第七十七章 ラウンド1、ファイト!
おお、チームってことは、とりあえず開始数秒でボコられることはないのか? もう身構えちまってたぜ。
照明は今ひとつだったが、新たに現れた連中をよく観察してみた。
長い白髪の若い男。ランク3にしては装備が充実している。機動性重視の鎖帷子に、上質な鋼鉄製――間違いなければ――の重装甲パーツを組み合わせた造り。小手、肩当て、膝当て。武器としてマルコはクロスボウを持っていたが、腰にぶら下がった小袋の数を見る限り、ただの射手じゃなく、切り札を何枚か隠し持っているタイプだな。
少女を目にするや、男は慌てて膝をついた。
「殿下、あなた様と共に戦えるとは、なんという光栄!」
クリオシタから得た情報が正しければ、最も人前に姿を現さない女王を、こいつが見たことがあるとは思えない。参加者リストを見て、さっそくゴマをすりに来たって感じだな。
女王の方は、見た目は普通の少女だった。華奢な体つき――長い脚、細い腰、なで肩。だがそれでいて胸は大きい。王ってやつは巨乳好きを集めるのが趣味らしいな!
淡い青色から白へとなめらかに移り変わる変わったドレス。いや、正確には、ハイカラーの青いケープと、花の蕾を模したかのように切り込みの入った不揃いな裾の非対称なスカートが別々にあった。その下には女王の黒いボディスーツがあり、すらりとした脚と平らな腹部にぴったりと沿い、胸を支えながらも、覗きたい者のために大きく胸元を開けていた。
長い黒髪をなびかせて、彼女は射手に近づいた。可愛らしく見える顔は、どこか言葉にならないものを隠していて、まるで仮面のようだった。今も、優しく少年の頭に手を置き、女王は母親のように温かく微笑んで、優しい声で言った。
「もちろんよ、マルコ。アルヴァーを貶めようとしてごらんなさい。試練の後、一日も生きられないわよ」
最初の優しさに騙されて、弩兵は顔色を変えた。一瞬、恐怖の影が彼をかすめたが、それもほんの一瞬で、その後少年は顔を上げ、女王の目を忠実に見つめながら、手袋をつけた手で胸を叩いた。
「お見捨てにはなりません、我が女王!」
忠実な子犬のようにマルコの頭を撫でると、シアディンは俺のほうに向き直った。目を細めて、彼女は冷たく言った。
「よそ者に忠誠は期待できないわよね、死すべき者?」
「見せかけの忠誠心と女王様のエゴをヨイショする話なら遠慮するぜ。それ以外なら、自分を信じるように俺を信じてくれて構わない」
俺の話を聞き終えた女王は鼻を鳴らして、弱々しく微笑んだ。気のせいかもしれないが、この笑みはこの茶番が始まって以来、初めて見せた本心からの感情に見える。一方マルコは立ち上がり、唖然とした顔で俺を見つめていた。明らかに何かに驚いている様子だ。理由なんていくらでも考えられるから、憶測するのはやめておいた。
「ニコ、だったわね? 面白い、実に面白いわ。ロートクが防衛線を守っているという噂は耳にしていたけれど、またどうせ作り話だろうと思っていたの。まさかね、ふふ」
「死すべき者が? 生きてる? そんなことがあり得るのか!?」ついにマルコが質問を口にした。シアディンは楽しそうな輝きを瞳に宿して、見下すように彼を一瞥したが、何も言わなかった。
「そういうわけだ。こんな俺で悪いな」俺は肩をすくめて答えた。「もう皆知ってることだし、強化させてもらおうか」
興味津々の様子の青年は、死すべき者についての話を山ほど聞いてきたんだろう、近づいてきた。俺は彼の手を取り、加入を提案した。
「市民ステータス:+1(162)」
完了した後、青年はすぐに体を動かし始めた。満足げな笑みを浮かべているところを見ると、効果を実感したようだ。俺は疑問の眼差しをシアディンに向けた。かすかに微笑んで、彼女は言った。
「私に触れてみなさい。ただし覚悟はしておくことね」
ふむ、妙な反応だな。そしてこれは、彼女がそういう潔癖な性格だからってわけじゃない気がする。
