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第五十八章 涙と希望

クリスティーナは恐怖に顔を歪め、エヴィナの切断された腕を見つめると、叫びながら前に飛び出した。


「待って! お願いします! 石は全部持って行ってください!」


見知らぬ男が足を止めた。


「時間損失の分析……完了。最初の提案に復帰……完了。渡せ。五、四、三……」


クリスティーナはアルビから石をもぎ取り、切断された腕の断端を抱えているエヴィナのもとへ駆け寄ると、彼女のポケットからも石を引き抜き、敵のもとへ駆け寄って三つの石すべてを差し出した。


「分析……完了。取引成立。良い一日を」無感情で機械的な口調でデウスレギオ派閥の男は続け、石を受け取った。それらに「視線」を走らせると、彼は言った。


「特性分析……完了。ネクロマンシー。アルヴァー派閥のゴミだな」そう言って、見知らぬ男は黒い石を放り捨てた。


どうやら残りの石も気に入ったようで、デウスレギオの戦士は自分の体内に収納した。一時的に装甲の一部をずらし、ゆっくりと像に近づく。膝をついて両腕を上に掲げ、まるでこの記念碑に祀られた見知らぬ人物を抱きしめようとするかのように、動きを止めた。


アルビは観察をやめると、エヴィナのもとへ駆け寄り、何も聞かずに真っ赤に熱した刃を傷口に押し当てた。少女の悲鳴が先ほどより激しく響く。


クリスティーナは慎重に近づき、必要なくなった黒い石を回収した。姉妹のもとへ戻ると小声で囁く。「行きましょう!」エヴィナの剣を拾い上げ、記念碑から離れていった。


青ざめた妹を見つめながら、クリスティーナは今すぐ彼女を叱るのはやめておいた。別の問題が浮上していた。もう一つ石が必要なんだ。


「それで、どこでもう一つ適切なゾーンを探せばいいと思う?」クリスティーナは他の二人に尋ねることにした。


「洞窟に戻る? 一つあったところにもう一つあるでしょ」アルビは、つい最近降りてきたばかりの山を見ながら提案した。


エヴィナに目をやると、彼女は何も答えないつもりで、すべての判断を二人に任せているのがわかった。


ため息をついて、少女たちは引き返すことにした。いまだに像の前に座り込んでいる元敵兵を横目で見ながら。


元来た道を戻った姉妹は、三つのトンネルが分かれる場所まで来ると、別の通路へ入っていった。また腸のような空間を曲がりくねって進んでいくと、やがて大きなホールへと出た。そこはまるで武器の博物館か、誰かの奇妙なコレクションのようだった。壁にも、床にも、専用のガラスケースにも、台座にも、それからただ適当に置かれた場所にも、武器があった。剣、短剣、斧、槍、短刀、棍棒……要するに、そこにない冷兵器を挙げた方が早いくらいだった。


この不気味な雰囲気に身震いしながら、クリスティーナは本の置かれたガラスケースへと近づいた。


指でタップすると、また例の「文字をノートに書き写す」演出が始まった。今度の文章はこう言っていた。「神の力を得ようとする者は、まず第一に、勝者とならねばならない……」


これが一体何を意味するのか、よく分からないまま、彼女は本をしまい、エリアガーディアン起動のボタンを押した。


ホールに風が吹き抜け、彼女の髪を揺らし、身震いさせた。耳をぺたんと伏せて、クリスティーナは怯えた様子で周囲を見回し、急いで石のゴーレムを召喚した。


ホールを幽霊のようなシルエットが横切り、すぐに消えた。何本かの剣が壁から飛び出し、刃を少女たちに向けると、勢いよく飛んできた。


ゴーレムたちが主人を守るために飛び出し、大きな音を立てて武器を弾き返した。アルビは自分の周りを炎で包んで、飛んできた鉄くずを飛行中に溶かし、まだ兵科モデルへの切り替えを決めかねているエヴィナを庇った。


各々の置き場所から斧、短剣、そしていくつかのハンマーが飛び出した。今回、それらはゴーレムを無視し、全てアルビに襲いかかった。彼女の炎は大半を溶かすには十分だったが、最も重く大きな武器は炎の膜を突き抜け、少女は迫りくる武器を剣で弾かなければならなかった。


