第三十九章 試練の最終段階
「襲撃!? どうして!? 誰が?」姉妹たちが口々に叫んだが、フロルガは首を横に振るだけだった。
「みんな、逃げて。私もまだ何も分かってないの。早く!」
狼娘は野営地へと走り去り、クリスティーナは動揺から尻尾をぎゅっと握りしめ、早口で言った。
「アルビ、エヴィナを探して。どこに行っちゃったの!? 彼女を見つけたら避難場所を探すのよ」
「分かった!」白猫娘は少し動揺した様子で答えたが、なんとか冷静を保とうとしていた。
「ラズ、あなたはママたちを探して。みんなが状況を把握してるか確認して」
「いいわよ」彼女はあまり動揺も怯えた様子もなかった。
女の子たちはみんな任務に散っていった。クリスティーナは兵士たちが装備を準備している真っ最中のキャンプに飛び込んだ。素早く全員を見渡すと、クリスティーナはエルフに駆け寄って抱きついた。
「やった、フェブリモールちゃん! ランク取得が間に合ったのね!」
エルフは最初驚いたが、それから優しく少女を抱き返して頭を撫でた。だがすぐに離れて尋ねた。
「クリスティーナ、そもそもここで何してるんだ? 隠れててくれ、頼む!」
少女は足を踏み鳴らして、イライラした様子で不満そうに声を上げた。
「嫌よ! パパはランクだけじゃなくて装備も渡したでしょ! 見せて、早く!」
ため息をついて、エルフは他の者たちに指示を出し、イヴェットとデリオを掴むと、クリスティーナと一緒に兵舎へ走った。
少女はコンバーターに駆け寄ると、指で本をつついた。
「ああ、選択肢は、ジャガーノートかガーディアンか。前者は最終進化、後者はまだ発展の余地がある……」クリスティーナは指で文字を追いながら独り言を呟いていた。「パパは立ち止まりたくないと思うから、ガーディアンね!」
「資源不足:高品質鋼」
「にゃああ、どうして! フェブリモールちゃん、出てきて、先に進むわよ!」
赤毛の弓兵を無理やり隣の兵舎のコンバーターに押し込むと、クリスティーナは新しいテキストの検討を始めたが、今度は長く迷わなかった。
「エリートマークスマン!」
扉が閉まり、隙間から光が溢れ出すのを魅了されたように見つめながら、彼女は緊張して結果を待った。
「変換完了!」
弓兵は高品質の鋼で作られた新しい輝く鎧を身に纏い、改良された弓と高品質の矢を携えて出てきた。クリスティーナは彼女に駆け寄って抱きしめ、その間にフェブリモールはデリオを暗い窪みに押し込んでいた。
「さてさて、他には何があったかな……あ、そうだ、パパが技師の兵舎を建ててたんだった!フェブリモール、そういう能力を持った者はいないの?」
新たにランク3の兵士となった者たちを送り出すと、フェブリモールは首を横に振った。
「いや、いないな。だが、死すべき者が言っていた『制限なし』の者ならいる。ベルトラムとレジナルドだ」
クリスティーナの瞳が輝いた。
「じゃあ、どっちかを技師にしましょう!」
エルフは陣営へと駆け出し、すぐにレジナルドを連れて戻ってきた。本人は残りの者たちのところへ向かった。
クリスティーナは男を兵舎まで連れて行き、変換装置の中に立つよう頼んだ。
ここでは選択肢は一つしかなかったので、少女は迷わず「技師」の文字を押した。
兵士が鉄の鎧を装備して出てきた。標準の革鎧よりずっとましなやつだ。腰にはダガー、手には大きな箱。これで全部だと判断したクリスティーナは息を吐いて、センターへ走り去った。
フェブリモールが門に駆けつけた時には、既に監視塔から矢が盛んに放たれていた。ブレンを捕まえて、エルフは状況報告を命じた。もちろん、報告書でアンデッドの襲撃だと知っていたから、少し遅れても構わないと判断したんだ。
「今のところ持ちこたえてます、そんなに悪くないですよ。というか、アンデッドと戦った経験がある者にとっては悪くない。他の連中は士気が下がるかもしれませんが。今のところ見通しは良好です」
「わかった、ありがとう」
門から20メートルの距離に、近接戦闘を専門とする戦士たちが全員集まっていた。新しい村から来た連中もいる。ランク0で装備もろくなものじゃないが。ただ、どうやら彼らが怖がっているのはアンデッドじゃなく、退屈そうな顔で立っているケルの方らしい。だらんと尻尾を揺らしているケルがな。
「準備完了!」ジェシーが門から離れ、フェブリモールの元へ走り寄りながら報告した。