沈黙が続く間に、俺は周囲を見回してみた。俺たちが出てきた三つの扉以外に、もう一つ扉があった。石でできていて、一見すると目立たない。その上には本型の端末が浮かんでいた。どこのバカがあんな場所に設置したんだ? 何も見えないじゃないか。
メッセージが表示され、同時にあの端末にも映し出された。端末が突然大きくなったのだ。どうやら他の連中もこの端末でリストを見たらしい。
「ようこそ! 今回の試練のメインプライズ――神の石材:ウルカスト召喚!」
「試練第一ラウンド。抽選」
本のページにコインの絵が現れ、くるくると回転した後、「当たり」と書かれた面で止まった。
「戦場――アルヴァー派閥領域」
続いて六面体が回転し始め、やがて「一対一」と書かれた面で止まった。
新しいメッセージが届いた。
「対戦相手のチームを引け」
本のページの一枚が、切り取り式の電話番号付き掲示板みたいなものに変わった。俺たちを見て、シアディンは得意げな顔で近づいてきて、真ん中の部分を指でつついた。
「対戦相手決定――テクガン。開始まで4:59」
「で、何か作戦はあるのか? 俺、こういう催し物には初参加なんだが」
マルコも俺に賛同するように頷いて、二人で女王様を見つめた。
彼女はため息をついて、髪を指に巻きつけながら説明し始めた。
「ただの一対一よ、難しいことは何もない。ランクは対応してるし、戦場はこっちのフィールド。マルコ、あんたは絶対負けないでよ、もう言ったわよね。それとニコ……あんたは下手に能力を見せない方がいいわ。他の連中も試合を見られるんだから」
俺とクロスボウ使いは頷いた。どうやら単純な話らしい。
実際、これ以上話すことは特になかった。シアディンは俺に何も聞いてこなかったし、俺もマルコの前で質問するのはやめておいた。どれだけ口が軽いか分かったもんじゃない。
「30秒前準備」
「20」
「ランク3、出撃」
石の板が横にスライドし、松明で照らされたかなり長い廊下が姿を現した。
マルコは画面を凝視していた。やがて文字が浮かび上がる。
「第一戦。1対1、戦場――ダンジョン。ランク3」
アルヴァー-テクガン
マルコ、鷲の眼――ドルフ、殲滅者」
クロスボウ使いは廊下を駆け出した。書物型端末が姿を変え、今や両ページに映像が映し出され、書物自体も大きくなったので、鮮明な画像を楽しむことができた。
マルコは洞窟の中にいた。光るキノコだけが周囲の暗闇をわずかに照らしているだけで、射手にとって本当に適した戦場なのか、俺にはあまり確信が持てなかった。だが彼は慌てず、バッグから薬を取り出して素早く飲み干した。男の目が瞬き、その後通常の状態に戻った。
慎重に歩を進め、耳を澄ませながら、マルコはトンネルへと向かった。事前にクロスボウに矢を装填し、矢の先端に黄色っぽい物質――おそらく毒――を塗っていた。俺の見間違いでなければ、弾はクリスタライト製だったから、ランク3にしては本当によく装備していた。
トンネルを抜けて、マルコは広い大空洞に出た。鍾乳石、石筍、そしてどこからか転がり落ちてきた巨大な岩石の数々が、視界と射線を遮る障害物を無数に作り出していた。
マルコは急いで最も近い岩の陰に隠れ、耳を澄ました。魔法の書は音まで伝えてくれるので、俺たちは仲間のすぐそばにいるも同然だった――ただ、助けることはできなかったが。
「こっちこっち、弱虫ちゃん。こっちに来いよ、お前のチョコレート、じゃなくて鷹の目ん玉を抉り出してやるからさ、ははははは!」――場違いな哄笑が響き渡り、何度も反響した。
マルコの表情は微塵も変わらず、ただ慎重に遮蔽物から顔を覗かせた。
カメラが切り替わり、俺たちは筋肉質な兵隊野郎の姿を目にした。軍用タンクトップに迷彩ズボン。むき出しの肌には偽装用の泥が塗りたくられていたが、奴の振る舞いを見る限り、そんなもんクソの役にも立ってなかった。ミニガンの銃身を左右に振り回しながら、テクガンの野郎はニヤニヤと間抜けな笑みを浮かべていた。
