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第五十一章 敵地にて

さて、この距離ならまだ見つかっていないといいが。俺はケルに戦車の陰に隠れるよう提案し、フレムテックの女たちにはタナトスの機体の後ろに身を潜めさせた。その前に、サソリ娘に確認しておいた。


「ハイヴの守護者ってのは、どうなんだ、強いのか?お前ならきっと見たことあるだろ」


少女は獰猛に歯を剥き出しにして答えた。


「ニコ、きっと期待を裏切らないと思うわ。特にこんな柔らかい地面ならね」


その答えに安心して、俺は距離を取ってスナイパーアーチャーに切り替えた。視界は悪くない。さて、と――バギー三台、オートバイ四台――うち二台はモトクロス、二台はサイドカー付きで機関銃装備。装甲兵員輸送車にトラック一台。どうやら最後のやつが足を引っ張っているようで、そうでなければとっくにここまで来ているだろう。やれやれ、数が多いな。とはいえテクガンの連中とパイロットたちのおかげで、四年分のコストで一つのアビリティを呼び出せるボーナスがある。慎重に選ばないとな。地雷設置はあまり役に立たないだろう、前回ほどスピード出してないし。装甲兵員輸送車相手は危険だ。加速や強化も効果的とは言えないし、鉄壁や毒も装甲兵員輸送車を仕留めるには不十分だ。となると、あの見知らぬ生き物に賭けるしかない。


レイダーたちがさらに近づいて停車し、ギターの轟音を楽しんでいた。よく耳が潰れないもんだ。


装甲兵員輸送車から布を巻きつけた連中が何人か飛び出してきて、バギーからも乗客が降りてきた。残りは乗り物を離れる気配がない。


レイダーたちは最寄りの残骸へと向かい、パーツを一つひとつ念入りに調べ始めた。メカの残骸なんて、そう頻繁に目にするものじゃないだろう。


俺は車両の後ろにハイヴの守護者を召喚した。砂の下に盛り上がりができ、素早く最寄りのバギーへと這い寄る。砂を擦る音が聞こえたとしても、あの爆音の音楽にかき消されて気づくはずもない。地中から触角が現れ、次の瞬間、長い節のある体が勢いよく飛び出すと、顎で車体に食らいつき、ひっくり返した。巨大なムカデ――体長5メートルはある――が車両を弾き飛ばし、近くにいたレイダーを真っ二つに噛み砕いた。


パニックが始まった。俺はライフルで冷静に、機銃を撃とうとする盗賊どもを片っ端から撃ち落としていく。戦車の陰から酸の塊が飛んできて装甲兵員輸送車に命中し、装甲を溶かし始めた。


タナトスの方から弾丸の群れが飛んでいった。初心者には本当にいい武器だ、狙いをつける必要すらない!


装甲が溶けきるのを待たず、ケルは開いた穴から装甲車の中へと飛び込んだ。ハイヴの守護者はもう一台のバギーへと突進し、その途中で更に二人のレイダーの頭を食いちぎった。敵の乱れた自動小銃の掃射がムカデの体から甲殻の破片と緑色の体液を弾き飛ばすが、やつはダメージなど意に介さず、容赦なく新たな獲物へと近づいていく。


すぐに全てが終わった。巨大昆虫は消え、ケルは装甲兵員輸送車から這い出て体についた血を拭っている。他の少女たちも、まるで何事もなかったかのような無関心な表情で外に出てきた。


トラックは無傷だったが、他の車両についてはそうも言えない。運ちゃんの死体を放り出して、俺は全車両から燃料を抜き取り、トラックに親切にも積んであった水筒に詰め込む作業に取りかかった。あまり安全とは言えないが、途中で燃料切れで立ち往生するよりはマシだ。ついでにフレムテックの女たちに、冷却装置からクリスタリットを取り出してくれるよう頼んだ。


