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第六十三章 ひと息つく間もなく

可愛らしい顔立ちの少女とはいえ、こういう招かれざる客は厄介だ。意識がないだけまだマシか。


近づいてよく見てみると、頭に傷があった。どうやら翼があっても無事に着地できなかったらしい。


フロルガは困惑した様子で見知らぬ女を見つめ、治療すべきかどうか迷っていた。結局俺が近づいて、エルフの滑らかな肌に触れ、しばらく待った。


「市民ステータス+1(113)」


そして繋がりを開く!


「繋がり:市民統計


名前:クリオシタ・リビ・ガウディ


種族:エルフ。


年齢:21(1450)


役職:データなし。


兵科モデル:データなし。


婚姻状況:未婚


派閥:アンジュヘル、アルヴァー。」


一位様のご登場か……それにしても、彼女の役職データが隠されてるって何だよ、どういうバグだこれ?


この派閥の連中、最高齢がとんでもないことになってるし、あのコレクターのことを思い出せば戦闘力もかなりのものだ。さて、こいつをどうするか? 全員があんな風に平和的で石を探してるだけとは限らない。それに今の俺には、すでに使ってる石以外に提供できるものなんて何もないんだよな。


さっさと目覚めさせたいなら殺して蘇生すればいい。急がないなら自然に任せる手もある。うーん。確かに第一派閥の建設を始められるのは魅力的だ。一体どんな凄い物が作れるんだろう? ただ、連中の結婚の仕来たりを知らないまま突っ走ると、すっ転ぶ可能性もある。


とりあえず事を急がないことにして、俺は狼娘に少女の治療を試してみてくれと頼んだ。慎重にその華奢な体を抱き上げ、俺はフレムテック製の自宅へと運んだ。ソファに寝かせると、フロルガを付き添いに残し、すぐ戻ると約束して屋敷へ向かった。そこで作業台を使ってネクロマンサーの指輪に宝石を嵌められるか試してみることにしたのだ。そして、やった! 成功だ! どうやらこいつは他の物とは一切統合できないらしい。


通信機めいた物を手に入れた俺は、どうやって起動するか考え始めた。試しに起動スイッチを押して耳を澄ませてみる。すると聞き覚えのある声が、指輪に嵌まった小さな石からはっきりと聞こえてきた。


「ん? 誰だ? まさかニコがようやく連絡してきたのか? くたばっちまえ! 連絡なんかしてこなきゃよかったのに、面倒くせえ」


必死で名前を思い出しながら、俺はようやく絞り出した。


「よう、アクワイア」


「何だと! てめえ勘違いしてねえか? あー、もういいよ。ニコ、フルネームで呼んでやれ。じゃないとあいつうるせえから」


ああ、こいつら何もかも面倒くせえな。女連中も同じなのか、気になるところだ。


「うーっす、アクワイア・イラ・イグナヴィアさん」


満足げな笑い声が聞こえた。


「まあいい、挨拶のために連絡してきたわけじゃないよな。石を売りに来たのか? それとも早く死にたいのか? ふぁあ」


最後のセリフは豪快なあくびで締めくくられ、こっちまで眠気に誘われそうになった。


「あのさ、実はこういうことなんだけど。カオスポータルであんたらの女の子が俺のところに来ちゃってさ。今は意識不明で怪我してる。どうするのが一番いいかなって思って」


短い沈黙が流れた。


「へえ、面白いじゃん。で、名前は? あ、そっか、意識不明か……まあどうでもいいや、そいつも処分だ! みんなで回せ!」


そして、またあくびで終わった。


「なぜか、俺は知ってる。クリオシタ……」


俺がどうやってその名を知り得たのか、一滴の驚きも見せずに、コレクターは言った。


「はっ、ってことは、自分の実験でやらかしたってわけか。間違いないなら心配すんな、あいつは攻撃的じゃねえ。まあ、ほぼな。俺より攻撃的じゃねえよ、あはははっ! それに俺より大人しくもねえけどな」


声の調子に疑念が混じっていて、ちょっと警戒心が湧いた。だが、そもそもあまりにも多くのニュアンスが詰まっていて、全ての意味と裏の意図を百パーセント理解できているとは言い切れない。