このアングルから俺たちには奴がよく見えたが、マルコからはまだ見えていないはずだ。慎重に隣の岩へと駆け抜けると、彼は再び辺りを見回した。ドルフの姿を確認できないまま、ボウガン使いは袋から何かを取り出し、横へ放り投げた。足音が響いた。
「おっと来たか!」ドルフが叫び、ミニガンの銃身を回転させ、音のした方向へ弾丸の雨を浴びせた。
マルコは轟音を足音の隠れ蓑にして前へ駆け、ついに敵と同じライン上に躍り出た。素早い動作でボウガンを構え、マルコはボルトを放った。
何かを察知したかのように、ドルフは振り向き、アルヴァーが身を隠した岩へ弾丸を浴びせ始めた。肩に突き刺さったボルトなど意に介さない様子だった。数秒後、テクガンの兵士はよろめき、天井に向かって撃ち続けたまま床に倒れ込んだ。全てが静まり返った。
「第一戦、結果(ランク3):
アルヴァー:3ポイント――ノーダメージ勝利、3ポイント――効率性、1ポイント――観客性
テクガン:0ポイント――敗北、0ポイント――効率性、2ポイント――観客性」
「フローレス・ビクトリーだな」と俺は呟いた。
「え?」と女王が不思議そうに俺を見たが、俺は手を振って誤魔化した。
どうやら連中には勝利だけじゃなく、ショーも必要らしい。
閃光が瞬いた後、ドルフが立ち上がって戻っていった。マルコも急いで俺たちの方へやって来た。
「よくやった」と俺は喜んでいる弩兵の手を握って言った。女王も軽く微笑んだが、マルコはそんな「賛辞」で顔を輝かせた。
新着メッセージ:
「30秒前準備」
「20」
「ランク4、出撃」
「第一戦。1対1、戦場――ダンジョン。ランク4」
アルヴァー-テクガン
ニコ、死すべき者――マディ、アーセナル」
「幸運を」俺が廊下を走り出すと、ボウガン使いが囁いた。
「彼に幸運なんて要らないわ、彼は……」女王がフッと笑って言ったが、続きは聞こえなかった。
似たような洞窟だ。いや、もしかしたら同じ場所かもしれない。ナイトを起動し、俺は初めて暗視装置を使ってみることにした。ゆっくりと広い空間に這い出て、マルコと同じルートを辿る。マディ――確か女だったよな? いずれにせよ、彼女は仲間みたいにバカみたいな叫び声を上げる気はないらしい。
カランと小さく音を立てて、何かが俺の足元に転がってきた。手榴弾じゃねえか、このアマ!
無料の加速と土のルーンを発動させて、素早く別の遮蔽物に飛び移った瞬間、頭に軽い衝撃を感じた。岩にスナイパーライフルの潰れた弾が食い込んでいた。
やるじゃねえか。いきなり始めから本気で殺しにきたのかよ?
装甲が耐えたから、もっと近づくことにした。もう一発。今度は念のため構えた盾に命中した。あいつがそこまで下手だとは思わない。ただ俺を試してるだけだ。
次の岩まで走り込むと、機関銃の轟音が響いた。弾丸が石で覆われていない金属製の盾に食い込み、深い凹みを残していく。隙間から覗き込んで火花が散っている場所を確認すると、空いている手でこちらの機関銃を構え、短い連射を放った。
敵の射撃が止んだので、さらに近づいた。
鈍い発射音。単発式のグレネードランチャーだ。砕け散った岩と一緒に俺は吹き飛ばされた。石の装甲が破壊されたため、二丁のアサルトライフルから浴びせられる銃弾が装甲を派手に打ち鳴らす。
まあいい。どうせ俺がテクガンに部分的に属してることはバレちまったんだ、もう一芸披露するしかねえな。上級加速を発動させて先読み射撃を出し抜き、さらに力を発動させて高く跳躍した。明るい髪をポニーテールにまとめた娘が、迷彩パンツとボディアーマーを着込み、さらに大量の火器を身に着けて、夢中でライフルを俺に撃ち込んでくる。
生意気な顔が驚きに変わったのは、俺が彼女に向けて銃弾を叩き込んだときだった。加速状態では弾丸は比較的ゆっくり飛ぶが、もう分かる。彼女は何もできない。
