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第七十一章 新たな情報

キルハイヴの拠点へ移動すると、俺はまず耳を澄ませた。静かだ。外へ出てみると、新しい建物が既に建設されているのが見えた。統計を確認すると、労働ハイヴが三つ、木材変換炉が二つ、バイオマス変換炉、胞子農場だとわかった。進捗状況から察するに、注文されたのは最近だが、時間経過は全部合わせても一時間程度のようだ。


背後で物音がしたので、俺は素早く振り返った。枝を折り、ドスドスと大きな音を立てながら、森から巨大な突然変異した狼が飛び出してきて、歯に緑色の物質に覆われた鹿を咥えて運んできた。俺のことなど眼中にない様子で、その生き物はハイヴまで駆け寄ると、横に開いた「扉口」――というより膜に近いものだったが――に獲物を放り込んだ。


不快なグチュグチュという音が聞こえ、その後、狼は再び森へ急いで戻っていった。あんな騒音を立てながら、どうやって狩りをするんだ? まあ、あいつの能力からすれば、そんなこと関係ないのかもしれないが。


パンッという音とともに、幼虫培養器から更に数匹の幼虫が飛び出し、これまた森へと突進していった。


あちこちにまだ戦闘の痕跡が残っている。死体が山ほどあるのに、何故か獣たちはそれをバイオマスの供給源――俺の理解が正しければ――として認識していないようだ。それに、ここの鎧を回収して再利用できたらいいんだが、相当な量があるんだからな。


とにかく、どうやら娘は頑張っているらしい。とはいえ、一人でこんな広い拠点にいて、退屈しないといいんだが。もう少し見て回った後、俺は慎重に戻り始めた。粘液で滑って転ばないように気をつけながら。


居住区に入って、俺は鼻をひくつかせた。変な匂いだが、心地いい。なんだか体が火照ってきて、股間がギンギンに反応してるのを見て、マハがまたやらかしたんだと理解した。てっきり諦めたと思ってたのに。特にこの前の会話の後、あれは普通に終わったはずなのに。


急いで下に向かい、テレポートまであと少しというところで、背後から突然強く抱きつかれて身動きが取れなくなった。


「やっほー、パパ」甘ったるい声が耳元で囁き、首筋に温かい息がかかってくすぐったい。


「え、ああ、マハ。ごめん、もう行かなきゃ。元気そうで良かった」俺はどもりながら、がっちりした抱擁から逃げ出そうとした。だが、何と言うか、普段の状態じゃ俺は繋がりを起動してる奴より肉体的に弱いんだよな。


クスクス笑いながら、娘は俺を上へ引きずっていった。服の上からは分からなかったが、こうして密着されると、確かに成熟した女だと感じる。早く犠牲者……じゃなくて、婿でも見つけてやらないと、今後もこういうことになりそうだ。


ソファのようなものに俺を放り投げると、マハは上から飛び乗り、身動き一つできないように押さえつけた。身を乗り出して、娘は俺の首筋を舌でなぞり、いたずらっぽい目で見つめてきた。


