第五十四章 続きのあるショー
なんだか、この場所のイカれた雰囲気が気に入らない。考えてみれば、こういう類のレースでは後方にいた方がいいんだ。美味しいところは全部トップに集中するからな。まあ、古典的なパターンを思い出すと、後ろにも何か飛んでくる可能性はあるが。要するに、俺たちがいない場所が一番安全ってことだ。
さっき見かけた連中に加えて、バイク乗りがもう一人やって来た。どうやら、これ以上参加者は増えなさそうだ。
観客席には雑多な群衆が集まり、これから始まるショーを期待して嬉しそうに騒ぎ立てている。ここに座ってどうやってレースを見るつもりなのか、俺にはさっぱり分からないが、連中は気にしていないようだ。
俺はスタートの合図を辛抱強く待った。ここはアルヴァー派閥の所より体感的に暑くて、騎士の鎧の中で既に汗だくだ。だが、流れ弾を食らうのも御免だから、蒸し暑さには我慢するしかない。
道路に半裸の女が拳銃を持って現れた。下品に尻を振りながら、女は道路の真ん中、二列に並んだ車の間に立った。トップ代わりの布切れを脱ぎ捨てると、裸の胸を見せびらかして、観客から盛大な歓声を引き出した。どうやらバイク乗りの一人が一番興奮したらしく、口笛を吹き始めた。女は唇を歪めてイカれた笑みを浮かべると、欲情した男の頭を撃ち抜いた。全員が一斉に飛び出した。なるほど、こういう合図か!
俺は全員の後方にいて、状況を注意深く観察し始めた。
バイクの一人がバギーに近づいて中に手榴弾を放り込み、その後キィーッと悲鳴を上げながら慌てて離れようとしたが、装甲兵員輸送車の車輪に巻き込まれた。強烈な爆発が車の破片を周囲にばら撒き、急いで避けなければならなかった。俺の古い愛車は抗議するようにきしみ声を上げたが、何とか危険地帯から抜け出してくれた。前方では戦車が過負荷で唸りを上げながら砂地を掘り起こし、その先に装甲兵員輸送車、そして先頭にはバギーが残っている。戦車砲が咆哮を上げ、砲弾が岩に命中した。轟音とともに破片が崩れ落ち始め、装甲兵員輸送車も、毛むくじゃらの装甲車の中にいる運の悪い射手も、埋もれてしまいそうだ。俺はまたハンドルシステムの資源を全て使って、できる限りその場から遠ざかるように切った。
前方の戦車が最も遠くに落ちた小さな破片を片付けてくれたおかげで、俺は至って平穏に通過できた。前方から大口径機関銃の乾いた音が響き、続いて複数の手榴弾の爆発音。どうやら装甲兵員輸送車とバギーがお互いに挨拶を交わし合っているらしい。
再び戦車砲が轟き、射撃に夢中になっていた装甲兵員輸送車に命中した。車両が炎上し、激しく横に弾かれてスピンした。戦車は全速力で燃え盛る敵に体当たりし、砲塔を旋回させながらもう一発撃ち込んだ。俺がちょうどその横を通りかかった時だった。
強烈な二連続爆発が俺のポンコツを道から吹き飛ばし、まるで試験用遠心分離機に放り込まれた宇宙飛行士みたいな気分にさせられた。何度も何度も車体が軸を中心に回転し、ついには屋根から地面に叩きつけられた。タンクから燃料が漏れ始めたので、俺は急いで脱出することにし、力のエンチャントを発動させた。役立たずの防護フレームをへし曲げ、新しいバギーを呼び出すと、一台の車からもう一台へと飛び移った。百メートルも走らないうちに、背後で爆発音が鳴り響いた。あのポンコツが長持ちするわけがないよな。
「テクガン派閥とのシナジー+10%(70/100)」
「死すべき者の心臓――新しいアップグレードが利用可能です。テクガンのスクラップ修理」
先に飛び出していった連中を追いかけ、新品のエンジンのおかげですぐに遅れを取り戻すことができた。戦車は首位のバギーに向かって大砲を律儀に撃ち続けていたが、運ちゃんもなかなかのもので、ウサギみたいに左右に蛇行していた。