マディは頭を撃ち抜かれて床に崩れ落ちた。
「第一戦、結果(ランク4):
アルヴァー:2ポイント――勝利、1ポイント――効率性、3ポイント――観客性
テクガン:0ポイント――敗北、2ポイント――効率性、2ポイント――観客性」
どうやら、俺のエピックなフィニッシュがみんなのお気に召したらしい。俺が弾除けスポンジになってたことなんてすっかり忘れられてる。
戻ると、マルコから友好的な肩ポンをもらった。一方、女王は顔をしかめてこう言った。
「小細工を使わずに勝つことはできなかったのですか?」
「勝者は裁かれない。行け、美人。実力を見せてやれ」
誇らしげに頭を上げて、シアディンはドアへと向かった。
「第一戦。1対1、戦場――ダンジョン。ランク5」
アルヴァー-テクガン
シアディン、エメラルドの女王――イザベラ、紅の男爵夫人」
堂々と細い脚を運びながら、女王は廊下を進んでいった。歩きながら、金の装飾を施されたかなり大きなエメラルドを取り出す。
隠れることなく、シアディンは洞窟を通り抜けてホールへ出た。向かい側には、長い赤髪の女が立っていた。体にぴったりと沿ったドレスに、ゆったりとした袖と、豊かな脚を黒いストッキング越しに覗かせる自由な裾。どこか映画に出てくるジプシーの踊り子みたいだ――駅前で占いをやってる連中じゃなくて、映画の中のやつだ。
イザベラは女王にリボルバーを向けて発砲したが、シアディンの前には即座に緑のクリスタルでできた壁が生え、弾丸を止めた。ニヤリと笑って、イザベラは後ろに跳び下がり、指輪を回した。
モトクロスバイクのエンジン音が響いた。次々と闇から飛び出してくるライダーたちが、チェーンソーの鎖を頭上で振り回している。シアディンはエメラルドを自分の周囲で一閃させ、この巨大な洞窟の床全体を鋭利なクリスタルのフィールドに変えた。
タイヤが次々とパンクし、運の悪い襲撃者の一人が岩から転げ落ちて即死した。残りの連中は二輪の愛馬を捨て、慎重にクリスタルのフィールドを歩き始めた。
誰かが踏んではいけない場所を踏んだらしく、靴底の下の小さなクリスタルが鐘のような音を立て、急激にサイズを伸ばしてライダーを貫いた。連鎖反応が始まり、クリスタルが次々と音を立てて鋭い先端を上へと撃ち出していく。全てがせいぜい数秒続いただけだったが、もう男爵夫人の援軍は全員、虹色に輝く美しさに串刺しになってぶら下がり、血を流していた。口笛が鳴り、洞窟の天井から女王めがけてロケット弾が降り注いだ。
シアディンはエメラルドを自分の周りで振り、半球状のクリスタルカプセルに包まれた。
ロケット弾が次々と爆発し、防御に命中して無数の岩とクリスタルの破片を空中に巻き上げたが、どれ一つとしてブロックを貫くことはできなかった。
空気が静まり返った。女王は防御を解き、床に残った無傷のクリスタルの欠片に近づくと、目を細めて爪先で軽く叩いた。響きに耳を澄ませたシアディンは獰猛に微笑み、エメラルドを振った。遠くから悲鳴が聞こえ、やがて誰の目にも明らかになった――巨大な鋭いクリスタルが、貫かれた男爵夫人の身体を戦場の上に掲げていた。
女王は一礼して、元の場所へと戻っていった。
「第一戦、結果(ランク5):
アルヴァー:3ポイント――ノーダメージ勝利、3ポイント――効率性、3ポイント――観客性
テクガン:0ポイント――敗北、0ポイント――効率性、2ポイント――観客性」
「総合結果:
アルヴァー:24 テクガン:8
フレムテック:12 アンジュヘル:24
シャドマー:11 キルハイヴ:26
エクスマッハ:12 デウスレギオ:21」
「アルヴァー:各参加者はレアリティ9―10のランダムな神の石材を獲得する」
「アルヴァー:各参加者はマニュスクリプトのページを1枚獲得する」
◇◇◇
現在の残存寿命――16+(162)。能力発動用ボーナス年数:64(61)(係数0.4)(捕虜――8)