「もう、そんなに硬くならないでよ。あんたの相棒は、親子だろうが関係ないって言ってるじゃん」娘は羽根をひらひらさせながら宣言した。


「でも俺には関係あるんだよ!」


眉をひそめ、少女が俺の唇を指でなぞった。


「そんなの聞きたくない。ただ横になって楽しめばいいんだ」


そう言うと、彼女は頭を後ろに傾け、ケルの時に聞いたあの音が聞こえてきた。服が消えるときの音だ……


どこからともなく紫色の炎の閃光が飛んできて、マハの背中に直撃した。叫び声を上げて、彼女は俺の上を飛び越え、ソファから数メートル離れた床に叩きつけられた。


満足そうな顔でラズは爪先から小さな炎を吹き消し、楽しそうに言った。


「妹ちゃん、まだ懲りてないみたいね」


俺はソファから飛び上がり、離れた場所に移動した。マハはゆっくりと立ち上がり、焦げた髪を修復しながら、憎々しげに呟いた。


「あんたに聞いてないわよ、ウロコ女」


「あらあら、どこでそんな悪口覚えたの? さっさと孵化場でも作って自分のおもちゃでも探してなさいよ。パパに手を出すんじゃないわ」


唇を噛み締めたマハが翼を羽ばたかせると、欲望が消えていくのを感じた。気まずい沈黙が流れたので、俺とラズは念のため謝ってから、その場を離れた。


「ああ、もう、父さん、何考えてたの?」死すべき者の館に戻ると、ラズが額に手を当てて小さく言った。「インセクトイドってそういうものなのよ。相手が誰であろうと関係ないの」


「それでも期待はしてたんだよ。まあいい、今さら言っても仕方ないか。ところでラズ、お前まだ変異を受けてないんだったよな? あの戦いであれだけ活躍したんだ。お前がいなかったら、もっと酷いことになってたと思うぞ」


「もう、父さんったら!」ラズは尻尾を左右に揺らしながら微笑んだ。「変異――いいえ、受けてないわ」


「じゃあ、試してみようか」


変換装置の前まで来ると、ラズは自分でキルハイヴのリストを選んだ。俺は一体何しに来たんだ?


「マスキュロポテンサー」


「ムタゲン10」


変換が進む間、ここも随分広くなったなと思った。訓練所も多いし、スペースもたっぷりある。クリオシタはいったいどこに隠れたんだ? まあ、とりあえずラズと片付けよう。


変換が終わるのを待ってから、俺はどんな変異があったか思い出しながら確認することにした。


「なあ、ラズ。アクセラレーターって何があったっけ? インセクトイドとドラコニド?」


ニッチから出てきたラズは体をほぐしながら説明し始めた。


「まあ、高いから最初には選ばなかったのよ。それにランクも足りないし。でもね、これ重要なやつで、自分の種族の潜在能力をより引き出してくれるの。ただ、ケルはドラコニドにあまり詳しくないから、私やあなたにどんな効果があるかは言えないわ。でも、彼女にも入れる価値はあると思うわよ」


「お、ありがとな。よくそんなこと知ってるよな……」


ラズは微笑んで言った。


「女の子には秘密が必要なのよ」


こいつ、誰からそんな言い回しを仕入れてきたんだ? キルハイヴの娘たちがそんな台詞を使うとは思えないんだが。


「それは秘密ってことで。ところでさ、パパは自分がまだランク0なのに、ランク3の突然変異を叩き込んだのは平気なわけ? アクセラレーターの制限を一気に外したんだから」


「いや、そっちは結局どうやってもプラス効果はないけど、マスキュロポテンサーの筋肉増強は今のランクでも効果があるんだよ。心配しないで、パパ」ラズはそう言ってウインクした。


「しばらく訓練に出した方がいいかもな」


頷いた娘は寝台に向かい、俺はランク1への昇格を起動した。


ここにいる間に、新しいモデルを試してみるか。


「装甲豹騎兵」


「金貨100枚」


よし、指輪の代わりに全モデルで豹を操る能力か。残念だな、わざわざ動物を別に連れ回すのはどうも気が進まない。まあ、蘇生を試したことはないけど、アンデッドの枠を獣で埋めるのか? うーん、後で試してみるか。


蜘蛛は当分節約しておこう。


他には誰がいる? フレムテックのドローン操縦士は今のところパスだ、テクガンの連中も全員パスだ。アルヴァーを見ていこう。


錬金術師――今の状態では多分取らないな。エンジニアも同じだ。でも治癒はやっぱり役に立つかもしれない、前回の戦闘を見る限り致命傷を負ってない奴もいたからな。


見習い治療師と癒し手。金貨175枚。これも全モデルに追加しておいた。


階下に駆け下りて、俺はフレムテックの基地に転移した。


ドローンが働いている、せっせと動き回っている。日々のリソースのおかげで、今ならポリマー変換炉を発注して両方のリソースをちゃんと採掘できるようになる。今ある雀の涙程度の量じゃ、これ以上手に入るものはないからな。