俺はもう、前方にあの吐き気を催すような塗装の装甲車をはっきりと捉えていた。しばらくコースが真っ直ぐ続くのを確認すると、ライフルでハンドルを固定し、素早く後部座席へ移動してロケットランチャーの位置に就いた。一発撃ち込むと、すぐさま次弾を装填し始めた。ロケットは見事に命中し、砲塔の旋回機構を破壊した――斜めに傾いた砲身を見れば一目瞭然だった。
ハッチが開き、今度は戦車からあのマッチョ野郎の護衛の一人が這い出てきた。グレネードランチャーを構えている。素早くスナイパーライフルに持ち替え、構えて引き金を引いた。グレネードランチャーが力の抜けた手から転げ落ち、死体はハッチの縁にぶら下がったまま、塗装を血で染め上げていた。
騎士のライフルが消えたせいでバギーがふらついた。俺は急いでもう一発ロケットを撃ち込み、戦車の履帯をぶっ壊すと、運転席へと飛び移った。
戦車は速度を落として停止した。俺は全速力でその脇を駆け抜け、首位を追いかけ始めた。だが、バギーがまた点滅し始めやがった……首位のバギーの前に生きた壁を召喚すると、俺はブレーキを踏んで車から飛び降り、走りながら別の車を召喚した。その間に首位の奴は全速力で突然現れた障壁に激突し、前方へ吹っ飛んで壁に頭を叩きつけ、頭蓋骨をぐちゃぐちゃにした。
俺は新しいバギーで前に突っ走り、完全に一人で決勝ラインを越えた。観衆が轟音を上げる中、俺は急いで車をガレージに突っ込んだ。少なくともゴールでは、俺の車が偽物だって全員に見られたくなかったからな。
そこから飛び出して、ゴールから少し離れたところで立ち止まり、待つことにした。ケルとフレムテックの女たちが駆け寄ってきた。顔には喜びと警戒心が混ざっている。まあ当然だろう、俺だってこのピエロどもから何を期待すればいいのかわからないんだから。
やがて甲高い声の筋肉馬鹿が現れた。見覚えのあるオフロード車に乗ってきやがった。三十二本全部(いや、明らかにもっと少なかったが)の歯を見せてニヤリと笑うと、古い友人みたいに俺を抱き締めてきた。
「お前、最高だぜ、うぇーい!ただ一つ教えてくれ、ズルはしてねえよなっしょ?」
俺に身を乗り出して、筋肉馬鹿は二日酔いと腐った歯の混ざった臭いを吹きかけてきた。
なるべく深く息を吸わないようにしながら、俺は答えた。
「ルールなんて示されてなかっただろ。だったらズルもクソもないさ」
モヒカン野郎は俺の答えが気に入ったらしく、背中をバンバン叩いてきた。それから誰かに手を振ると、護衛が俺にビールの缶と「カモ」と彫られた木の棒を持ってきた。
「ほら、うぇーい、お前の杖だ、兄弟。また参加しに来いよ、うぇーい」
ニヤリと笑うと、マッチョは合図を出した。すると、どこに隠れていたのか、テクガンの連中が何人か飛び出してきて、駆け寄ると女の子たちを掴まえ、触りまくり始めた。
ケルは一番近くにいた奴の目に爪を突き立て、そのまま尾の一撃で二人目の首を吹き飛ばした。
俺はビールの缶を掴み、「てめえ、狼野郎が」と叫びながら力のエンチャントを発動し、図々しいモヒカン野郎の頭蓋骨を半分吹き飛ばした。その間にケルは残りのテクガン連中を引き裂いていた。
四駆の運転手を撃ち殺し、死体を放り出して運転席に飛び乗ると、女の子たちを急かした。基地内ではまだ気づかれていないようで、俺はまだ開いていたゲートを突っ切って本部へと突っ走った。
車から飛び降りて、俺たちは中へ駆け込んだ。ケルは再び尾を振るい始め、スポンジのように弾丸を受け止めた。だがこんな小口径は、もう大して気にならないらしい――傷はほぼ瞬時に塞がっていく。
俺も手伝い、ライフルで敵どもを撃ち倒しながら、あの筋肉バカの部屋まで辿り着いた。そこをひっくり返して何も見つからず、俺は金庫に期待をかけた。まあもちろん、最初からハッタリだった可能性もあるが。
本部の金庫は村の中心部にあったものと似ていたが、もっと近代的な見た目だった。ケルが鍵に酸の塊を投げつけ、さらに何度か繰り返したが、扉はびくともしなかった。いや、俺が隠したものが安全なのは嬉しいが、今はどうすればいいんだ?
