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第七十章 平常に戻る

死すべき者の館に戻ると、客間が明らかに広くなっていた。今ではソファやアームチェアがいくつか、テーブルも二つほど置かれている。


セフィーナが駆け寄ってきて、急いで話し始めた。


「ああ、すごいのよ!ほら、早く早く、行きましょう!」


俺の手を掴んだセフィーナは、キッチンまで連れて行った。壁に新しくドアができていて、開けてみると、壁に青いクリスタルが埋め込まれ、棚がいくつも並んでいるのが見えた。


「冷蔵庫」の隣には端末があった。リストを眺めてみると、膨大な食料品が並んでいて、明らかに以前のメニューにはなかったものも多い。それぞれに一日の上限が書いてある。適当に選んでタップすると、白い光が走り、ドアを開けると豚肉の乗ったプレートが出てきた。豚はいなかったから、新メニューだな!


それ以外にも、大きな金属製の容器の隣にもう一つ端末があるのが見えた。ああ、こっちは水か。


考えてみると、食料資源は集落の初期生存に必要なもので、ロートクのレベル2では、どこからともなく湧いてくるってことなんだろう。住宅も同じ状況なら、新しい採取施設の建設に頭を悩ませる必要はなく、余剰分は売りに出せばいい。そういえば販売について、確認しに行かないとな。


しかし今のところ、俺はセフィーナに新機能について少し話してからリビングに出ると、ソファに座っているエンディスの姿が目に入った。あれだけのことがあったのに、みんな何事もなかったかのように振る舞おうとしていて、まるでいつも通りの一日が始まったかのようだった。


彼女はお腹を撫でて微笑み、何も言わなかった。俺も黙ったまま、ただ彼女に近づいて抱きしめた。優しく頬にキスをしてから、近づいてきたジェシーとケルに挨拶し、朝食前に何かやることでもやろうかと思っていたら、ケルに止められた。彼女は眉をひそめてこう言った。


「ニコ、私、何か変だったの」


「ん?何が?」


誰も尻尾に当たらない一人用の椅子にどかっと座り込んで、ケルは続けた。


「あのね、バリスタに完全にやられたの。でも卑怯にも隠れて撃ってきたあの臆病者を酸で殺すことができて、そしたら急に平気になったのよ」


確かに妙な話だ。それに俺は新しいことなんて何もしていない、ただ……そうだ、強化だ!もしかしてこれが「ラストチャンス」なのか?ただ、死にかけたときに発動するなら、試す相手がいないんだよな。捕虜相手にでもやらない限り……なんだか俺、マッドサイエンティストみたいな思考になってきてるな。


「なるほど、新しい能力だと思う。全員に関係がある。もし致命傷を負ったら、誰か一人でも道連れにするように心がけてくれ。他のみんなにも会ったときに伝えといて」


まあ、最後のは余計だったな。フェブリモールに話しておけば十分だ。


別れを告げて外に出ると、一睡もしていない兵士たちが戦死者の装備を溶鉱炉へと運び込んでいた。そこではデフールとゲフールが再溶解の指揮を執っている。この喧騒の中からフェブリモールを見つけ出し、俺は手短に強化について説明した。すると彼は笑みを浮かべ、俺を野営地へと連れて行った。野営地も明らかに広くなっていた。まあ、訓練場所と寝床については心配していなかったが、今や訓練用端末が六台もあるのには本当に喜んだ。


色々と操作してみると、ランク4まで教育するには丸一日かかることが分かった。よし、それならフェブリモール、イヴェット、リアレフをランク4まで、残りはアンネリに任せよう。


あまり満足そうでないエルフは、さっさとデリオに権限を譲渡した。もちろん第二の村からも明確な指揮官がいたのだが、二番手という役回りのせいで、フェブリモールは彼女にそんな仕事を任せなかった。