「お前、この、えーと、爆薬を使ったことはあるのか?」
「ないですよ、でも何事も初めてがありますから!」ジェシーは陽気に言って、隊長にウインクした。
「わかった、頼むぞ」
赤毛の少女は壁に向かって走り、手作りの木製梯子を登って、時折大きなスナイパーライフルの発砲音が聞こえる場所へと向かった。
ずるずると、腐りかけた身体が壁に向かって這い寄ってくる。テクガンの制服を着た死体の群れだ。全員がポータルゾーンから這い出してきているから、発生原因を推測するのは簡単だった。
「どう、エンディス、退屈じゃなくなった?」射撃の合間に、ジェシーが小声で尋ねた。機関銃を壁に据え付けながら。
エルフの女性は悲しげにため息をついた。
「別に面白くもないわ。私が戦争を好きじゃないって知ってるでしょ。ただ、得意なだけよ」
ジェシーは短いバーストで撃ち始め、一度に何体もの死体を薙ぎ倒していった。
「そうね、あなたの言う通りよ、エンディス、退屈ね。でも、ニコがいない間にこんなザコどもが襲ってきてくれて、むしろ助かったわ」
「で、結局いないってこと?ずっと気になってたんだけど……」
「あら、うちの旦那のこと考えてるわけ?やーねえ」
エルフの娘は唇を噛んで黙り込み、ただ引き金を引く頻度を上げるだけだった。
「冗談よ、怒らないで。紹介してあげようか、二人を」
ジェシーにちらりと視線を向けて、エンディスは射撃を再開する前に静かに答えた。
「いらない。あなたのことは、彼が自分で選んだんだから」
十分ほどで、すべてが終わった。
フェブリモールは全員の見事な訓練ぶりとプロ意識に感謝の言葉を述べた。エルフは門の前の中庭に組み立てられたバリスタを何度か眺め回し、新米エンジニアの肩を叩いた。
だが、全員の注意を引いたのは門の向こうを駆け抜けた緑色の閃光だった。大きなシューシューという音を立て、死んだ肺で荒く息をしながら、ゾンビたちは頭を撃ち抜かれ、手足を損傷していたにもかかわらず、再び立ち上がり始めた。
再び銃声と弓の唸りが響いた。
「一体何度殺せばいいんだ?」フェブリモールは静かに独り言を漏らした。
◇◇◇
これで終わりか? とはいえ、以前ここに来たことがある連中がそれほど怖がってなかったってことは、大したことは起きないってことだよな? それとも、これから起きることは死よりも恐ろしいのか?
戦えとか言われませんように。こんな化け物、どうやって倒せばいいのか見当もつかない。装甲兵員輸送車を呼ぶくらいしか思いつかないが、あいつは俺を中で缶詰みたいに食っちまうだろう。
俺は黙って立ち、唇を噛みしめながら続きを待った。
「お前は自分の神を選んだ、ニコ」従僕は大声で宣言し、かなり芝居がかった様子で巨大な手を振り回した。「そのおかげで、私と戦う必要はない」
肩から重荷が降りた瞬間、飛び上がりたくなった。後でこれを人生最高の決断リストに書き留めておかないとな。
「しかし」と怪物は続けた。「報酬の大きさは、お前が俺の質問にどれだけ正確に答えられるかで決まる。準備はいいか?」
なるほど、スフィンクスか!特別博識ってわけじゃないが、報酬以外に失うものがないなら、いいだろう。
「ああ!」俺は大声で叫んだ。我ながら少し生意気に聞こえた気がする。だが従僕は気にした様子もなかった。
「では――他者のために己を犠牲にする覚悟があるのは誰か?勝利のために自らの命を捧げられるのは?」従僕が尋ねてきた。そして――頭蓋骨にすぎないことを思えば、だが――問いかけるように俺を見た。
さすがに単純な用語の定義を聞かれるわけじゃなく、この世界に関連した何かだろう。となれば、俺が頻繁に使ってきた強化を思い出せば、それは……
「アルヴァー派閥?」
「正解だ。次の質問。アルヴァー派閥が利用可能な金属をすべて挙げよ」
くそったれな試験だな。だが、ほとんど全員に建物を建ててやったんだ。
――鉄、アッペライト、クリスタライト、リバーサイト、それから、ええと、グバー。
――正解だ。次は「戦士」系統の兵科モデル変化をランク3まで挙げてみろ。
うわ、来たな。
――闘士、戦士、剣士、ソードマスターかバーサーカー。もしくは闘士、戦士、シールダー、ガーディアンかジャガーノート。
――正解だ。では「エンジニア」系統のモデル変化をランク3まで挙げてみろ。
くそ、さっき注文したばかりで、まだ見てないんだぞ!