「ありがとう。でも、もう一つ訊きたいことがあるんだけど」


「んー、悪いけど今忙しいんだわ。だからとっとと消えろ。用がねえなら休息の邪魔すんな」


なるほど、はっきりしてるじゃないか。


「わかった、じゃあな」


まあ、これでも何かの進展だ。


フロルガと負傷したエルフのところに戻ると、狼娘が白く光る両手をエルフの頭上にかざしているのが見えた。俺の問いかけるような視線に、癒し手は答えた。


「彼女たちが私たちと違うのかどうかは分からないけど、とりあえず処置は終わらせてるわ。朝には意識を取り戻すと思う」


ここに残しておくべきか? 警備兵に見つかったら怖がらせて、変な誤解を招きかねない。寝る時に本拠地の屋敷に移しておけばいいか。今はここに寝かせておこう。


俺とフロルガは静かに外へ出た。


「な、いつもこんな感じだろ? 何かしら起きるんだよ、はは」


「本当にね」狼娘は力なく微笑んだが、すぐに口角が下がっていった。「もしかして、これは啓示? 狼の神官たちはあらゆる象徴を真剣に受け止めるから、だから……」


女の子が変な方向に突っ走り始めたのを見て、俺は慌てて遮った。


「でっち上げるな!」


フロルガはびくっと震え、耳がしょんぼりと垂れ下がった。


そっと彼女の肩に手を置くと、少女の頬があっという間にピンク色に染まっていくのが見えた。それを気にしないようにしながら、俺はかなり早口で話し始めた。


「俺はお前と兄貴の助けを、お前の思いやりと我慢強さをすごく大切に思ってるんだ!それどころか、俺が何度もお前を誘ったのは、後で全部ほっぽり出すためだと思うか?縁起だの何だのに邪魔させるわけにはいかないんだよ!」


唇を引き結んで、フロルガは耳をぴくぴく動かしながら真剣に聞いていた。尻尾は絶え間なく左右に揺れていたが、彼女はそれには構わなかった。


俺が話し終えると、少女の唇がわずかに開いた。まつげの軽い震えが彼女の動揺を物語っていた。そっと俺を見上げてから、少女は確信に満ちた口調で言った。


「そうね、確かに。私は完全な狼の神官じゃないし、そこまで全部を信じ込むこともないわよね」


彼女の気分が明らかに良くなったのを見て、俺は少女の手を取り、その目を見つめて言った。


「フロルガ、俺と結婚してくれるか?」


その瞬間、狼娘はついに自分の尻尾を掴んだ。コンクリートの表面を絶え間なく叩き続けていたからだ。数秒ほど何かを考え込んでから、彼女は突然俺に飛びついて抱きしめてきた。


「はい、ニコ! もちろんです!」


俺も彼女を抱き返し、我慢できずに頭を撫でてやった。こうしていると、すごく可愛くてふわふわしているように思えた。


尻尾が彼女の喜びを表していたので、俺は耳も撫でてやった。猫の耳に負けず劣らずだ。


とはいえ、何より嬉しかったのは、フロルガが今どれほど幸せそうに見えるかということだった。こんな彼女を見るのは初めてだ。面白いものだ。二週間も経っていないのに、俺はもう住民たちの大半にすっかり愛着を持ってしまっている。俺がしょっちゅう留守にしていなければな……


一体どうすれば、自分の家でただのんびり過ごせて、ろくでもない連中が寄ってこなくなるんだろう? ただ妻たちと一緒にいて、ようやく子供たちと時間を過ごす……やりたいことなんていくらでもあるのに!


たっぷりと抱き合い、この瞬間を台無しにしないよう余計なことはせず、俺たちは互いを離して微笑み合い、死すべき者の家に向かって歩き出した。屋敷に戻るためだ。


「今日はもう遅いし、明日にしないか?」


フロルガは嬉しそうに頷いた。もう夢の世界に浮かんでいるようだ。


村で別れた。彼女は兄のところへ駆けていったんだろう。俺にはメッセージが届いた。


「建設完了」


「建設完了:騎兵兵舎」


「利用可能建築物リストの更新……完了」


「新規基本建造物:獣牧場」


「新規兵科モデル(ランク3):黒豹騎兵、蜘蛛騎兵」


お、ここで全部を終わらせようとしたせいで、またテクガンに手をつけられなかったみたいだな。まあいい、農場を建てるか。それに道具も不足してる。アンネリが遅れてる連中全員の訓練を引き受けてくれたのは嬉しいんだが、残念なことに優先順位がアルヴァー派閥なんだよな。