「エヴィナ、頑張って、いつまでも落ち込んでないで! じゃないと腕だけじゃ済まないわよ、にゃあああ!」とクリスティーナが叫び、自分の使い魔たちを姉妹の防御に向かわせようとしたが、彼らは攻撃を弾くには遅すぎた。


飛び上がったエヴィナは歯で指輪を回し、マントで身を包むと、空中を飛ぶ武器を不器用に斬り始めた。この波をどうにか片付けた途端、さらに多くの武器が宙に浮かび上がった。手裏剣、両手剣、大太刀、巨大な戦鎚まで――全てがアルビ一人に向かって飛んできた。唸り声を上げ、少女はさらに激しく燃え上がり、防ごうとしたが、すぐに複数の刃に貫かれてしまった。少女は動きを止め、灰となって床に崩れ落ちた。


叫び声を上げたエヴィナは剣を振り回しながら回転し、残った武器を斬り裂いた。それらはゴーレムを迂回してクリスティーナに辿り着こうとしていた。今のところ石の使い魔たちは何とか防いでいたが、武器はどんどん増え続けていた。


アルビの残した灰が激しく燃え上がり、少女を生き返らせ、周囲全てを焼いた。アルビは姉妹を助けに駆けつけたが、復活直後で完全に炎を纏うことができず、ただ灼熱の剣を投げつけ、一度に数本の憑依された刃を叩き落とすだけだった。


この波も片付いたところで、少女たちの前に石が現れた。石を回収すると、汗まみれの姉妹は互いに背中を預け、ゆっくりと床に座り込んだ。


数分休んでから、クリスティーナは端末の本へと近づいた。


「神の石を回収――コミュニケーション、『ヘルパー:アイヴィ』、錬金術:クリスタリット」


「親愛なる友よ、ゾーンをクリアした!帰還が可能だ。ランダムな石を一つ捧げれば、帰ることができる」


誰の意見も聞くつもりなどなく、クリスティーナは確認を押した。


彼女の前にポータルが現れ、全員揃ってその中に入った。


そして屋敷の地下室に出た。彼女は石がそれぞれ何を意味するかなんて覚えていなかった。ネクロマンシーのものだけがその場に残っていることを知っているだけだ。


階段を駆け上がり、通りに出た彼女は愕然とした。壁が破られ、あちこちの石畳に血と肉片が飛び散っている。中庭には蜘蛛の死骸が転がり、その傍らには――人間の死体も。崩れた壁まで走った彼女は息を呑み、おびただしい数の死体に気分が悪くなった。


口元を手で押さえ、クリスティーナはセンターへ走った。


そこで彼女を出迎えたのは、重苦しい視線だった。


◇◇◇


どれくらいこうして横たわっていたのか分からない。数分かもしれないし、数時間かもしれない。どんな時間の単位も、ただ永遠に積み重なっていくだけのような気がする。


で、これからどうなる? あれがどこぞの皇子の軍隊だったってことは、王が動き出したってことだ。もう俺から手を引くことはないだろうな。


よく言うだろ、最大の防御は攻撃だって。今回はあのクソ野郎どもに不意を突かれちまった。イカレ野郎どもに全部ボーナスを使い果たしてたからな。でも、ちゃんと計画立ててやれば、ありふれた砲撃だけで連中を派手に間引けたはずだ。


今後の予定は? クリスタリットで繋がりを強化する。モデルを改良する。俺がいない間に、それなりに資源が溜まってるはずだよな? よし。テクガン、民間人の確認をしないと。全員無事なら追加ボーナスになるし、採掘も始められる。


クソッタレ、やることが山ほどあるのに、俺はここで王族の血を引くこのクソ野郎の近くに転がってる。


頭の中で選択肢を巡らせているうち、しばらく意識が遠のいた。そして、素早い足音と衣擦れの音が聞こえて、はっと我に返った。ヘルメットのフィルターが周囲を少しクリアにしてくれたおかげで、すぐに見覚えのある小さな姿が見えた。


息を切らしたラズが駆け寄ってきて、俺に飛びついた。


「パパ、パパ! 分かってた、あなたを感じてたの! ねえ、何か言って!」


女の子が膝をついて俺を抱きしめてきた。俺は何か意味不明なことをぼそぼそ呟いただけで、どうせヘルメット越しじゃ聞こえなかっただろう。キューたちやワイと繋がりを設定しておくべきだった……きっとそういう機能があるはずなんだ。


