そして何より、どこからそんな情報を? また森を探り回るのか? まあ、あれからもうかなり経ってるし、ユリウスとイシラは知らなかったみたいだけど。
ヴィンセントが笑った。
「まあ、軽い冗談だよ。後で自分で調べるさ。覚悟しとけよ、アレックスはあんたらがあれだけのメカを破壊したことを許さないだろうからな。それに他のことも……」
「それって脅しのつもり?」俺は尋ねた。
「あ? いや、事実を述べただけだ」ヴィンセントは無関心な口調で答え、ソファの背もたれに身を預けた。
「いや、そっちから突っ込んできて吸い取っといて、俺たちが悪いのかよ。あんたのアレックスって何歳だ? 3、4歳か?」
赤毛は横を向いてくっくっと笑い、それからアグネスの方へ振り返って静かに呼びかけた。
少女が近づいて仲間の隣に腰を下ろすと、ヴィンセントは彼女の肩を抱き、キスをしてから、空いた手で装甲パッドのない体にぴったりとしたスーツの部分を撫で回した。
「ヴィンセント、何のつもりですか!?」部屋の奥から変調した声が響いた。
「黙ってろ、不具が」ヴィンセントは外骨格の方へ悪意を込めて吐き捨て、何の反応も示さない少女を触り続けた。「じゃあ、紹介しとくぜ。こちらアグネス・ブーリンだ」
「ああ、知ってる」俺はいらいらしながら言った。この芝居が何のためなのか、よく分からなかった。
「俺は知らな……」マルコが言いかけたが、俺の雄弁な視線の下で口を閉ざした。
「アレックスの娘で、直接クローンできなくて、こんな可哀想なコピーを作らざるを得なかった子だ。加えられた変更のせいで記憶がまともに定着しないから、アレックスは今、すっごく怒ってる。同情するよ、死すべき者」
俺は立ち上がって二人に近づき、肩に手を置いた。
「俺もお前らに同情しねえよ、くそったれの自信過剰な死にぞこないども」
終了の合図が鳴った。くそ。俺の手を払いのけて、ヴィンセントはアグネスを掴んで出口に向かった。
明日、あいつらが俺たちのところまで間に合わないことを祈るしかない。あの娘がこんなに重要な大物で、傷ついた親父どもがこぞって追いかけてくるなんて、誰が想像できただろうか。
そんなことを考えながら、俺は残りのメンバーと一緒にダンジョンに戻った。コイントスはまたしても俺たちの結果じゃなかった。
サイコロが示したのは「拠点制圧・維持戦」だった。
今回は告知が勝手に点灯した。どういう仕組みなのか知らないが、もしかして俺たちが勝者として出てきたから選ばせてもらえたのか? それとも実はここ全部――選択の幻想なのか……
「対戦相手選択――シャドマー。開始まで4:59」
なるほど、順番通りか。このモードがどんなものか大体は想像がつくけど、ここでの具体的なルールは分からない。俺とマルコは疑問の眼差しを女王に向けたが、彼女はすでに説明を始めようとしていた。
「マップ上に重要拠点が配置される。敵を全滅させるか、拠点を占領して一定時間保持すればいい。勝利ポイントは通常モードと同じくキル数で計算される。拠点制圧で勝った場合はチーム全員に2ポイント。無傷なら3ポイントだ。分かった?」
頷いて、俺とマルコは開始を待った。
「第三試合。拠点占領・防衛戦、戦場――闇の城塞。ランク3~5。
アルヴァー―シャドマー
マルコ、鷲の眼――イリエル、フィールドマスター
ニコ、死すべき者――ステラ、デッドリーシャドウ
シアディン、エメラルドの女王――フリーダ、バンシー伯爵夫人
ポイント数は2」
あのステラが間に合って起き上がっていたらいいんだが、そうなら全部もっと楽になるはずだ。
開いたドアから中に入り、前に進みながら、シアディンが素早く囁いた。
「あなたたちは一つのポイントへ、私はもう一つへ」
「冗談じゃない。あんたとマルコが一つ、俺がもう一つだ。この賢しらどもには切り札がある」
目を細めて、女王は俺をじっと見つめたが、前回のラウンドで自分がいまいちだったことを思い出したのか、渋々頷いた。
「分かったわ。裏切らないで、ニコ」以前の自信満々な調子は消えて、女王はそう言った。それからいつもの威圧的な声に戻って、マルコに急ぐよう命じた。
廊下を抜けた途端、俺たちはすごく似たような場所に出た。まるでどこにも行ってなかったみたいだ。暗い石壁、照明は少ない。まあ、床に絨毯があるだけマシか。
俺は右に進んだ。他のやつらは反対方向に消えた。壁には小さな矢印が描かれていて、目標地点に辿り着くにはどっちに行けばいいか示している。
騎士の鎧がシャドマーの刃を防げないことを思い出して、俺は頭の中でドラコニドフォームを早めに使わずに済む方法を考え始めた。だが、こんなことを考えてたら、少なくともステラに思考を読まれるかもしれない。囮を試してみるか? フレムテックはどうやって戦うんだ? センサーで奴らを探知できるのか?