燃料の処理が終わると、俺はドラコニドに変身した。


「パパ!パパ!」――娘の不安そうな声。


ちくしょう、すぐに連絡すべきだったな、馬鹿野郎。


「ああ、ラズ、こっちは大丈夫だ。問題はあったが、全部片付いた」


「ふう、もうそんなに急に消えないでよね?」――口調から察するに、少女は安心したようだ。


「努力するよ」


「とにかく、ジョニーが言うには北に向かう必要があるって。半日くらいの道のり、ほぼ一直線で、えーと、泥酔の無法者どもって連中の基地に着けるらしいわ」


あんまり期待できそうにない名前だな。


「そいつら、信頼できるのか?」


「ああ、鋼鉄の胃袋のジョニーの紹介だって言えばいい」


おっと、メモ帳に書いておかないとな。


「わかった、ありがとう。そっちも気をつけて」


「そうするわ」とラズがため息をついた。


それ以上返事はなかったので、俺はドラコニド化を解いた。


キューたちはウィングスから小さなクリスタル容器を持ってきてくれたが、ワイは自分で来た。


「運べないの、ごめん」 彼女は素っ気なく、それ以上の説明もなく答えた。俺はケルと一緒に確認しに向かった。


いやはや、このタンクは確かにデカい。問題は、どうやって家まで運ぶかだが……


トラックを近くに寄せると、俺はドラコニド形態でケルと一緒にコンテナを荷台に押し込んだ。


その後、テクガンの残したグレネードランチャーを何丁か、それからフレムテックのライフルも二丁ほど回収した。ジョニーの部下の遺体からコンパスも見つかった。


ざっと見回して、これで十分だと判断し、全員を車に呼んだ。キャビンは砂漠の野盗にしては意外と豪華だったが、まあ、よく考えれば連中はここで寝泊まりすることが多かっただろうから納得だ。キューたちは後ろの寝台に、ケルは俺の隣に、ワイはドア側に座った。エンジンをかけ、コンパスを目の前に置いて、俺は走り出した。


道は平坦で、荒野を横切っていた。正確には、舗装された道路なんてものはここには存在しないが、地面が平らだったので、走るには十分快適だった。全体的に、アルヴァーの領域に比べれば、ここは最悪の土地だ。一体どうやってここで糧を見つけるのか、俺には理解できない。まあ、慣れの問題なんだろうが。


「あなた、結婚してるの?」 ワイが唐突に訊いてきた。


「ああ」 俺は答えたが、なぜ急にそんなことを訊くのか分からなかった。ケルも少女を横目で見た。


「すぐに気づいたわ。やっぱり経験のおかげかしらね。もう一年以上、ずっとワイをやってるし。あなたたちが初めてなのよ、私のタナトスを倒せたのは」


ああ、俺の死と引き換えにな。最高の勝利とは言えないぜ。でも、この小娘が自分のことを話し始めたのはいい兆候だ。


「面白いな。それで、お前はずっとあの白装束の成り上がりどもに我慢してるのか?」


「ええ。そうしないと、システムが私を焼き殺すから。上級クローンへの脅威だと判断されるようなことを少しでもしたら」


「システム?」


「AIよ。うちの技術の大部分はそれで動いてるの。完全なAIじゃなくて、モジュール単位だけど」


「パイロットにしちゃ詳しいじゃないか?」


少女がくすりと笑った。気のせいか、これが彼女の初めての感情表現じゃないか?


「あたしたちにだって才能はあるんだよ、クローンだけどな。ただ、誰も気にしちゃいねえってだけでさ」


後ろのキューたちは揃って頷き、同時に動いた。俺はバックミラーでその光景をほっこり眺めてから、再び道路に視線を戻した。


「俺は気にしてるぜ。秘密を教えてやってもいいくらいだ」


娘たちは無関心を装おうとしたが、全員が少しだけ俺の方に身を乗り出した。


「俺、キュー138と結婚してるんだ」


他のキューたちは呆気に取られた。


「じゃあ、あの子生きてるの!? 私たち、すっごい怖い話ばっかり聞かされてたのに」と、娘たちは抱き合いながら心配そうに喋り出した。うーん、どうやらウィングスのパイロットたちはシンクロして動くよう訓練されてるみたいだな、じゃなきゃこんなこと説明つかねえ。


「ああ、あいつは元気だよ。今は子育て中だ」


ここでワイも興味を示した。


「あんたたち、交配したの!? どうやって、まさか遺伝子が適合したっていうの?」


「俺は実際その場にいなかったんだけど、登録されたってことは適合したんだろうな」


「すごい……」後ろから感嘆の声が漏れた。ワイが唇を噛んだ。


俺には彼女たちの遺伝子競争なんて理解できそうにない。キューは確かこれで地位を上げて上級クローンどもなんか気にしなくて済むようにするとか言ってたが、本気であそこに戻るつもりなのか? もし戻らないつもりなら、自己満足以外に何の意味があるんだ。