中央施設へ向かうと、そこの部屋もかなり拡張されていた。会議室は今や優に百人以上を収容できそうだし、休憩スペースに山積みだったネメシスの部品も、もうそれほど目立たなくなっていた。それとも娘がもう片付けたのか? ところでアイリーンは相変わらず基板と格闘していたが、今度は彼女の傍らに、うーん、筐体か? それに似た何かが現れていた。金属フレームの中にはすでにメックの部品がかなり収まっている。どうやら、あのヒゲ面で飲んだくれの誰かさんが断りきれずにアイリーンの注文を引き受けたらしい。


他には誰もいなかったので、俺は音もなく近づいて少女の隣に腰を下ろした。


俺に構わず、アイリーンは手際よくいくつかの配線を半田付けし、それから注意深く全体を見渡して、ようやく一瞬だけ俺の方を振り向いた。その鮮やかな瞳が俺を見透かすように捉え、すぐにまた作業に釘付けになった。


「やあ、父さん」無関心な声だった。


「やあ、アイリーン」


少しの沈黙。マルチツールのシューという音が響く。半田付けから目を離さないまま、少女が尋ねた。


「何か用?」


「いや、別に……ただ……」


「気にしないで。私、別にどうでもいいから」


最初は拗ねているように聞こえたが、口調には何の感情も込められていなかった。この微妙な空気を消すため、アイリーンは続けた。


「キューとあなたが遺伝子をくれた。感謝してる。ここから先は自分でやる」


「でも、どうして? 家族と一緒にいたくないの? 僕とキューはいいとして、弟や妹たちはどうなるの?」


微笑んで、アイリーンは空いている手を振りながら答えた。


「退屈すぎるのよ。ケイトはまだいくつか理解してるけど、他の連中は、うーん、黙っておいた方がいいわね」


ずいぶん辛辣だな。まあ確かに事実ではあるが、全員が彼女を楽しませる義務があるとは思えないんだが。


「なあ、身内のことをそんな風に言うもんじゃないぞ。俺たちはみんな違うんだし、全員がロボットに詳しい必要はないだろ。それとも、お前は自分が何でも才能があるとでも思ってるのか?」


得意げな笑みから察するに、どうやらそのとおりらしい。また一人、手遅れな子供が育ってしまった。キューに期待しても無駄か、あいつも両親との関係がちょっとアレだし……


黙って立ち上がり、俺はファリンの執務室へ向かった。長老は満足げな様子で足を机に投げ出し、金貨を数えている。ただし、その金貨の量は明らかに金庫に残っていたはずの額より多い。いや、これは俺がこれまで見たことがあるどんな額よりも多いぞ!


俺に気づいたファリンは青ざめ、激しく体を揺らして椅子ごと床に転がり落ちた。


俺は黙って立ち尽くし、その姿勢全体で示していた――長老はやはり自分から話し始めた方がいい、なぜなら、もし俺が質問し始めたら、もっと悲惨なことになるからな、と。


「あの……ニコ、実はですね……その、取引が結構うまくいきまして、あ、言い忘れてました!」


「他に何か言い忘れてることはないのか?」


ファリンは慌てて両手をぶんぶん振り回して、ぶるぶると震え始めた。


「い、いえいえ、これだけです!ただ金庫に納めるのが間に合わなくて」


「詳しく話してもらおうか」


ごくりと唾を飲み込んだファリンは、椅子を元の位置に戻して腰を下ろすと、テーブルに視線を落としたまま固まった。


「その、うちの交易所が稼働してるじゃないですか。襲撃前から何人か商人が来てて、興味を持ってくれてたんです。フリルガルド、ゴストヴィル、それに王都からも。今のところ石炭を売って、新しい注文も受けました。それと工房の装備品にも王都が関心を示してまして」


「なるほどな。つまり取引が順調に進んでるってことか? その王都から絶え間なく攻撃を受けてる最中にもかかわらず?」


俺がまだ金貨の話題を持ち出さないのを見て、ファリンは前代未聞の熱意で語り始めた。


「そうそう、商人たちにとっちゃどうでもいいんだ。財布が膨らみさえすればね。政治なんてあいつらにゃ大して興味ない。それにカーリオンじゃ職人製の装備が不足してるんだ。ほとんど全部が原価に近い値段で王国軍に回されちまって、傭兵たちは何も手に入らない」