戻ってから、クリオシタを探し始めて、彼女と女王を執務室で見つけた。まあ、あそこには本当に誰も顔を出さないし(俺も基本的にはそうだ)、選択としてはなかなか悪くない。


俺の姿を見ると、エルフの娘は拳を突き上げて勝ち誇ったように叫んだ。


「やったー! ニコが来た! ヘイヘイヘイ!」


「ああ、そんなに喜んでくれるのは嬉しいけどさ……」


「イエーイ! ニコ、ニコ!」


俺は縋るような視線を女王に向けた。女王は頷いて、霧の塊を放つと脇へ退いた。


一つの身体に統合されると、クリオシタは落ち着きを取り戻した。そしてだいぶ冷静になった様子で俺に言った。


「ごめん、ガウディがただ退屈してただけなの。そんなこと全然ない、イーハー! とにかく、色々分かったわ」


クリオシタの話によると、各女王は首都にあるロートクの一部を所有しているだけでなく、派閥領内にある都市の一つを管理しているらしい。そもそも都市自体が少ないんだが。実際、女王たちの気まぐれがなければ、一部の物好きが作った小さな村以外、他の居住地なんてほとんど存在しなかっただろう。単純に維持する者がいなかったからだ。ロートクと普通の居住地では発展速度が比べ物にならないほど違う。


これらの都市はそれぞれ要塞の庇護下にある。確かにロランの要塞は最弱だし、駐留軍も貧弱だが、それでも町を盗賊団の襲撃から守るには十分だ。あの辺りの盗賊はかなり凶暴で、時折キャラバンを襲撃している。で、ロラン――ゴーストヴィルって都市なんだが――俺の基地から一番近い王国領だったんだ。クリオシタの説明によれば、軍は門で要塞に転移して、そこから廃村まで進軍し、そこからもう俺の基地まですぐだったらしい。ゲフール村以外にポータルゾーン付近をうろついてる奴はいないだろうな。


これらの都市への支援は女王たちの個人的な気まぐれだ。ってことは、王様はその一つの支配者が変わっても、そこまで怒らないんじゃないか? 肝心なのは、他の王族連中に気づかれる前にやっちまうことだ。


俺の方は、荒野での冒険をエルフに少し話してやった。彼女の反応を見るに、すごく喜んでくれたみたいだ。だから、また何か話してやれば、もっと協力してくれそうだな。


女王を下がらせて、軽傷から回復した魔術師を呼び出した。


俺の理解では、あの二人組の斥候は魔法装置で即座に情報を送信していたらしい。ってことは、「全員無事」ってメッセージを送ってみる価値はあるな。アンジュヘルは記憶掘りの達人だし。それから狼女の娘を返してもいいだろう。アキルズが半日で彼女を懐柔できるとは思えないしな。


必要なことを説明し終えると、ガウディがまたあの超ご機嫌な狂気モードでボケをかます前に、脳内にクリオシタを抱えた魔法使いを急いで連れ出した。


居住棟に着くと、ここにも「冷蔵庫」と水が備え付けられているはずだから、食料の心配は要らないだろうと踏んだ。倉庫代わりになっている部屋の一つで通信機材一式を見つけ、「イシラ」がメッセージを送り終えるのを待った。


「うまくいったか?」


「ええ、ニコ。受信側は新人みたいだから、何も怪しまれなかったわ。ザラにメッセージは届くはずよ」


クリオシタが策略を巡らせる必要もないだろうし、信じておこう。お礼に荒野での冒険の続きを話してやってから、彼女を送り届け、白髪の方からは聞き出し終わったらしいので、暇つぶしにエイラド皇子を預けておいた。


別れを告げてから、考えた。どうやって街まで素早く行けばいい? バギーならかなり速いはずだが、女王が一人でのこのこやって来るわけにもいかないだろう?