とにかく、この娘たちが薄着のどこかから遺伝子分析器を取り出して俺を測定し始めないことを祈るばかりだ。ここで自動結婚なんて冗談じゃない。


そうこうしているうちに星々が……待てよ。


「なあ、この星々って何て名前なんだ?」


予想通り、フレムテックの女たちは俺を馬鹿を見るような目で見てきた。ケルが微笑んで言った。


「ドムスとアルラムよ」


なんとも仰々しい名前だ。太陽電池に名前を付けなかった理由も納得できる。


ともかく、ドムスと、えーと、相方はもう水平線の向こうに沈みかけていた。確かにこの道なら簡単だし、夜でも走れないことはないが、俺は二つの単純な理由でそうしないことにした。一つ目は、俺の代わりに運転できる奴がいないこと。体力だって無限じゃない、強化を使っていてもだ。二つ目は、夜にはヘッドライトがかなり遠くまで見えるが、こっちは誰かに気づくのが遅れる可能性が高いってことだ。


完全に暗くなった頃、俺は岩場を見つけて少し脇に逸れ、その近くに車を停めた。近くに崩れそうな岩はなさそうだし、崩落に巻き込まれることはないだろう。


補給を呼び出して、そこから手榴弾をいくつか取り出し、女たちにレーションを配った。漁ってみると、服まで入っていた。どうやら前回はちゃんと確認しなかったか、それとも中身が更新されているらしい。


半裸の娘たちは喜んで支給された服に包まり、レーションの使い方、さらには温め方まで教えてやると、もう大喜びだった。しかもワイやキューたちだけじゃない。ケルだってこんなの初めてだったんだ。それに彼女もあんまり服を着てなかったしな。


「道」から見えないように小さな焚き火を起こし、俺たちは腹を満たして体を温めた。その後、フレムテックの女たちを車の中で寝かせ、俺はケルと一緒に見張りに残った。


「ありがとう」 シャザが不意にそう言った。


「え、何が?」


「私を殺してくれたこと。苦しみから解放してくれた。それに感謝してる。それと、私を連れ戻してくれたこと。なんで私だったの?」


俺も考え込んだ。一番論理的なのは、一人じゃやっぱり厳しいし、彼女は俺の兵士の中でも最強クラスだからだ。でも妻たちを何人か残しておくこともできたし、少女たちもかなり強くなってた。違う、あの時俺が考えてたのはそういうことじゃなかった。


「たぶん、お前の言葉のせいだと思う。お前はいつも戦闘的で、手が付けられない感じだった。でもお前には繊細な一面もある。じゃなきゃあんな優しい言葉は出てこない。あれで俺の中で何かが反応したんだと思う」


シャザは微笑むと、俺に近づいて尻尾を巻きつけてきた。顔を寄せて頬にキスをして、俺の耳を舐めながら囁いた。


「敵地の奥深く、暗い夜。私とあなただけ。そそらない?」


◇◇◇


フードを被った男は望遠鏡を下ろすと、満足げに自分に頷いた。丘の上に密かに陣取り、半日かけて奇妙な村を、特に遠くで燃える黄色いポータルを観察していた。楕円形のポータルが消えた時、斥候は任務完了と判断し、颯爽と斜面を駆け下りた。大きな黒豹に跨ると、見知らぬ言語で何か舌打ちのような音を立てた。すると獣は走り出し、柔らかく音もなく草を踏みしめながら遠ざかっていった。


動物を一キロほど進めたところで止めると、斥候は馬から飛び降り、森の中に隠された避難所へと急いだ。大きな迷彩テントのそこでは、長いマントを羽織った少女が不機嫌そうな顔で彼を出迎えた。


「ユリウス、臭いわよ! 中に入らないで!」


「このバカが」男は毒づいたが、抗議を無視してテントの中に入り込むと、小さな切り株にどっかりと腰を下ろし、少女の傍らに置いてあった椀から干し肉を一切れ掴み取り、むしゃむしゃと夢中で頬張り始めた。