ゲフール村出身のエルフの娘をロングボウ射手に昇格させるとして、残りの連中はもっと変わった配置にする必要があるな。えーと、木材125、鉄45、鋼15、高品質鋼10か。


ふむ、錬金術には木材の残りと石材だな。


そして、どうやらマハが訓練を終えたようだ。もう一つメッセージが:


「管理者が利用可能です。現在の拠点に適用しますか? はい/いいえ」


いいえ。でも、幸いなことに、必要な拠点まで移動しなくても、他の拠点から選べるんだよな。


「おめでとうございます! 管理者が任命されました。


ボーナス:


全資源の採取量が二倍。


建造物の建設速度上昇。


ランク3変異へのアクセス解禁。


新規基本建造物:キルハイヴのハンター、ゴールド採集者。


特殊ボーナス(マハ・ザシャ):


ハンターの作業速度が三倍に加速。


ゴールドの基本産出量+50/日」


「新規変異(ランク3):インセクトイド・アクセラレーター、ドラコニド・アクセラレーター、リジェネレーター、マスキュロポテンサー、毒腺(毒状態付与)」


かなりいい感じだ! マハは明日にでもキルハイヴの高みを目指して出発するだろう。


今の俺に他に何ができる? このドタバタ騒ぎで、アンネリから預かった子供たちのチェックをすっかり忘れていた。


センターまで歩いていく途中、猫耳姉妹たちがキャンプで熱心に訓練しているのが目に入った。どうやら以前の敗北が本当に彼女たちに影響を与えたらしい。エヴィナはアルビと剣術の稽古をしていて、それもかなり激しく、遠目からでも二人とも荒い息をしているのが分かった。クリスティーナは少し離れたところで、石ころから作ったゴーレムを一体操っていて、俺が見た限りでは正面攻撃よりも複雑な命令を実行させようとしているようだった。


気づかれないようににやりと笑って、俺は彼女たちの邪魔をせずに先へ進んだ。


センターは意外と賑わっていた。みんなの注目の的が何なのか見てみると、鮮やかな青い目をした十歳くらいの女の子が目に入った。もちろん、この年齢でここにいられるのはアイリーン以外にいるわけがない。テーブルに屈み込んで、娘は基盤をいじくり回していて、手にはマルチツールを握っていた――確かキューたちが持っていたやつだ。近くには機械部品のでかい塊が山積みになっていて、よく見るとその一部にネメシスの特徴的な塗装が見えた。まさか、あれを修理するつもりじゃないだろうな。


ケイトは妹のやることを注意深く観察していて、時々質問を投げかけていた。どうやら技術関連のテーマは彼女にとってかなり興味深いらしい。たとえそれが彼女の大好きなテクガンのものじゃなくてもだ。


ソフィアとアキルズもここにいたが、ただ呆然とアイリーンの素早い手さばきを見つめているだけで、何が起きているのかあまり理解していないようだった。俺は彼らのところへ近づき、フレムテックの娘の作業を邪魔しないよう気をつけた。兄妹は疑問の眼差しを俺に向けてきたので、俺は身振りで離れるよう促した。


隣の部屋に移動して、俺はドアを閉めた。


「ありがとう。本当に素晴らしい。もう二度も村の安全のために自分たちの身を危険に晒してくれた。敵の斥候を見つけてくれたことも、とても重要なことです」


アキルズは手を振って、大したことじゃないという風を装っていたが、とても満足しているのが見て取れた。


確かに彼らは自分たちの判断で敵を探しに行ったが、ちゃんと報告してくれたし、大体どこにいるか予測もできた。自信過剰なエヴィナとそれに同調する連中とは全然違う。エンディスがそこまで影響を与えたのか?