テクノコマンドに切り替えて、攻撃ドローンを呼び出した。いくつかのフィルターをカチカチ切り替えてみたが、熱源の痕跡は見つからなかった。モーションセンサーに落ち着いて、ドローンと同期させた。『エイリアン』みたいにやってやる。ピコピコ音がしないのが残念だが。
戦闘用弾薬が装填されてるのを確認して、俺はゆっくりと前に進んだ。
「地点Aの制圧開始」
「地点Bの制圧開始」
もう両方か。ってことは急ぐ必要がある。だが慎重にだ。敵の一人がまだフリーなんだからな。
廊下には扉がたくさんあって、その一部は開いていた。だから、奇襲攻撃が大好きなこの派閥の連中が、そういう路地裏から飛び出してくるんじゃないかと警戒していた。
両拠点の制圧は四分の一まで進んでいる。あいつら、一体何をやってるんだ? やっぱりステラを念のため始末しておくべきか? でも、そうしたら見世物にならないだろうから、もう少し待つことにしよう。
前方にもう扉がないのを確認すると、俺は加速して、やがて大広間に出た。中央には長いテーブルが設置されていて、その上にはたくさんの皿が並んでいる。広間からは複数の扉が延びていて、上の方にはバルコニーのようなものへ続く階段もあった。誰がどれだけ食ってるか覗き見するためのものだろう。
テーブルの近くには円が描かれていて、その中心で柱が光り、徐々に色を変えていた。モーションセンサーが作動し、ドローンが音を立てたが、弾丸はテーブルの皿を粉々にし、木材に穴を開けただけで、敵に目に見える損傷はなかった。俺は円の方へ手榴弾を投げ込み、センサーが再び動き出した。ドローンは俺の指示通り、周囲に弾丸をばらまき始めた。そして、弾丸の一部が空中で止まっているのが見えた。俺はその方向に撃ち込んだが、直後に強烈な力で壁まで吹き飛ばされ、石材に叩きつけられた。ドローンは俺が始めた仕事を続け、シールドに弾丸を浴びせ続けた。やがて、締め付けが少し緩んだのを感じた。俺は基本の力のエンチャントを発動し、壁から離れることができた――ちょうどその時、透明人間が姿を現し、唸り声を上げながら、モーターが過負荷で唸りを上げるドローンを床に叩きつけた。
ステラ! 彼女がもう一度俺を捕まえる前の数瞬の間に、俺は大げさなポーズをとって、伸ばした腕に武器を構え、引き金を引いて叫んだ。
「バン!」
それと同時に繋がりでステラを殺したから、彼女のフィールドが消えて、弾丸がまっすぐ頭に命中した。
「ステラ、脱落」
「ポイントA占拠――50%」
俺は加速を発動させて急いで戻った。幸い、城は左右対称の造りだったから、30秒ほどで2番目のポイントまでたどり着いた。ただし、バルコニー側から出てしまったが。
なるほど、こういうことか。マルコとシアディンはドームの中に閉じこもり、敵がポイントを奪っている間じっとしていたわけだ。フリーダとかいう女の姿は見当たらないが、男の方ならばっちり見える。あいつの戦術を見る限り、隠れる気なんてさらさらなかったようだ。
そいつが着ているのは、他のシャドマー派閥の連中と比べればだいぶ重装備な鎧だった。しかも見た目もずっとマシだ。胸当て、肩当て、籠手、脛当て、それに顔の半分、目も含めて覆う兜まで。全ての防具は無数の小さなプレートで構成され、青白く光る大きな鋲で固定されている。男の手には2本の大剣――先端が直角に曲がった刃が付いていて、まるで山登り用のピッケルみたいだ。どちらの武器も赤く光っていて、イリエルはそれらでせっせとクリスタルのドームを削っている。アグネスのやり方を見て学んだのか? それとも、あいつらの世界じゃこれが定番の戦術なのか?