ため息をついて諦めた少女は、ユリウスを問い詰めるように見つめた。だが男は何の反応も示さず、肉を食い続けている。


腹を立てた少女は両手を椀型に組み、目を閉じた。虚空から彼女の手のひらに水が凝縮され、魔法使いの少女はそれを嬉々として無視を決め込む男に向かって投げつけた。


悪態をつきながら、ユリウスは話し始めた。


「噂は嘘じゃなかったぜ。本当に、あの村はまた襲撃を切り抜けたんだ。噂を全面的に信じるなら、三度目ってところだろうな。人数はそれなりにいるが、大半はほとんど武装してないか、極めて貧弱な装備だ。ランク2が主で、3がちょっと。だから、情報を送って出撃させていいんじゃないか」


「それは彼女が決めることよ、あんたがべらべら喋ることじゃないでしょ!」少女は声を荒げ、金貨の入った袋をユリウスに向かって投げつけた。


あいつはただニヤリと笑って、手の中で金を弄んでいた。


「お嬢ちゃん、言う通りにするさ」


◇◇◇


年老いた魔術師は通信を注意深く聞き取り、特別に用意した紙に一言一句漏らさず書き留めた。何度も確認し、再度見直してから、眼鏡を直して記録を掴むと、急いで宮殿の別棟へと向かった。


召使いたちは恭しく扉を開けてくれたが、その視線には羨望が滲んでいた。まあ、大した理由があるわけじゃない。コネを使ったところで宮廷魔術師にはなれないんだから、つまり爺さんは完全に自分の地位に値するってことだ。


周囲を気にも留めず、魔術師は急ぎ足で、息を切らしながら目的の部屋に辿り着いた。遠慮がちにノックすると、威厳ある声で「入れ」と返ってきた。


慎重に扉を開けると、老人は薄暗い広い部屋に足を踏み入れた。彼を招き入れた人物が振り返り、来訪者を見て口の端を釣り上げた。


エルフの女性で、信じられないほど長い白髪が床に届きそうなほど垂れている。可愛らしいが決して優しげではない顔立ちには、捉えどころのない狡猾さと邪悪さが滑っていた。細められた赤い瞳、死人のように青白い肌、そして深紅の色調の衣装――すべてが陰鬱な気分にさせる。豊かな胸の下で腕を組んだ少女は、老人の方へと向き直り、頷きで話すよう促した。


「陛下、ポータルゾーンから報告が参りました」魔術師は恐る恐る切り出した。女王への謁見はこれが初めてではないが、毎回信じられないほど緊張するんだ。


少女は黙ったまま、魔術師をじっと見つめていた。


「ええ、辺境に『ロートク』をベースにした村が見つかりました。防備は脆弱ですが、すでに数回の襲撃を凌いでいるようです。要するに、レンジャーが早急な行動を強く推奨しています」


聞いた話を考え込んでから、女王は気怠そうに伸びをして言った。


「そう、つまり私の読み通りだったわけね。いつものことだけど。余分な『ロートク』があれば役に立つわ。最近、色んな女どもが私の椅子を揺さぶりたがってるからね……まあ、それはもうあなたには関係ないことよ。下がっていいわ」


老人は額を床につけんばかりに深々と頭を下げながら、じりじりと後ずさりしていった。エルフの女はその芝居じみた様子を興味深げに眺めていたが、ようやく扉が閉まった。


少し待ってから、少女は小声で呼びかけた。


「アイロール!」


「はい、ママ」


カーテンの向こうから裸の痩せた男が出てきた。青白い肌、赤い虹彩、髪だけが黒い。女王に近づくと、片膝をついて頭を下げた。エルフの女王は優しく彼の頬を撫でた。


「全部聞いてたわね?ママに杖を持ってきてくれるわよね、私の可愛い子?」


アイロールはさらに深く頭を下げ、小さく呟いた。


「もちろん、ママ」


「もっと大きな声で!」女王が怒鳴り、拳で男の顔を殴りつけた。


「はい、陛下!」エルフは怯えた様子で答え、砕けた頬骨を押さえた。


「いい子ね、行きなさい。ちゃんとやってくれたら、ママは傷つけないし、可愛がってあげるわ」


頷いて、アイロールは軽いローブを羽織り、急いで部屋を出た。


◇◇◇


「現在の残存寿命――23+(91)。能力発動用ボーナス年数:27(0)(係数0.3)」

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