端末に触れ、俺はこれで開けられないか試してみることにした。
「解析中……苗床の所有者と不一致。
追加情報を要求中……完了。
データを転送中……完了。
死すべき者――最優先事項。ようこそ。認証には中央ターミナルとの接続が必要です。ご不便をおかけして申し訳ございません」
へえ、そういうことか。まあいい。
幸いなことに、基地はどこも似たような造りだ。すぐに方向は掴めるだろう。ただ、本部はすでにテクガンの連中に包囲され始めていた。
「なあ、ケル。女王の親衛隊について教えてくれ。あいつらはどうなんだ?」
少女は驚いて口を開けた。
「まさか、あんたあいつらまで呼び出せるなんて言わないでよ!」
俺は黙り込んだ。
とはいえ、ケルの問いかけるような視線には、申し訳なさそうに肩をすくめて答えた。
「言うなって言ったじゃないか」
馬鹿げてるのは分かってる。だが、常に張り詰めた緊張が続いた後では、こんなことでさえちょっとした息抜きになる。これから先、しばらくはそんな余裕もないかもしれないんだ。
ヴァイが笑い出したが、サソリ女の殺気立った視線を受けてすぐに黙った。
「とにかく、呼び出しなさいよ」ケルが不機嫌そうに答え、パイロットをまだ睨みつけている。
よし、わかった。やってみるか。
建物の外から叫び声が上がり、続いてぐちゃり、ぐちゅりという音と肉が引き裂かれる音が響いた。必死の自動小銃の連射、ショットガンの轟音、そして人間のものとは思えない咆哮。
建物の傍に二体のモンスターが現れた。装甲に覆われ、四肢の関節部分には強靭な筋肉の束が盛り上がった体躯は、高さ五メートルほど。四本の四指の脚と二本の強力な上肢――片方は四本指の巨大な手袋のような形状で、長い指は鉤爪になっていて、怪しげに緑色の何かを滴らせている。もう片方は巨大な鋏の形をしていた。装甲は鋭い突起で覆われ、体の上部では幅広い「肩当て」へと続いている。比較的小さな頭部は、生物の体の一部というよりは壁の装飾品みたいに見えた――平らな装甲板に刃物や牙のようなものが突き刺さっている。下部の隙間からは、鉤爪と同じ緑色の液体が滴り落ちていた。上部の牙の間には時折、眩いばかりの黄緑色の紋様――円と何本かの線から成る――が浮かび上がり、その後モンスターは動き出して、近くの敵をその巨大な手で引き裂き、肉片を開いた隙間へ放り込んだり、遠くにいる人間や機械に緑色の塊を吐きかけて、瞬時に液状の粥になるまで溶かしたりした。
地元の連中にこんな素敵な余興を提供してやって、俺たちは中心部へ向かって走った。道中、ガラクタ以外には問題なかったから、もう端末だ、早くしろ、くそ!
「解析中……新規ユーザー、芽……死すべき者を認識。
所有者変更には前回の変更の取り消しが必要。
当該芽の能力ポイント再計算中……変更のロールバックまでの待機時間――1時間半。ロールバックを実行? はい/いいえ」
まあ、せっかく来たんだしな。どうやら国庫には簡単に手を出せないらしい。
「変更のロールバックを開始しました……プロセスが完了するまで、ターミナルの有効範囲内に留まってください」
えっと、簡単に終わるかと思ってたんだけど。まさか一時間半も拠点制圧にかかるとはな。
周囲を見回してみたが、大した隠れ場所は見つからなかった。今俺たちが立っているのは、打ち捨てられた木箱やガラクタで作られた狭い通路だが、こんな場所は両側から撃ち抜かれる。とはいえ、どのみちこれ以上のものはない。
片側の見張りにケルを配置し、もう片側には俺自身が立った。残りの女たちは武器を持っていないし、役に立ちそうもない。
十分も経たないうちに、最初の来客が現れた。遠くではまだ護衛隊の暴れ回る音が聞こえている。どうやら連中はかなり長い時間召喚されるらしい。25年分にしちゃ悪くない。だが問題は、誰かが俺たちを追跡して、キルハイヴを無視してわざわざここまで来たってことだ。自動小銃の連射が至近距離を走り抜け、俺のシールドをかすめた。反撃したが、当たらなかった。反対側でも襲撃が始まったらしい。ケルの尻尾が空気を鋭く切り裂く音が聞こえる。
少し前に出て、シールドに何発か弾を受けたが、撃ってきた奴の姿は見えなかった。攻撃した後、あまりに素早く隠れやがる。
くそったれめ。レース中に使わずに残っていた手榴弾を手に取り、少し時間を置いてから、しつこい野郎が潜んでいると思われる角の向こうへ投げつけた。