――知りません。
従僕は喉を詰まらせたようにしわがれた笑い声を上げると、こう言った。
「基地に建てといて知らねえとか、マジで笑えるな。いいだろ、次だ。王の名前は?」
やっぱり歴史の勉強しとくべきだったかもな。さすがにちょっと気まずくなってきた。でもまあ、この怖い試験官相手でも、少しは落ち着いてきたかな。
「知りません」
クスクス笑いながら、従者は続けた。
「アルヴァー派閥には女王が何人いる?」
ハートが俺のスロットを制限したのが理由なしじゃないなら、3人以下だろう。それに、あの権力を考えたら、王様がたった一人の女で満足するわけがねえよな。
「3人です」
「正解。では、王には子供が何人いる?」
俺が彼のファンであるべきなのか? ああ、いくらでも構わないさ、畜生、月に一度は振り回せるんだからな。
「四つだ」
「いや」と、従僕は楽しそうに答えた。俺の無知を面白がっているのが明らかだった。「神の介入の直後、アルヴァー派閥は何位だったと思う?」
「えーと、1位?」思いついたことを口走ってしまった。
「正解だ」
マジかよ? それがどんな出来事なのかは知らないが、この派閥がかつて1位だったという事実だけで驚きだ。そして希望が持てる。
「アルヴァー派閥における最初の死すべき者は誰だ?」従僕が尋ねたが、あの世界の向こう側の歪みを通してさえ、狡猾な調子を感じ取った。
「俺?」
従者は大笑いした。あまりに激しく笑ったものだから、危うくポータルに転げ落ちそうになるほどだった。少し落ち着いてから、怪物は言った。
「ああ、いい答えだ。あの方もこの返答を聞けば、きっとお喜びになるだろうな!」
「待て、ってことは奴は生きてるのか?」
「質問をするのは私の方だ、ニコ、調子に乗るなよ」従者は指を振りながら悪意を込めて答えた。「最後の質問だ。これは知識を問うものじゃない。時が来たとき、お前はアルヴァー派閥の繁栄のために、自分の子供たちを犠牲にする覚悟はあるか?」
これは考えるまでもない。
「いいや」
「そうか、お前は奴とはあまりにも違うな。だがお前の答えを正解として認めよう。さて、完全なシナジーで6つの正解――見事な結果だ。お前は謁見への一歩を踏み出した」
「え、誰との謁見なんだ?」
「自分で考えろよ。じゃあな、ニコ。報酬は端末で受け取れ」
まあ、従僕は会話してみると、あんまり化け物っぽくなかったな。今だって、ポータルに入りながらあの巨大な手を振ってくる。俺も手を振り返して、黒い楕円が閉じるまでそのまま立っていた。
これで終わりか? 俺は一人、崩壊した街の真ん中に取り残された。一体どこなんだここは。息をついて、端末に近づいた。
「試練報酬選択。6×100=600ポイント。
カテゴリー:武器/防具/装備/装飾品/資源/強化/その他」
項目は多いが、選択肢は少なかった。ポイントが足りないせいだろう。実質、資源と強化だけだ。しかもどれも一回しか取れない。心臓は、理解した限りでは完全なものが100ポイント。クリスタリット1000個が200ポイント。そして最も重要なのが、寿命15年が300ポイント。残念なのは一回しか取れないことだけだ。選択を確定すると、年数が加算され、資源と強化はロートクシステムの倉庫に格納されたとメッセージが届いた。目の前にポータルが開いて、俺はそこに足を踏み入れた。
◇◇◇
ただ、地下室に出ると思ったのに、センターに出てしまった。ファリンが黙ってグラスを取り落とした。まあな、俺の見た目は最悪だろう。泥まみれ、乾いた沼の汚泥と化け物の残骸だらけで、擦り傷や打撲や試練の記念品みたいな細かい傷は言うまでもない。
耳をつんざく悲鳴が上がって、バタバタと足音が響き、4人の女の子たちに一斉に床へ押し倒された。エヴィナ、クリスティーナ、アルビ、それに明らかに成長したラズだ。
「パパ! パパ! やったにゃ! 信じてたよ! 絶対できるって分かってた!」
誰かが俺を抱きしめて、誰かがキスをして、俺はひどく居心地が悪かった。今までずっと彼女たちに時間を割いてこなかったのに、それでもこんなふうに心配してくれていたんだ。俺自身が親の愛情を知らなかったから、というのが問題なのかもしれないが、それを言い訳にするつもりはない。唇を噛みしめて、俺は娘たちをぎゅっと抱きしめた。涙をこらえながら――情けない英雄になっちまうからな。
「パパ、クリスティーナちゃんがすごいことしたんだよ、もう絶対びっくりするから!」