じゃあ、うちの連中にも何か渡しておくべきか? でもそれは取引が滞った時だけだな。金はいつだって必要だ。


「わかった、本当に全部渡し忘れたってことにしておこう。もうこんなことないよな?」


ファリンは必死に首を横に振った。


「それにしても、お前色々と地名を口にしてたが、俺はてっきりゲフールの村以外この辺りのことなんて何も知らないと思ってたぞ。さあ、説明してもらおうか」


申し訳なさそうに肩をすくめて、長老はかすかな声で言った。


「商人たちから聞いただけなんです。その街々がどんなところか、僕には全然わからなくて……」


「ああ、分かった。じゃあ今日のうちにもう二つ頼みがある。一つ目は、ブレンと薬草師を探してエンディスのお産を手伝ってもらうこと。二つ目は、フロルガとの結婚式を準備してくれ。みんなに少しでも気晴らしをさせてやりたい」


ファリンは喜んで何度もうなずき、すべて最高の形で進めると俺に約束した。


彼が本当にあの金を懐に入れるつもりだったとは思えない。それに、いざとなれば繋がりで縛られてるんだ。俺、疑い深くなりすぎたかな?


金貨を集めて金庫に運んだ。なんと千五百枚もある! 一体どんな仕事をしたらこんな大金になるんだ?


首を振りながら休憩室に戻ると、今度はアキルズが妹と一緒に現れていた。


ドワーフたちもいたので、工房での訓練に送り出した。こんなに稼げるなら、しっかり力を入れないとな。


繋がりを確認すると、ソフィアはランク3になっていた。やっぱり上げきったか!


兄妹にもう一度ついて来てもらい、広間の一つに移動した。俺はベンチの一つに腰を下ろし、二人に向かい合わせに座るよう促した。


「まず言っておきたいんだが、息子よ、よくやった。もちろん、あのクソ野郎に負けたのは事実だが、あいつはお前より三ランクも上だったんだ。経験値も違えば、あのチート級の兵科モデルもある」


「チート級、ですか父さん?」


あっ、しまった。


「強力な、だ。すまん。いずれにせよ、素晴らしかったぞ」


少年は真面目で大人びた表情を作ろうとしていたが、喜びがその仮面から漏れ出していた。そして妹のソフィアが突然くすぐり始めた時、ついに堪えきれなくなった。


「うわっ、やめて!ソフィア、何するんだよ!」アキルズは妹を振り払おうとしたが、彼女は容赦なかった。弟が褒められて嬉しくて仕方ないらしい。けれど彼女自身は、そういうのを必要としていないみたいだった。もしかして、戦うこと自体が好きじゃないのかもしれない。残念だが、ここでは誰もそういうことから逃れられないんだよな。


「なあ、娘よ、どうやって学業を終わらせたんだ?確か途中で中断されたはずだろう?」


落ち着いたソフィアは姿勢を正し、髪を整えてから話し始めた。


「まあ、そうだな。確か、あと二時間くらい残ってたはずなんだ。でもその後、警告が来て、なんていうか……一瞬で全部頭に叩き込まれた感じ」


謎に次ぐ謎だ。これは彼女だけの反応なのか、それとも訓練プログラムの特性で、敵が近くにいると学習速度が上がるのか? とはいえ、理屈で考えればクリオシタは敵として認識されるはずがない。肉体が反応したとかじゃない限り。