景気のいい爆発音と吹き飛ばされた死体――まさに求めていた結果だ。
背後は静まり返ったようだった。さらに十分ほど待ってみると、また襲ってくる連中が現れた。今度はこちらに向けて手榴弾が飛んできて、俺たちは散開を余儀なくされた。ほとんど本能的に盾を構えて前に飛び出したが、すぐに後悔することになった――スナイパーライフルの発砲音が聞こえたからだ。続いてもう一発、そして三発目が俺の命を奪った。
まあいい、キューシェクは拠点で蘇生させよう。ここで担いで行く意味はない。
「治癒、寿命-2年」
テクノ歩兵に切り替えて、俺は『プレデター』よろしく視覚モードをパチパチと切り替えてみた。あの時のスモーク作戦が空振りだったんだ、きっと他にも便利な機能があるはずだろう。
しばらく探していると、遠くに熱源の痕跡を見つけた。スナイパーに切り替えて狙いをつけてみたが、遮蔽物が多すぎて俺たちの隠れ場所からは視界が通らない。ああ、だから燻り出そうとしてたのか。あのまま居座ってたら即座に撃ち抜かれてたってわけだ。フレムテック仕様の視界で風の数値を確認してから、弓に三本の矢を番え、少し山なりの軌道を選んだ。モデルを切り替えるたび、習ったこともないのに使い方が分かるってのは、やっぱり気持ちいいもんだな。三本の矢を同時に放ち、しばらくしてから歩兵モードで再び熱源を確認した。位置は変わっていないが、徐々に色が変わり始めている。つまり、当たったってことだ。
攻撃は再び止んでいるが、まだテクニカルは出てきていない。あいつら、全部をドライブでぶっ壊したとは思えないんだがな。
この小休止の間に、ヴァイが俺のそばに忍び寄ってきて、悲しげな声で尋ねた。
「やっぱりみんな、死んじゃったんだよね?」
しばらく理解できなかったが、数瞬後にようやく気づいた。キューたちのことを言ってるんだ。
「いや、心配すんな。あいつらは無事だよ。俺の頭も吹っ飛ばされたの見てなかったのか?」
ヴァイは言いよどんだが、やがて答えた。
「あなたのことは心配していないわ。だって、死すべき者でしょう」
確かに、俺の変な能力は色々見られてきたが、それが正式にどう呼ばれているかなんて話した覚えはない。それともターミナルで覗き見でもしたのか?
まるで俺の考えを読んだかのように、ヴァイは続けた。
「アレックスとコンピュータがこの問題に関する記録を可能な限り洗い出して、あなたの現象を発見したの。だから戦闘の最後にアンジュヘルへ明確な指示が出されたのよ――どんな形でもいいから、実験のためにあなたを捕獲しろって」
てっきり、クローニングで頭がイカれたアグネスの個人的な気まぐれだと思っていたが。まあ、連中のことなんて誰が分かるものか。だがどうやらヴァイは秘密を守るのがあまり得意じゃないらしい。時々こうして饒舌になってしまう。これが彼女なりの信頼の表し方なんだろう。
会話から注意を逸らしたのは、キャタピラの軋む音だった。おお、結局あのモフモフの化け物を直したのか? ケルに合図を送ると、俺はドラコニドの姿に変身し、スコーピオン娘を抱えて少しだけ高く跳躍した。ほんの一瞬、だが彼女が様子を窺っているテクガンの兵士めがけてハッチから酸の塊を叩き込むには十分な時間だ。
大声で喚きながら、その兵隊野郎は両手で顔を掴み、溶けた皮膚と肉の塊を引き剥がし始めた。一方、戦車の方は体勢を立て直そうとしていた――故障した砲塔を俺たちの隠れ場所に向けようとして。
一番近い建物の屋上に着地すると、俺はケルの腺の再充填を待つことにした。見た感じ、周辺でこれ以上特別な動きは起きていないようだったが、俺たちにもまだたっぷり残っている。一時間以上だ。
戦車が遮蔽物に砲撃を放ち、ガラクタを木っ端微塵に吹き飛ばしたが、幸いなことにヴァイは遠くへ逃げていたので、彼女の心配をする必要はなかった。その間にケルが俺に頷いて、俺は彼女を抱え上げると戦車めがけて急降下した。
半分溶けかけたハッチに追加の酸を浴びせる必要はなかった。爪で軽く引っ掻けば、缶詰は開封準備完了だ。中に滑り込むと、俺たちは二人の乗組員を切り刻んだ。ケルが親切に死体を引きずり出してくれて、俺は操縦レバーの前に座った。うーん、まともな運転には初期モデルで十分だといいんだが。
◇◇◇
「現在の残存寿命――20+(91)。能力発動用ボーナス年数:27(2)(係数0.3)」
「テクガン派閥とのシナジー(70/100)」