「とにかく、俺が言いたいのは、誇りに思っているということだ。もちろん、実際のところ俺にはお前たちの教育に何も貢献していないから、誇る資格なんてないんだが、それでも、ありがとう」


「もう、お父さん、わかってるわよ。ね、お兄ちゃん?」ソフィアが尋ねると、アキルズは不満そうに頷いた。どうやらまだ自分の恨みを思い出しているらしい。「もう、いいじゃない、こっちにおいでよ!」


兄の手を掴んで、ソフィアは笑いながら数日前と同じように俺に駆け寄ってきた。もちろん、今の彼女はもう成長した、美しい、長い髪の娘だ。だが俺はまだ彼女の涙を覚えていたから、苦く自分に微笑んだ。


ぎこちなく抱き合って、俺たちはくすくす笑った。こうするのが初めてだと気づいて。


「なあ、父さん」突然少年が話し始めた。明らかにこういう抱擁に照れている様子で。「俺たちソフィアと、今夜で18になるんだ」


「ああ、知ってる」


「あたしたちも、猫ちゃんたちみたいに夜のうちにランク上げに行っていい? 時間を無駄にしたくないの」


妹の渋い顔を見る限り、彼女は布団の中で枕に顔を埋めて時間を無駄にしたいタイプだろうに。


それにしても夜中のランク上げって何だ? クリスティーナが俺に話し忘れてたのか。まあ、彼女だけのせいじゃないんだろうけど。


「ああ、構わないぞ。モデルも上げたいんだろう?」


アキルズが素早く頷いた。少年の目に火が灯る。もう待ちきれないって感じだな。


「まあ、そんなに高くないなら上げていいぞ。でもクリスティーナの最終モデルみたいに数百もかかるなら朝まで待て、話し合おう。お前たちだけで大丈夫か?」


「ああ、もちろん! ありがとう、父さん!」


「いや、どういたしまして」俺は微笑みながら答えた。アキルズが今にも飛び出しそうな勢いだが、まだ時間は早い。


ソフィアもアキルズの気分が上がったのが嬉しかったのか、俺が別れを告げた後、頬にキスをしてきた。


外に出ると、アイリーンは疲れ切ったのか、ソファで横になっていた。ケイトが優しく毛布をかけ、どこからか持ってきたテクガン製のランプを消していた。俺をちらりと見た彼女は、すぐに顔を背けて足早にセンターを出て行った。


もしかしたら、彼女も考えを変えてくれるかもしれない。


ため息をついて、俺も外に出て屋敷に向かおうとしたとき、誰かに呼び止められた。


振り返ると、エンディスがいた。彼女はいつものテクガンの服装から、胸元の大きく開いた可愛らしいショートドレスに着替えていて、恥ずかしそうに俺の反応を待っていた。


◇◇◇


「夜襲?うー、つまんないわ。何にも見えないじゃない!」赤毛のエルフ娘が嘆きながら、もう一人のエルフ娘と重装鎧に長いマントを纏った白髪のエルフと共に、軍勢の先頭をゆっくり進んでいた。


「んなこと気にすんなよ、姉ちゃん。どうせお前は自分の楽器かき鳴らしてるだけだろ、見る必要ねえじゃん?」青年が笑い、夕方の風を楽しんでいた。いつも城に閉じ込められているから、遠出はどんなものでも嬉しいんだ。


「あなたたち、少し忘れてるんじゃない? 私たちが何のためにここにいるのか」 それまで黙っていたエルフの娘が、落ち着いた声で答えた。母親である女王によく似た彼女は、冷たい視線を兄に向ける。 「もしかしたら、あの化け物どもが弟を殺したのかもしれないのよ。なのにあなたは愚痴ばかり」


顔を歪めて嫌な笑みを浮かべ、青年は言い放った。


「母上は、その可能性は低いと仰っている。だが、仮にそうだとしても、今回ばかりは逃がさんさ」


小さな廃村に辿り着くと、姉弟は軍を止めた。やがて女王自身も追いついてきた。黒地に赤みを帯びた鎧をまとったその姿は、威圧感に満ちている。持ち主とほぼ同じ背丈の長大な両手剣を抜き放ち、エルフの女王は刀身に掌を滑らせた。血が細い筋となって金属を伝い、赤く染め上げていく。液体は瞬く間に金属へと吸い込まれ、武器が赤く脈打ち始めた。


女王の前に、ぼろをまとった数人の人間が連れてこられ、並んで跪かされた。女王は近づき、狙いを定めると、鮮やかな動きで五人まとめて首を刎ねた――胴体には傷一つつけずに。


脈打つ血液が噴き出す動脈に、刃を丁寧に押し当てる。女王は剣が完全に充填されるまで、じっと待つ構えだった。


◇◇◇


「現在の残存寿命――19+(113)。能力発動用ボーナス年数:45(45)(係数0.4)」

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