「ああ、なるほどな。まあ、それなら好都合だ。ところで、お前の型ってどうなってんだ? ランク2で指輪を受け取ってないのか?」


ああ、重要なメッセージを確認すべきだったんだが、寝ぼけてて全部スルーしちまった。


「魔術師、みたい。しかも二回……」少女は落ち込んだ様子で答えた。自分の複雑な成長で周りに迷惑をかけたくないらしい。


「おお、ってことは強くなるってことだろ、なあアキルズ?」俺は励ますように言って、息子にウインクした。


あいつはすぐに察して、妹をフォローした。


「じゃあ、お前に魔術師を取得させて、ランク4に送り込もう。うまくいけば、今日中に魔術師の塔2が完成するかもな」


「いや、俺のせいでそんなに急がなくても……」とソフィアが言いかけたが、俺とアキルズですぐに止めた。最終的に彼女は諦めて微笑んだ。


「最後にもう一つ。アキルズ、お前に重要な任務がある。捕虜の狼娘の信頼を得るんだ。乱暴は厳禁、礼儀正しく品よくな。皇女なんだから、それに相応しく扱う。必要なら俺が足の治療を手伝ってやる、お前はうまく取り繕ってくれ」


突然の任務に少し驚いた様子で、アキルズは頷いた。ソフィアは何かに気づいたらしく、こっそりとクスクス笑った。


クリオシタの簡単な報告から理解した限りでは、最もイカれた女王が自分の子供たちと共にくたばったらしい。もう一人は控えだったが、その、えーと、親戚?を悼むかどうかはまだ分からん。それに娘は無事だし、もし俺の息子に恋でもしてくれれば……将来的に無駄な血を流さずに済むかもしれない。王か誰かが慌てて再攻撃してこなければいいんだが。一日ぐらいは持つだろう、そうしたら狼娘を護衛付きで送り返す。もちろん王が全部許してくれるとは思わんが、今は時間稼ぎが最優先だ。


任務を片付けた後、俺はソフィアと一緒に屋敷に戻り、金貨100枚で彼女を魔法使いの弟子へと昇格させてから、ランク4に進めた。


一方、エンディスはもう準備ができていたようで、俺が降りていくとすぐに追い出された。エルフの娘を少し落ち着かせることしかできなかったが、彼女自身かなり自信ありげに見えた。


俺を再び呼び戻すと、ファリンが宣言した。


「女の子が二人だ、よくやった!」


おう、もうダメかと思ったぜ、これからは一人ずつかって。でも、息子たちはどこだ? 『ロシアにおけるイタリア人の冒険』って映画を思い出すな……。


二人の女の子はどちらも長い耳と緑の瞳、そして明るい髪をしていた。でも、完全に似ているわけじゃないから、双子ってわけじゃないんだな。


エンディスは信じられないくらい喜んで、子供たちを大切に抱きしめていた。やっと、ちゃんとした母親が一人できたってわけだ。


母親と子供たちにキスをして、俺は彼女がとっくに名前を考えていたことに全く驚かなかった。まあ、俺も別に反対じゃなかったしな。


「市民ステータス:+2(129)」


「ステータス更新中......完了」


「新たな子供が登録されました:ウェンディ・ヴィノグラードヴァ、派閥テクガン/アルヴァー。


新たな子供が登録されました:ロレイン・ヴィノグラードヴァ、派閥テクガン/アルヴァー」


俺が感謝の言葉を述べてファリンたちのもとを離れると、薬草師が声をかけてきて、三つの袋を持って近づいてきた。


「死すべき者様、こちらもどうぞ!今のところ苔は順調に根付いていますが、もうすぐさらに成長を早められると思います」


「素晴らしいじゃないか、よくやった!もっと苔の栽培を拡大する方法はないか?」


薬草師はためらいながら、自信なさげに言った。


「成体のサンプルをもっと持ってきていただければ可能ですが、今のところはこれが限界です」


もう一度礼を言って、俺は袋をしまった。つまり、荒野に行ったら洞窟を探して、苔をたくさん採取する必要があるってことだ。まあ、あそこで悠長にそんなことやらせてくれるとは思えないけどな、はは。


資源が貯まるまで、他の拠点にも顔を出しておくか。まずはキルハイヴだ。マハがどう馴染んでいるか見てみよう。ただ……ケルを連れていくべきかどうか、それが問題だ。


助けなしで行くことに決めて、俺は死すべき者の館へ向かい、地下室へと降りていった。


◇◇◇


現在の残存寿命――17+(129)。能力発動用ボーナス年数:51(25)(係数0.4)(捕虜――13)

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