俺が動かず何の反応も示さないのを見て、ラズは黙り込んだ。唇を噛み締めて一度手で目を拭い、次にもう一度拭ったが、結局耐えきれずに泣き出した。


突然、闇が紫色の炎に照らされた。女の子の爪のある手が炎を纏い、周囲を明るく照らして彼女の顔を浮かび上がらせた。怒りと悲しみが入り混じった歪んだ表情で、頬には濡れた跡がある。女の子は炎の塊を上に投げつけ、何本かの枝を焦がした。


俺の方に身を屈めた女の子は、俺の指輪を見つめ、最終的に石を回した。俺はドラコニドに変身したが、それで大して楽になったわけでもなかった。


「パパ!」


「ああ、ラズ、ありがとう!」


鼻をすすりながら、女の子は弱々しく微笑んで俺に触れた。


「お願い、もう少しここで横になっててね。すぐに戻ってくるから!」


「いっそ殺してくれよ」


目を固く閉じて、彼女は激しく首を横に振った。


「だめだめだめ、絶対に治すから!」


「こんな怪我、どれだけかかると思ってるんだ? やめとけって」


答えず、ラズは立ち上がって走って行ってしまった。


どうやら彼女の呼びかけに誰も来なかったらしい。だからすぐに戻ってきた――ケルと一緒に、大きなキチン質の破片を持って。まあ当然だよな、キルハイヴのすぐ近くなんだから。


慎重に俺をその即席の担架に乗せると、二人は基地の方へ運び始めた。


ケルはただ黙っていた。たぶん、こんな無様な俺を見るのが辛いんだろう。まあ、他にも理由があるのかもしれないが。


テレポートまで辿り着くと、少女たちは俺と一緒に屋敷へ転移した。慎重に階段を上り、俺たちは居間に着いた。休憩のためか、それとも別の理由からか、ケルとラズは俺をとりあえずここに残していった。


だが、部屋には誰かがいた。慎重に俺へ近づいてくる。クリスティーナだ。


「パパ、ごめんなさい……」少女が耳を頭にぺたんと伏せて、小さく囁いた。彼女は首を横に振っている。目の前の光景が信じられないとでもいうように。「お願い!私たち、本当に悪かったの」


俺は黙っていた。ここに残っていたらしいラズが、静かに言葉を添える。


「彼は喋れないんだ。動くこともできない」


少女はまるで殴られたかのように後ずさった。まだ首を振りながら、「違う違う違う」と小さく繰り返し、ゆっくりと床に座り込んだ。


彼女の近くにはアルビが立っていて、床から視線を上げようともしない。そしてエヴィナは……腕がない⁉


片腕の猫娘の顔に浮かんだ感情の全てを言葉で表すのは難しかったが、彼女自身は何も言わなかった。


「片手で数えられるほどだ、今日死ななかったか、怪我をしなかった者は」――そう、セフィーナの静かな声が聞こえてきた。「アキルズ、ソフィア、ケイトまで戦って死んだんだ。まだ十八にもなってないのに、畜生、にゃ!」


ん~、これがしつけか。遅すぎるだろ、セフィーナ。俺がいない間に子供たちに教えるべきだったな。嫁たちにポルノ話を聞かせてる場合じゃないだろ。俺も俺だが、自分のことは自分でなんとかする。