頭の中で選択肢を巡らせていると、まだ試していないフレムテック製の代物を思い出した。


ロートクの外に出て、フィールドテレポーターを設置した。フレムテック派閥が戦闘にテクノ歩兵を呼び出すときに使っていたのと同じ装置だ。ということは、射程距離もかなりあるはずだよな? テスラ歩兵に切り替えて、転送装置と連動するウィジェットの一つを同期させた。時間制限は5分――だが距離制限はないようだ。


ジェットパックを起動して、受信モジュールを手に取り、ゲフール村へ向かって飛んだ。目的地に近づくと、同期ズレのパーセンテージが表示され始めた。妙だな。まさかフレムテックが実はテクガンの隣接地域だから、こんな問題が起きなかったのか? それとも単にそこまで重要じゃないってことか?


試しにやってみることにして、シンクロゲージが赤く点滅するまで飛び続けた。着陸してモジュールを設置し、極性を変更した。まあ、馬鹿は自分の失敗から学ぶものだろう?


中に踏み込むと、プラットフォームが眩しく光り輝いて……俺はバラバラに引き裂かれた。


実に間抜けな一年のロスだったが、捕虜には間に合わなかっただろう。だが、これでフレムテックの連中が終わってることははっきりした。崖を考慮すると、彼らの領域まで基地から村までの距離より近いことはないだろう。もしかしたら、もっと多くの兵を送っていたが、戦場に辿り着く前に死んでしまっただけかもしれない。


基地に戻って、精鋭兵を十人ほど集めた。リクルーターは戦争のせいで首都に行っていなかったので、そいつも引っ張り出した。


全員が集まる間に確認したが、魔術師の塔にはクリスタリットが足りず、新しい製錬所も同様だった。グバー・ドリルを設置し、加工石材300、木材と鋼鉄を各200、クリスタライトを100消費して、兵たちの準備が整ったのが見えた。


俺はやはりクリオシタのところへ走っていくことにした。


皇子を呼び戻し、彼女が自分の体に戻るのを待った。


「はい、ニコ、何? 早く教えてよ! きっと何かすごいことでしょ!」


「お前、女王の役を演じられると思うか?」


少女は顎に指を当てて考え込んだ。


「うーん、わかんないな。誰かの真似なんてしたことないし……わあ、すごいアイデア!」


ため息をついて、俺は向き直り、がっかりした様子で言った。


「俺としちゃ、かなり面白い経験になると思うんだがな。恐れられたり、憧れられたり、あるいは単純に尊敬されたり、しかも別の派閥でだぜ。だが、やる気がないなら……」


「やりたい!」


興味深い叫び声だった。まさか二人同時に言ったのか?


微笑みながら、俺はロランを呼び出した。そして、エルフの娘が期待に羽根を羽ばたかせて、その場で小さく跳ねている様子を見て、クスッと笑うのをやっとこらえた。


兵士たちは扉から出てくる女王を見て身を強張らせたが、表には出さなかった。フェブリモールはいないし、残りの連中は他人の問題にそこまで首を突っ込もうとしない。


テレポートを設置して、俺は再びジェットパックで村の方へと飛んだ。同期が最初の警告を出すまで待ってから、少し戻ってモジュールを設置した。


極性を切り替えて戻り、全員が転移するのを見届けた。ちょっとした実験対象はアンデッドだったが、これだけ離れていても、アンデッドがテレポートして俺がその場に残った後も、何も起きなかった。つまり、繋がりはかなり遠くまで保たれるってことだ。


最後のテレポートでも同じ手を使い、俺たちは全員揃って森の端に並んだ。目の前には広大な平原が広がり、遠くに街が見えている。姿を騎士に変えて銃火器を全部しまい込み、ヘルメットから暗視装置を外した。これでまあまあアルヴァーっぽく見える。


隊列を組んで、俺たちはゴーストヴィルへと向かった。


◇◇◇


現在の残存寿命――16+(129)。能力発動用ボーナス年数:51(25)(係数0.4)(捕虜――13)

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