「もう俺は横になってるから、話してくれ」
「エヴィナちゃん、そんな言い方ないでしょ、もう! 全然大丈夫だから! 兵士の建造と強化方法を解明しただけよ」
そういうことか? クリスティーナは本当に賢い子だ。きっと他の子たちも手伝ってくれたんだろう。
「それとフロルガおばさんがパパに夢中で、ずっと待ちくたびれてるよ」とラズが無表情に言った。
あ、くそ、そうだった、会おうって言ってたじゃないか。どうやら俺は留守の間にもしっかりやらかしていたらしい。
「それに、私たちが襲われたの」アルビが乾いた声で言った。
「お前たち、優先順位をつけることを学べ。いつ襲われたんだ?」俺は少しだけ教育パパごっこをすることにした。
「今まさに、よ」
女の子たちの下から這い出して、俺は外へ走り出した。
おい、なんでバリスタがあるんだ?他に俺が知らないことは何がある?でも、それは重要じゃない。途切れない銃声から判断すると、襲撃は真っ最中だ。俺はフェブリモールの姿を見つけた戦闘員のグループに向かって走った。
「うおおお、死すべき者がここにいるぞ!」エルフが叫んで俺を迎え、他の者たちもそれに続いた。質問したかったんだけどな。
全員が落ち着くまで、俺は周囲を見回してジェシーを見つけた。彼女は笑顔で俺を見ていた。投げキッスを送ってから、彼女は向きを変えて撃ち続けた。一体どんな敵なんだ、こいつらがこんなに余裕でいられるなんて?妻と一緒にエンディスが立っていて、彼女がこっそり俺を見た。口の端に一瞬浮かんだ微笑み、それとも気のせいか?
兵士の列から謝罪の声が聞こえた。ああ、フロルガだ。なぜか顔を赤らめて、揺れる尻尾を手で掴んでいた。
セフィーナは遠く離れた場所に立っていたが、彼女が城壁の上から俺に向かって手を振り、目元を拭っているのが見えた。
そして満足そうなケルが、少し離れた場所で平然と立ち、尻尾を振っていた。
まあ、二人が無事なら安心だ。他の子供たちも大丈夫だといいんだが。
あたりが静まり返り、エルフが俺に状況を報告してきた。なるほど、アンデッドか。炎を投げつけてくるスケルトンの後じゃ、もう驚きもしない。ただ、なぜ今になって発生したんだ?死体なら最初のやつを含めてもう一週間以上放置されてるはずなのに。
「何か考えはあるか?俺はこの手の問題にあまり詳しくないんでな」
「はい、死すべき者。おそらく、この襲撃を操っているのはネクロマンサーかと。つまり、やつを見つけ出さない限り、弾薬が尽きるまでゾンビの襲撃は続くでしょう」
「わかった。じゃあ、ネクロマンサー狩りに出かけるとするか」
◇◇◇
「現在の残存寿命――30+(68)。能力発動用ボーナス年数:13(8)(係数1.2)」
「倉庫。状態(5時間):
木材――325単位――採取中、収支+400(20単位/時×2);
石材――290単位――採取中、収支+200(40単位/時)(-200石工の工房);
加工石材――350単位――生産中、収支+200(20単位/時);
道具――515単位;
鉄――520単位――採取中、収支+200(20単位/時×3)(-200製錬所)(-200製錬所);
石炭――50単位――採取中、収支+0(20単位/時)(-100製錬所)(-100製錬所);
鋼――120単位――生産中、収支+200(20単位/時);
高品質鋼――35単位――生産中、収支+100(10単位/時);
クリスタリット――1228単位――採取中、収支+15(1.5単位/時);
アッペライト――150単位――採取中、収支+100(20単位/時)(-100製錬所);
クリスタライト――100単位――採取中、収支+100(10単位/時);
金――200単位――採取中、収支+50。
アルヴァー派閥とのシナジー(100/100)。
テクガン派閥とのシナジー(60/100)。
キルハイヴ派閥とのシナジー(40/100)。
フレムテック派閥とのシナジー(15/100)。
死すべき者の現在の兵科モデル:ヘビータクティカルナイト(回復中)、スナイパーアーチャー。
現在の建設:リバーサイト鉱山。
軍隊:
ランク3:3体。シールダー、エリートマークスマン×2。
ランク2:12体。ロングボウ射手、戦士×4、闘士×2、エンジニア、スナイパー、セフィーナ、ジェシー、ケル。
ランク1:3体。闘士×3、キュー。
ランク0:5体。闘士×4。
訓練中:0。
待機中:0」