もし違うなら、なんで俺たちは録画映像をチェックしなかったんだ? 女王に盛大に説教してやらないとな。
マルコとシアディンももちろん、ただ中で縮こまっているわけじゃない。女王は絶え間なくクリスタルを発射してシャドマーを攻撃しているが、相手のフィールドが全て弾いてしまう。マルコがイリエルの開けた穴から放つクリスタライトの矢も、同じように曲げられて逸れていく。だが今やシアディンも苦い経験から学んでいるから、防御の穴はすぐに塞いでいた。
女王の攻撃間隔を見計らい、俺は前へと飛び出し、シャドマーのすぐ近くに上から飛び降りた。飛びながらドラコニドの指輪を回す。フィールドが消え、刃と鋲が消えると、男の体をいくつもの水晶の槍が貫いた。高く持ち上げられた男の体から、きらめく水晶を伝って血の筋が流れ落ちる。さらに何本かの槍が現れ、折れ曲がった体を磔の殉教者のように固定した。まるで他の奴らへの見せしめだ。
「イリエル、脱落」
拠点へと駆け出すと、大きな叫び声が聞こえた。悲鳴といえば悲鳴だが、後ろではシアディンとマルコが耳を押さえて膝をついている。どうやら精神攻撃らしい。拠点のすぐそばまで跳び込み、オーラで伯爵夫人を捉えた。かなり薄着の娘で、ウェーブのかかった明るい髪と魅惑的な体つきをしている。彼女が身につけているのは「ドレスの切れ端」とでも呼ぶべきもので、胸の一部だけを覆い、なかなかいい眺めを残しつつ上へと伸びて高い襟になっている。それから腰のあたりは腰巻きのようなもので覆われていて、この二つの部分がいくつかのベルトで繋がっている。
手には長い剣を握りしめている。おそらく他の連中と同じ効果を持つものだろうが、今は消えている。娘は力を失っているにもかかわらず前へと飛び出してきたが、俺は翼を羽ばたかせて彼女の上を飛び越え、叫んだ。
「マルコ!」
女王がドームを解除すると、クロスボウ使いは走り出しながら小袋を開け、小瓶を少女に向かって投げつけた。彼女が避ける間もなく、マルコは手甲でボルトの先端を擦り、火をつけると同時に発射した。ボルトは試験管を貫いて砕き、中身に着火させた。地獄のような混合物がショックを受けた少女に襲いかかり、無防備な身体を完全に覆い尽くして生きたまま焼き殺した。
「フリーダ、脱落。アルヴァー派閥の勝利!」
「ランク3。
アルヴァー:3ポイント――ノーダメージ勝利、2ポイント――効率性、3ポイント――観客性
シャドマー:0ポイント――敗北、0ポイント――効率性、1ポイント――観客性
ランク4。
アルヴァー:3ポイント――ノーダメージ勝利、3ポイント――効率性、3ポイント――観客性
シャドマー:0ポイント――敗北、1ポイント――効率性、1ポイント――観客性
ランク5。
アルヴァー:3ポイント――ノーダメージ勝利、2ポイント――効率性、3ポイント――観客性
シャドマー:0ポイント――敗北、1ポイント――効率性、1ポイント――観客性」
どうやら、あいつらのメンタル攻撃はダメージとして扱われなかったらしい。叫び声も、壁に叩きつけられたのも。たぶん、流血を指してるんだろう。
「総合結果:
アルヴァー:24+14+25 シャドマー:11+17+5
フレムテック:12+12+13 テクガン:8+12+11
アンジュヘル:24+18+18 エクスマッハ:12+10+14
デウスレギオ:21+15+21 キルハイヴ:26+18+15」
「アルヴァー:参加者全員がレアリティ9~10の神の石材をランダムで獲得」
「アルヴァー:参加者全員が神々の写本のページを1枚獲得」
さて、女王は今や結果に大満足で、鼻歌でも歌いそうな勢いで基地へ向かっていた。
俺は気になっていたことを聞いてみることにした。
「あのさ、なんでドームの中でテレキネシスでやられなかったんだ?」
「あ、それは簡単よ。クリスタルは精神波を部分的にブロックするの。たぶん、あいつらの力じゃクリスタルを突き破るには足りなかったのよ!」とシアディンは誇らしげに答えた。
「じゃあなんで最初からドームで覆って、あいつらが普通の武器で突破しようとしてる間にポイント制圧しなかったんだ? それと、叫び声はなんで通ったんだよ?」
女王は顔を背けて唇を尖らせた。ああ、どうやらみんな座って俺がみんなを救うのを待ってたってわけか? マルコだけがシアディンに聞こえないように「ありがとう」と囁いて、微笑んでくれた。
ウィンクを返して、俺は黙ったまま先へ進んだ。ドラコニドの姿のままで。戦闘の熱の中では気にも留めなかったが、今は以前より強くなったと感じる。尻尾と翼が常に感覚として存在していて、誰かが触れた時だけじゃない。鱗も増えたような気がする……頭の中の声たちが以前より身近に感じられる。意識を向けさえすれば、会話を始められそうだ。
戻ってみると、本に新しい文字が書かれていた。
「現在の順位表:
アルヴァー 63
アンジュヘル 60
キルハイヴ 59
デウスレギオ 57
フレムテック 37
エクスマッハ 36
シャドマー 33
テクガン 31」
「テクガン派閥とシャドマー派閥は試練から脱落、生命力20%を喪失!」
「エクスマッハ派閥とフレムテック派閥は試練から脱落、生命力15%を喪失!」
うわ、えぐいな。まあフレムテックの連中は別にどうってことないだろうけど。自分らでまた作り直せばいいんだし。
「第四回戦、派閥による殺し合い:
アルヴァー――キルハイヴ――アンジュヘル――デウスレギオ」
ラズに連絡して、今のところ順調だと伝えようとした矢先、頭の中に聞き覚えのある声が割り込んできた。
「まさか本当にあなただったなんて、ニコ。あなたが姿を現すまでは……」
俺は素早く光ったチーム編成を見た。
「キルハイヴ:
ルス・ソムニ――クローリングホラー
グリシ・ポンティ――ドラゴンブレード
レギ・アルヴァ――ドラコニドの女王」