猫娘たちは黙り込んだ。


「じゃあこうしよう。あなたたちの中で、誰がお父さんを殺す?」セフィーナが続けた。


姉妹たちはびくっと震えたが、またしても黙ったままだった。


「わかった。苦しませたいのね? 誰かが自分の我儘を家族より優先したせいで、彼は苦しむことになるのよ?」


またしても沈黙。エヴィナが一歩前に出て、不器用に左手で剣を抜き、俺の上に振りかざした。そして俺の目を見て、視線を捉えようとしたが、俺はただ反対側を向いた。


唸り声をあげて、少女は剣をさらに高く振り上げた。武器がカランと音を立てて床に落ちた。


「にゃああああああっ!」とエヴィナが叫び、膝をついて俺の額に自分の額を押しつけてきた。俺の手を握りしめ、止まることなく泣き続けている。


それ以上、誰も何も言わなかった。ケルとラズが近づいてきて、俺を抱え上げると階段の方へ運んでいく。


エヴィナは二人を止めようとしたが、無理だと悟ると、リビングに残った。


二人は俺をコンバーターまで運び、中に寝かせた。幸い、ニッチはそれほど狭くなかった。


ラズが言った。


「キルハイヴ、心筋強化剤、骨強化剤、タンパク質触媒」


「ムタゲン18単位」


「ああ」


ドアが閉まった。いつもの光に包まれ、その終わりには俺に何も起こっていないかのようだった。


「これで足りると思う?」ラズが疑わしげに尋ねた。


ケルが俺を一瞥し、弱々しく微笑むと娘の方を向いた。


「様子を見ましょう。彼は強いから」


二人は俺を寝室まで運び、慎重にベッドに寝かせると、そっとドアを閉めて出て行った。


どうせまだ何もできない状態なんだし、寝ようと試みることにした。


だが、俺はすっかり忘れていた――もう長い間ドラコニドの姿のままだということを。


「やっほー!」


「ああ、やあ、レギ」


「ふうん、あたしのこと覚えてるんだ。てっきりあんた、何かあったのかと思ってたわよ」


自分を見下ろして、俺は苦笑した。


「いや、ただ忙しくてさ。攻撃はどうだった?」


「政治に興味を持つ男って好きよ。バッチリだったわ。エクスマッハの連中が一匹狼気取りでいる限り、戦うのは楽勝ね」


「シャドマーは?」


「あいつらに何ができるってのよ。黙ってロートクを明け渡して、ネズミみたいに隠れちゃったわ。でも、あんた話を逸らしてるでしょ。あたしのこと聞かないわけ? 例えば、何着てるかとか、ふふ」


「何着てるんだ?」


甲高い笑い声が響いた。


「私、裸なのよ! ねえ、どんな姿を想像してるの?」


ため息をつきながら、俺は続けた。


「女王様みたいに豪華な体、柔らかくて輝く鱗、魅惑的な尻尾に、ふわふわの翼」


「うふふ、いい子ね。ちょっと興奮しちゃった。んー、早く会いたいわ。いつ来てくれるの?」――今度は声に情熱的な響きが混じっていた。現実を突きつけて彼女の期待を砕くのは心苦しいが。


「俺たちの間には直通のポータルなんてないし、俺が使える門もないんだ」


「あら、言い訳に聞こえるけど、そう思わない? いいわ、妻は夫を助けるものよね? 可愛いケルちゃんに聞いてみなさい、どうやって混沌のポータルを安定させたのか。きっと教えてくれるわよ」


満足げな笑い声。ったく、そんなに会いたいなら最初から教えてくれりゃいいのに。それにケル本人は、ポータルが勝手に安定したって言ってたような……


「わかった、やってみる」


「じゃあね、チュッ、愛してるわ!」


「俺もだ」


ああ。これでやっと眠れるかな。


そんなわけあるか。部屋に誰かがそっと入ってきた。それもかなり用心深く動いている。内心、兵士たちがうっかり通した殺し屋だったらいいのに、と願ってしまった。こんな状態でいるのはあまりに情けない。


だが違った。近づいてきた人影は、つま先立ちで歩くワイだった。手には銀色の小さな機器を持っている。待てよ、それってもしかして……


俺が起きていて見ているのも気にせず、ワイは針を俺に突き刺し、辛抱強く機器の画面を見つめ始めた。


やがて小さな箱がピッと小さく音を立て、ワイの目が大きく見開かれると、彼女は小さく悲鳴を上げた。


メッセージが表示された。


「ステータス更新中……完了


新たな配偶者が登録されました:ワイ、フレムテック派閥。


フレムテック派閥の妻スロット使用状況:2/3。


ワイ、新たなランクなし兵科モデルが利用可能:(???)開放には『重量メカのパイロット』系統でランク2の取得が必要です」


「俺抜きで俺が結婚させられた」ってやつの意味が、今まで以上によく分かったよ。


再びつま先立ちで、まるで舞うように、少女は部屋から駆け出していった。


ただ、この箱をキューたちには渡さないでくれよな、いいか?


ため息をもう一度ついて、俺は目を閉じた。そして明日に希望を託しながら、ようやく眠りについた。

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